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【専門家解説】ロシア軍 次はフィンランドへ? 新たな動き
ロシア軍がフィンランドとの国境にミサイルを移動させていると、複数のメディアが報じています。背景には、フィンランドのNATOへの急接近があります。フィンランドにも侵攻する可能性はあるのでしょうか? 旧ソ連地域の政治に詳しい専門家に聞きました。
■フィンランドの動き「許しがたい」
有働由美子キャスター
「ウクライナとは全く違うところで、ロシア軍の新たな動きが出ています。イギリスの複数のメディアが、ロシア軍のミサイルシステム2基などが、隣国フィンランドとの国境に向かって移動していると報じました」
「その背景にあるのが、フィンランドのマリン首相がNATO(北大西洋条約機構)への加盟申請の議論を急ぐ考えを示したことです」
「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授にうかがいます。これは、ロシアにとってはどうなのでしょうか?」
廣瀬陽子教授
「ロシアにとっては非常に許しがたい状況と言えると思います。フィンランドでは1939~1940年の第2次世界大戦中に、ソ連が攻め込む形で戦争が行われました。戦争の後、フィンランドのカレリア地方をソ連に割譲し、中立を維持してきました」
「ただ中立といっても、かなりソ連に寄った形の、検閲を許すような中立をしてきた国です。そういうフィンランドがNATOに入るのは、ロシアにとっては非常に裏切られたというか、安全保障的にも危険が増してくるということで、許容できないことだと思います」
■NATO加盟申請へ…「挑発」懸念
有働キャスター
「なぜ今、フィンランドはNATO加盟に傾いたのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「フィンランドはかつて、ロシア帝国に併合されたり、その後のソ連と2度戦争したりと、隣の国に翻弄された歴史があります。その経緯から、西側諸国と旧ソ連という大国の対立に巻き込まれたくないと、軍事的には中立の立場を選んで、NATOには加盟しませんでした」
「ただ、8年前のクリミア併合、そして今回のウクライナ侵攻と、ロシアの横暴な振る舞いを見て、『もう中立ではいられない』『自分たちの安全をNATOの集団防衛体制に入って保証する必要がある』となりました」
有働キャスター
「ロシアがフィンランドに何かするのでは、と心配になります」
小栗委員
「実際、今回のNATO加盟申請から実際に加盟するまでの間に、ロシアがフィンランドなどに何らかの挑発を行ってくることが懸念されています」
「国際安全保障が専門の鶴岡路人・慶応義塾大学准教授は『既にフィンランドとNATO加盟国との間では、その間の安全をどう確保するか、議論されている』と指摘しています」
■侵攻あり得る? ロシアの対応は
有働キャスター
「今後、ロシアがフィンランドに侵攻する可能性についてどう考えますか?」
廣瀬教授
「侵攻の可能性は非常に低いと思います。ロシアにとっては許しがたいことではありますが、今ウクライナの戦争ですら、うまくこなせていない状況です」
「ここでさらにフィンランドと戦争となると、フィンランドはスウェーデンとも軍事協力を結んでいるので、スウェーデンも敵になる可能性があります。NATOとの安全保障のシステムができていれば、NATOが入ってくる可能性もあります」
「そうすると二正面になり、ウクライナよりもっと厳しい戦いを北でも強いられるため、さすがのロシアでも、そのような暴挙には出ないのではないかと今は思います」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「軍事侵攻はしないとしても、ミサイルシステムが国境に向かっているということで、ロシアは今後、どういうけん制や脅しをする可能性があるのでしょうか?」
廣瀬教授
「これまでウクライナに対して行っていたように、国境付近にあらゆる兵器や軍隊を集結させるなどの脅しをしてくる可能性が極めて高いと思います。ただ今はウクライナとの戦争にとにかく勝たなければいけないため、かなり制限されたものになるのではと思います」
■プーチン大統領「失敗」で足元は
有働キャスター
「もしプーチン大統領がウクライナでやり切ったとしても、フィンランドなど他の国がNATOに加盟してしまえば、『失敗』ということになるのでしょうか? プーチン大統領の足元が揺らぐことにならないのでしょうか?」
廣瀬教授
「もちろん大きな失敗で、本来NATOを拡大させないということでウクライナに攻め込みましたが、それが(欧州)北部のNATO拡大(の動き)に広がってしまいました。しかも侵攻で、ウクライナ人はどんどんロシアから心を引き離してしまっています」
「(ロシアは)『二重の敗北』を今回迎えています。これがロシア人の耳にきちんとした形で入れば当然反発は大きいと思いますが、何らかのプロパガンダで事実を覆い隠す形で、国民を説得する努力をするのではないかと思います」
有働キャスター
「説得がうまくいかなかった場合、失脚する可能性もありますか?」
廣瀬教授
「若干はもちろんありますが、今現在ではまだ支持率は83%という高い率で維持されていますし、今のところはとにかく、国民を説得する方向で、ありとあらゆる手段を考えているものと思われます」
(2022年4月14日放送「news zero」より)
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