「衛星電話の調子悪い、安全管理規程の数値ない」なぜ出航?観光船社長が会見(2022年4月27日)
北海道・知床半島の沖合で観光船が消息を絶った事故から5日目。ようやく運航会社の桂田精一社長(58)が会見を開きました。
知床遊覧船・桂田精一社長:「本件事故発生日の経過。4月23日午前8時、豊田船長と当日のクルーズの打ち合わせをしている。豊田船長から『午後の天気が荒れる可能性があるが、午前10時からのクルーズは出航可能』と報告があった。この時点でウトロでは風と波も強くなかったので、海が荒れるようであれば、引き返す条件付き運航であると豊田船長と打ち合わせ、当時の出航を決定した。(Q.きょうは行けるか、行けないかの判断は豊田さんに任せていた)基本的に、船の、どの会社も最終的には船長判断。(Q.(豊田船長に)『荒れる可能性があるが大丈夫』と言われた。荒れるなら帰ってくると社長が条件付きとして出した)それは何年もやっていることで、そのときは船長判断に従ってという張り紙がしてある」
海の状況は、自らも港で見て、判断したと話しました。
知床遊覧船・桂田精一社長:「(Q.当日は強風注意報と波浪注意報、それは把握したか)していた。(Q.把握したうえで出航の判断をするというのは)荒れるのは午後からということと、午前中、ウトロ漁港から先の方までシケていないし、風もなかった。(距離の短い)第2便も普通に出航して戻ってきているので。お客さまもこのような(知床半島の)先端まで来て、ちょっとでも走ってほしいという要望がすごくある。体感をしていただき揺れて『帰ってくれ』という気持ちになって、納得していただく方法を取っていた」
乗客の要望に応える一面もあったという桂田社長。事故当日、『KAZU1』からの連絡は、同業他社に入ったといいます。
知床遊覧船・桂田精一社長:「午後1時13分、KAZU1、他の運航会社に無線連絡。今、カシュニの滝ということと、戻るのが少し遅れるという連絡です。午後1時18分、KAZU1、他の運航会社に無線連絡。船首が浸水。救助を求める連絡。他の運航会社は、海上保安庁に救助要請をかけてくれている。その後、海上保安庁とKAZU1、無線でやり取りを行っている。(Q.午後1時13分にカシュニの滝は、だいぶ遅れている。それまで一度も連絡がなかったのか)今回、12時45分、初めに連絡があった。30分に連絡があった。いろいろあるが、ちょっとわからない。正確なこと。(Q.誰が聞き取ったのか)その辺が、このときはドタバタしていて、誰から聞いたかもちょっと思い出せない」
『KAZU1』は、なぜ自分の会社に連絡しなかったのでしょうか。実は、会社の屋上に設置されている無線のアンテナが故障していました。
知床遊覧船・桂田精一社長:「私も気づかず朝8時半に言われたような状況。午前9時10分くらいでしたか、すぐ専門の電器屋に電話しております。(Q.無線の確認はしていないのか)そこは私のチェックミスというか、そういう報告は受けていなくて」
通常、『KAZU1』には、衛星電話を積んでいるはずですが、これも確認できていないといいます。
知床遊覧船・桂田精一社長:「衛星電話が調子悪いと聞いていたが、それを修理に出したかのチェックとか、返ってきたかのチェックとか、ずっと休みだったというのもあるけど、(チェックが)なされていなくて、ドタバタで始まった」
また、この会社には、出航に関して安全管理規程があります。
知床遊覧船・桂田精一社長:「波が1メートル以上で欠航、風速8メートル以上で欠航、視界が300メートル以上ないと出航できない」
こう説明しましたが、すぐ訂正します。
知床遊覧船・桂田精一社長:「1メートル、8メートル、300メートルというのは、安全管理規程には書いていない。(Q.安全管理規程をもう一度、教えていただけますか)ちょっとあいまいな表現になって、数字が出ていない。安全管理規程には数値は出てない。安全管理は行き届いていなかったということになると思う(Q.社長自身はこの事故が起きた理由をどのようにお考えですか)私の至らなさだと感じおります」
乗客乗員の家族に対して、直接の説明が遅れたことについては、こう述べました。
知床遊覧船・桂田精一社長:「まずは、被害者の家族の方々への対応と、救助活動を第一に考え、また海上保安庁や国土交通省の監査、原因究明に協力すること。ご家族に誠心誠意尽くすことと思っていましたが、私ひとりの力では、うまく対応できませんでした。申し訳ございません」
家族に対する桂田社長の説明について、国土交通大臣が不快感を示しました。
斉藤国土交通大臣:「内容は、到底、ご家族のご納得を得られるものではなかったとの報告を受けております。桂田社長に対し、引き続き、ご家族へと謝罪と事故経緯についての十分な説明を求めるようお願いします」
犠牲となったぬで島優さん(34)の両親は、桂田社長の会見を見て、悔しさをにじませました。
ぬで島優さんの父親:「とにかく対応が遅かった。すぐに来て、まずは謝る。そういうのが誠意ある対応だと思う。あれだけ荒れた海で、冷たい中に入って、恐怖と怖いのと、死ぬ間際まで無念だったと思う」
※「ぬで」は「木へん」に「勝」勝は上の点が「八」
※「1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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