「非常に大きなダメージになる」黒海艦隊の “司令塔”『モスクワ』の沈没が意味すること
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ロシア国防省は黒海艦隊の巡洋艦「モスクワ」が沈没したと発表しました。また、ウクライナ側は「ミサイル攻撃で深刻な打撃を与えた」としています。これが今後のロシアにどのような影響を与えるのか?専門家によると「ロシアにとっては大きなダメージになるのでは。」との見方を示しています。
一方でロシアは「ウクライナ軍が攻撃を続ければ、首都キーウ(キエフ)などを攻撃することになる」との警告も発しています。現在の戦況などについて専門家にききました。
■軍艦『モスクワ』が沈没 各国の異なる主張
山内あゆキャスター:
ここからはロシアの軍艦『モスクワ』の沈没について詳しく見ていきます。この『モスクワ』という軍艦は、ウクライナのオデーサから南に110キロから120キロ地点の黒海で沈没したと、アメリカ国防総省の高官が伝えています。この沈没自体は事実なようなんですが、それぞれの国の言い分が違います。
▼ウクライナ側の主張
オデーサの州知事は、ウクライナのミサイル攻撃で、「軍艦『モスクワ』に深刻な打撃を与えた」そして、そのミサイルというのは「ウクライナ製の巡航ミサイル、ネプチューンである」というふうに話しています。
▼ロシア側の主張
ロシアの国防省は「火災が発生し、弾薬が爆発した。曳航中に沈没したのである」というふうに発表しています。
では第三者である、アメリカの分析はどうなのか。
▼アメリカの分析
アメリカ国防総省の高官は、『モスクワ』火災の原因として、「ミサイルによる攻撃だったかもしれないし、他に原因があったかもしれない」と火災の原因についてははっきり断定できないようなんです。
ただ一方で、「軍艦『モスクワ』より、ウクライナの近くにいた5隻程度の軍艦は、海岸から約150キロの場所に移動している」沈没した場所よりもっと遠くに移動しているということが確認できているということなんです。
■ロシア海軍の象徴『モスクワ』の沈没が意味する事
また、イギリスのBBCはこのように伝えています。
「もしも爆発がミサイル攻撃によるものだった場合、象徴的な意味がある」というんです。
なぜかというと、この軍艦『モスクワ』というのは、黒海艦隊の司令塔とも言える船なんです。全長は186m、最大乗員は510人。ロシア海軍の象徴ともいえるこの船が沈没する、それが一体どういう意味を持つのか。
ウクライナの国立戦略研究所は「(ミサイル攻撃での沈没なら)ウクライナ人の士気を高める上で非常に強力な心理的材料だ」と話しました。
ホラン千秋キャスター:
小谷さんこの沈没によってもたらされる変化というのは何かあるんでしょうか?
小谷哲男 明海大学教授:
やはり一番大きいのは、この『モスクワ』という船は、この地域、この地帯の防空を担っていましたので、それがもはやできなくなったということで、ウクライナ軍の航空機が飛びやすくなる。そうすればあの南部に対する反撃もやりやすくなります。
それからもう一つは、黒海艦隊がどんどん南に下がってウクライナの沿岸から離れていってますのでオデーサへの上陸作戦というのはもうさらに難しくなったということが言えると思います。
ホラン千秋キャスター:
下がっている理由というのは、どういうことなんでしょうか?
小谷哲男 明海大学教授:
はっきりしたことは言えませんが、やはりウクライナからのさらなる対艦ミサイルの攻撃を恐れてさらに離れていってるんではないかと思われます。
井上貴博キャスター:
これによって制空権を失うんじゃないかというご指摘もあったんですけど、『モスクワ』のみで、空域を守ることができていたんですか?
小谷哲男 明海大学教授:
『モスクワ』1隻のみで半径おそらく200キロ程度をカバーしていましたが、他にそれをできる船は、今この黒海にはロシア海軍は持っていませんので、制空権をウクライナとして取りやすくなると思います。
井上キャスター:
それはある程度、プーチン大統領にとって、大きなダメージと言えますか?
小谷哲男 明海大学教授:
非常に大きなダメージになります。
山内キャスター:
もう一つ心配なのは、ウクライナ側に対するロシアの新たな攻撃がまたあるのではないかということなんです。
ウクライナメディアによりますと「15日の未明、キーウ市内で爆発音がした」そして、一部では停電も起きているというふうに報じています。実は今回の再攻撃ともいえるものに対して、ロシア側は警告をしていました。
ロシアの国防省は、13日に「ウクライナ軍が攻撃を続ければ、首都キーウなどを再び攻撃することになる」というふうに話していたんです。
ホラン千秋キャスター:
小谷さん、ウクライナ軍は攻撃をすることもなく、ただロシア軍からの攻撃を受け続けることになりますよね?
小谷哲男 明海大学教授:
キーウなどへのミサイル攻撃は、ウクライナとしても迎撃する能力は一定程度持っていますけれども、全てを防ぐことはできないと思いますので断続的に攻撃が続くとすれば、キーウも引き続き危険な状態に置かれると思います。
ホラン千秋キャスター:
なぜ再びキーウが、狙われてしまうんでしょうか?
小谷哲男 明海大学教授:
これは推測ですけれども、やはり先ほどの巡洋艦『モスクワ』が迎撃されたということがありますので、その報復という意味合いはおそらくあると思います。
井上キャスター:
元々言われていたのが、余力がなくなってきたので首都キーウではなくて、東部に注力しようか。でも今度は首都キーウもということは、ある程度、余裕はあると考えればいいんすか?
小谷哲男 明海大学教授:
キーウに対する攻撃はおそらくミサイルを中心とした空爆になると思いますので、地上部隊をすぐに戻すということではないと思います。しかしながら、やはり核攻撃をする可能性がこれでさらに高まったのではないかと、アメリカのCIA長官も見ているようですので、やはりこの巡洋艦『モスクワ』を失ったというのは相当ロシアにとってショックなのだろうと思います。
井上キャスター:
すいません、核攻撃に繋がる部分をもう少し教えてもらえますか。
小谷哲男 明海大学教授:
やはり大きな戦力を失ったわけですので、それに対して何らかの報復をしなければならない。それでウクライナ軍に対する核攻撃を考えるのではないかということです。
井上キャスター:
自暴自棄ということですか。
小谷哲男 明海大学教授:
そういう側面もあると思いますが、やはりロシア国内が黙っていないということではないかと思います。
(15日20:14)
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