【現場から、】あかりのチカラで復興・防災を 熊本・人吉市

【現場から、】あかりのチカラで復興・防災を 熊本・人吉市

【現場から、】あかりのチカラで復興・防災を 熊本・人吉市

 シリーズ「現場から、」です。去年7月の豪雨災害で壊滅的な被害を受けた熊本県人吉市。ここでは、今「あかり」を使って「復興」と「防災」のまちづくりが行われています。

 去年の7月豪雨から1年半が経とうとする今でも、被災地では重機の音が鳴り響いています。そんな復興途上の街でも夜の帳がおりると、昼間とは違う幻想的な風景が浮かび上がります。

観光客
 「光に寄せられて来たって感じですよ」

地元住民
 「明るくなっているというか、希望に向かっていると」

 光の中に鮮やかに浮かび上がる国宝の姿を撮影するのは、このライトアップの仕掛け人、地元で宿泊業を営む有村さんです。

人吉ひかりの復興プロジェクト代表 宿泊業 有村充広さん
 「この国宝の神社が無事でいてくれてすごくよかったと思います」

 去年7月の豪雨で、人吉の街は濁流に飲み込まれました。

人吉ひかりの復興プロジェクト 有村充広代表
 「約30分ほどで全部水没してしまいましたね。1階はすべて浸かってしまいましたから」

 観光地としてにぎわいのあった街は「活気」も「あかり」も失いました。

人吉ひかりの復興プロジェクト 有村充広代表
 「夜はもうあぜんとするくらい真っ暗で、どうしようと・・・」

 被災から1年以上が過ぎ、疲弊していく街を目の当たりにして活気を取り戻そうと模索し、思いついたのが「あかり」でした。

人吉ひかりの復興プロジェクト 有村充広代表
 「街の中に少しのあかりで復興といいますか、希望を持たせられないかなと」

 有村さんは地元の人や「あかり」の専門家に協力を仰ぎ、古い街並みが続くこの場所に人吉ならではの「あかり」の仕掛けを施しました。

照明デザイナー 長町志穂さん
 「見えにくいけど、だいたいフォーカスがこのへんにくるように・・・」

 暗闇の中浮かび上がるのは、人吉特有の遊び「ウンスンかるた」の影絵です。

人吉ひかりの復興プロジェクト 中村和博さん
 「(今まで)飲みに行ってくださいという提案しかできなかったけれど、夜景を見に行ってくださいと案内ができるので、観光の魅力の一つになるのかなと」

 一方で、この「あかり」は街の魅力向上だけではなく防災の機能も備わります。色で水位の危険度がわかるというものです。

人吉市 企画課 中村拳也さん
 「防災無線が音声で、エリアメールが文字で、両面で発信をしていたが、伝わりづらかったという人が多くいた。この色が見えた時には近寄らないで下さいとか、分かりやすく目で見て発信できるようなものにしたい」

 「復興」と「防災」、「あかり」の力で被災地は一歩ずつ前に進んでいます。(26日17:35)

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