【解説】“情報発信”続けるゼレンスキー氏の妻・オレナ夫人 過去に「日本の昔話で教材作成」も
ロシアがウクライナに侵攻してから、15日で50日となります。この間、ゼレンスキー大統領は、ほぼ毎日のように、SNSで動画の声明を発表し続けていますが、実は、妻のオレナさんも情報発信に大きな役割を果たしていることが見えてきました。「ロシア巡洋艦が沈没」、「オレナ夫人の訴え」、「日本との関わりも」、「ウクライナに残るワケ」の4つのポイントについて詳しく解説します。
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■巡洋艦「モスクワ」沈没 ロシア「暴風雨により沈没」主張も…士気下がる?
14日、ロシア黒海艦隊のミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没しました。
これについてウクライナ側は「ウクライナ軍が、対艦ミサイル2発で攻撃した」と主張しています。一方、ロシア国防省は「爆発による火災でえい航されている最中、暴風雨により沈没した」といい、言い分が食い違っています。
このミサイル巡洋艦の沈没が、今後の戦況にどう影響するのか、アメリカ国防総省のカービー報道官は、「ロシア軍の艦隊にとって大きな打撃だ」との見方を示しました。また、アメリカの政策研究機関「戦争研究所」は「ウクライナ軍の士気を高める一方、ロシア軍の士気を下げる可能性が高い」と分析しています。
■ゼレンスキー大統領の妻・オレナ夫人も情報発信に大きな役割…その思いは
ウクライナがロシアから侵攻をうけ始めて、50日となりました。ゼレンスキー大統領は、自身のFacebook上に、次のように語る動画を公開しました。
ゼレンスキー大統領のFacebookより
「世界の国々は、私たちが侵攻に耐えられるとは思っていませんでした。彼らは、ウクライナ人がどれほど勇敢で自由か、私たちが自ら望むように生きることを大切にしているか、知らなかったのです。この50日間で、ウクライナは世界の英雄となりました。私は、ウクライナが勝利し、平和を取り戻すことを確信しています」
侵攻開始から50日という節目の日にも、情報発信を続けているゼレンスキー大統領ですが、実は、妻のオレナ・ゼレンスカ氏もSNSなどを通じて情報発信をしています。名字が「ゼレンスカ」ですが、夫婦で名字の語尾が異なるのは、ウクライナ語での文法上の決まりだということです。
アメリカ・CNNの取材に対し、オレナ夫人はメールで、
・現在もウクライナにとどまっている
・ゼレンスキー大統領とは、1か月以上、電話でしか連絡を取っていない
ことを答えています。
――ロシア軍から大統領に次ぐ“2番目の標的”にされる中、なぜ、ウクライナに残ることに?
「ロシアの攻撃で亡くなった方は、大統領の家族でも何でもない。敵にとって一番の標的は、国民全員なのです」
海外メディアを通じて情報発信を続ける理由については、「ウクライナ人にとって一番大事なことは、他の国々が私たちに耳を傾け、目を向けてくれること。犠牲者が単なる数字にならないよう、戦争を日常にしないことが重要。我々の悲しみに慣れてはいけません!」と強調しました。
■オレナ夫人、過去に来日…「日本の昔話を翻訳“音声教材”作成」も
実は、オレナ夫人は、来日したこともあります。
2019年10月、天皇陛下の「即位の礼」にゼレンスキー大統領と出席した時には、オレナ夫人は黄色のドレスに身を包んでいました。また、即位の礼の祝宴「饗宴の儀」を前に、天皇皇后両陛下がゼレンスキー大統領夫妻を、にこやかに迎え、握手をされる場面もありました。
この時は正装をしていましたが、今のゼレンスキー大統領は、毎日、無精ひげにカーキ色のTシャツを着て声明を出しているので、隔世の感があります。
また、先月、日本の国会でゼレンスキー大統領がリモート演説した時には、「ウクライナ人は日本の文化が大好き」だとも語り、「妻のオレナが、目が見えない子供のためのプロジェクトに参加して、日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにしました」と、オレナ夫人が日本の昔話を翻訳して子供の読み聞かせの音声教材を作った、というエピソードを明らかにしました。
■脚本家のオレナ夫人…“侵攻の日”「パニックになって涙を流すことはない」
オレナ夫人は脚本家で、ゼレンスキー大統領とは2003年に結婚しました。自身のインスタグラムには大統領と2人の子供と一緒に映った写真などを投稿しています。「すべての子供たちが幸せで安全な日々を過ごせるように、私たちのできる全てのことをしましょう」とつづっています。
2月24日の侵攻当日には、ウクライナ国旗の写真を全面にし、「今日、私はパニックになって涙を流すことはないでしょう。子どもたちは私を見ています。私は彼らのそばにいます」と投稿しました。子供たちに寄り添う姿が印象的です。
■侵攻後「罪のない市民との戦争は二重の犯罪」世界に訴え
オレナ夫人は、子供への支援や教育問題にも、これまでも精力的に取り組んできました。
ロシアによる侵攻が始まってからは国内外に向けてさまざまなメッセージを発信しています。先月、「世界のメディアに向けた手紙」と題して公開した文書では、「家族と引き離された高齢者や病人らは、治療も支援も受けられていない。罪のない市民との戦争は二重の犯罪です」と訴えました。また、「ロシアの偽情報に対抗するには、あなたたちの報道が重要な証拠となるのです」と呼びかけました。
今月8日には、欧州評議会のメンバーに向けた声明で、「これまでにウクライナ国内で医療機関や学校が破壊され、子供たちが医療や教育を受ける機会が奪われている」と訴えました。
■ゼレンスキー大統領夫妻と交流…専門家は
ゼレンスキー大統領夫妻と交流があった神戸学院大学の岡部芳彦教授(ウクライナ研究会会長)によると、「オレナ夫人は、国民からとても人気があり、評価が高い」「SNSのような現代のツールを使った情報発信の重要性を非常によく理解していて、それを国民も心強いと思っている」ということです。
岡部教授は、こうした情報発信において存在感を発揮していることも、「ロシアからの暗殺ターゲットにされている1つの要因ではないか」と分析しています。
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今回の戦争は、戦場での実際の戦いと情報戦の「ハイブリッド戦争」である点が大きな特徴とも言われています。大統領夫妻自らが巧みな情報発信を続けるウクライナは、ロシアにとって想定外の強さを発揮しているようです。
(2022年4月15日放送「news every.」より)
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