【独自】飛沫感染抑えられる可能性、口腔ケアでウイルスを不活化

【独自】飛沫感染抑えられる可能性、口腔ケアでウイルスを不活化

【独自】飛沫感染抑えられる可能性、口腔ケアでウイルスを不活化

 新型コロナウイルスが、唾液腺に感染することを突き止めた大阪大学の研究グループが、人体には無害の薬剤を使って、口の中のウイルスを不活化させ、 飛沫感染を抑えられる可能性があることを、世界で初めて示しました。人々がマスクを外す第一歩に繋がればと期待されています。

 大阪大学歯学部の阪井丘芳教授は、新型コロナウイルスが、肺だけでなく、唾液をつくる唾液腺にも感染し、そこでウイルスを大量に増殖させていることを突き止めました。近く、論文として発表されます。

 これが世界で初めて捉えられたコロナウイルスが唾液腺に集まっている画像で、茶色に染められたのがコロナウイルスです。その唾液腺ですが、おたふく風邪で腫れる耳下腺などの大きな唾液腺の他に、米粒大の小唾液腺が口の中に広く分布していて、いずれにもコロナウイルスが感染します。

 阪井教授はこうした“新事実”をもとに、仮説を立てました。

大阪大学大学院歯学研究科 阪井丘芳教授
 「ご高齢になったり、呼吸器疾患のある方はその唾液を知らず知らずのうちに誤嚥してしまっている。そういう形で、肺炎が重症化するリスクが高まるのではないか」

 ▼唾液腺で増殖したコロナウイルスが唾液と共に口腔内に分泌され、そのウイルスが飛沫となって他人に感染させる。▼コロナに感染した高齢者が、ウイルスを含んだ唾液を誤嚥することで、肺炎の重症化リスクを高めているという仮説です。

皆川玲奈キャスター
 「Q.さらにコロナ独特の症状である味がわからないという原因も見えてきたということですが、先生、この点についてはいかがでしょうか?」

大阪大学大学院歯学研究科 阪井丘芳教授
 「味を感じるのは、味蕾というセンサーがあるからです。最近の研究では、味蕾も(コロナウイルスに)感染してしまって、機能しなくなる(味が分からなくなる)のではないか」

 そこで、口腔内のウイルスを不活化=働かなくすることができれば、コロナの感染拡大を防ぐことも可能なはずだと、研究は進められました。そんな折、「亜塩素酸イオン」にコロナウイルスなどを不活化させる効果があることを知り、その専門家らも交えて研究チームが編成されました。この「亜塩素酸イオン」は、欧米では水道水の殺菌剤として使われるなど、安全性に問題はないとされています。今回の研究では、「亜塩素酸イオン」を常温で長期保存できるようにしたMA-Tと呼ばれる薬剤が使われていて、実際には、口腔内に噴霧したり、うがいをしたりという方法が想定されています。

大阪大学大学院歯学研究科 阪井丘芳教授
 「今回の(試験管による)検証結果では、99.98%不活化できたという結果が出ています」

 人でも効果は出るのか?まだ少数ですが、コロナ患者4人に対する研究では、うがいの直後に全員のウイルス量がゼロになったということです。

皆川玲奈キャスター
 「レストランにやってきました。こちらのポーションカップには、コロナウイルスを不活化させる水溶液が入っています。ほとんどにおいはしません。レストランに入る時に、これを口の中に含んで30秒ほどうがいをします。一定の時間という条件はつきますが、マスクを外して会話を楽しみながら食事をすることが可能になるのではと期待されています」

大阪大学大学院歯学研究科 阪井丘芳教授
 「(持続時間は)30分から1時間位あるのではないかと期待している。うまくいけば、マスクをする機会を減らすことができるかもしれない」

 研究チームのメンバーで、感染症の専門家は・・・。

大阪大学大学院医学系研究科 忽那賢志教授
 「検証をしっかりとやって、ウイルスがすごく減ったり、減った量が長期間維持されたりすることがわかってくれば、感染対策として重要な選択肢となりうるかと思う」

 研究チームでは、ヒトに対する効果と、効果の持続時間について、来年中には検証結果をまとめたいとしています。(25日16:07)

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