ロシア国防省「ウクライナ軍1026人が自発的に武器を捨て投降した」

ロシア国防省「ウクライナ軍1026人が自発的に武器を捨て投降した」

ロシア国防省「ウクライナ軍1026人が自発的に武器を捨て投降した」

ロシア国防省は、南東部の要衝マリウポリをめぐり、ロシア軍と親ロシア派武装勢力による攻撃を受け、「ウクライナ軍1026人が自発的に武器を捨てて降伏した」と主張しました。

しかし、ウクライナ側はこの情報を否定しています。ではこの「投降」は本当なのでしょうか?新たな情報戦ではないか?という見方もあります。他にロシア側は「マリウポリの港がアゾフ連隊から完全に解放された」として、港を制圧したとも主張しています。ウクライナ東部で一体何が起こっているのか?専門家に聞きました。

■ロシア軍 まもなくマリウポリ制圧か

山形純菜キャスター:  
13日アメリカのバイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と約1時間の電話会談を行いました。そこで日本円にして約1000億円相当の追加の軍事支援を行うと表明。具体的には、砲撃システムや軍用ヘリなどを提供予定です。

また、アメリカ国防総省高官によると「今後24時間以内にアメリカからジャベリン(対戦車ミサイル)をもう一便送る見通し」だと発表しました。

そんな中、軍事侵攻が激化している東部のマリウポリでは11日から12日にかけて、ロシア軍が制圧したとみられる地域が拡大していて、中心部を包囲する形に変わってきています。ロシアの国防省は13日、マリウポリの港を完全に制圧したと主張しています。さらに、ロシアメディアがマリウポリ「新」市長を“親ロシア派”が選出したとしています。

ただ、現在の市長が辞任した情報はなく、このような報道をすることで、親ロシア派による軍事侵攻が進んでいることを国内外にアピールすることが目的と見られています。

■ロシア国防省「ウクライナ軍1026人が武器を捨て投降」

また、ロシア国防省の報道官は「マリウポリでウクライナ軍1026人が自発的に武器を捨てて投降した」と発表しました。ただ、ウクライナ側によるとそのような情報はないと、ロシア側の主張を否定しています。
 
ホラン千秋キャスター:
廣瀬さん。ロシアの主張、ウクライナの主張、食い違っていることになっていますが、実際はどんなことが起きていると考えられますか?

慶応義塾大学 廣瀬陽子教授:
おそらく投降したということはないと思います。そこはお互いの情報戦になってしまっているので、ロシアとしては、ウクライナの戦争に対する意欲をどんどん下げるような情報を出していきますし、他方でウクライナはこのようなことはないと主張することもある。この状況において投降することは、ちょっと考えづらいと思います。

 
井上キャスター:
こういった情報戦が続いている中で、廣瀬教授はプーチン大統領はどこまでの目的を持っているのか、ウクライナ全土を掌握したいのか、それともマリウポリを制圧出来れば、一区切りとなるのか。プーチン大統領の頭の中をどう分析していますか?

廣瀬教授:
もちろん最初の狙いとしては、ウクライナ全土だったはずです。今は5月9日の戦勝記念日に向けて、ドネツク・ルガンスク州全土を落とす。その州の全土を取るという考えに変わってきていると思います。ドネツクを全土支配するにしても、このマリウポリは絶対に落としていかなければならない場所で、特に2014年の戦いの時にマリウポリは落とせそうで落とせなかった場所ですので、そのリベンジの意味もあって、まずマリウポリを落とす、そして、ドネツク全土を落としていくというような方向で、最低限のレベルでプーチン大統領は目標を設定していると思います。

井上キャスター:
そんな中で停戦交渉は出来ますか?

廣瀬教授:
そこは難しいところではありますが、とりあえず東部の2州を完全に落とした後は、一応そこの部分だけの勝利宣言は出来ると思います。まずはそこの勝利宣言をして、その後で次にウクライナの出方を見つつ、どのように戦況を展開していくか考えていくんだと思います

■ウクライナ国家親衛隊所属「アゾフ連隊」

山形純菜キャスター:
そしてマリウポリでは11日「ロシア軍が化学兵器を使用したのではないか」という情報がSNSで伝えられ、日本でも大きく報道されました。SNSで主張したのはウクライナ政府の正式な軍隊ではない「アゾフ連隊」という軍事組織。

このアゾフ連隊はマリウポリを拠点する軍事組織で2014年ロシアによるクリミア侵攻の際、義勇兵として戦闘に参加しました。笹川平和財団の畔蒜さんによると「アゾフ連隊は2014年の戦闘ではロシアからマリウポリを守り切ったと英雄視された一方で、創設当時は極右的なメンバーも多く過激な行為も見られた」ということです。現在はウクライナ内務省管轄の国家親衛隊に所属しています。

では、このアゾフ連隊はプーチン大統領にとってどんな存在なのかというと、クリミア併合時にマリウポリ制圧に失敗したという悔しさから、アゾフ連隊は「復讐の対象」だと畔蒜さんは指摘しています。

ですからマリウポリを制圧するというのは「過激な行動を取るアゾフ連隊は、マリウポリを占拠するいわゆるネオナチで、それをせん滅してマリウポリを制圧すれば“ウクライナ人を救う”という今回の特別な作戦の大義名分がたつのではないか」と畔蒜さんは分析しています。

ホランキャスター:
マリウポリを拠点とする軍事組織で今は国家親衛隊に所属ということなんですけど、このアゾフ連隊とウクライナ軍はどういう風に分けてみればいいのでしょうか?

廣瀬教授:
アゾフ連隊は軍ではないのですが、もともと自警団的な存在だったのが非常に活躍が良いということで、国家親衛隊に昇格したというものなんです。今逆にいうと国家親衛隊というような位置づけなので、政府に近い形で積極的に軍事行動を行える。ウクライナ軍と連携をとりながら作戦を遂行しているという状態にあると思います。

井上キャスター:
裏を返すとアゾフ連隊が想像以上に頑張っているというか、ロシアは少し甘く見ていた部分があるということですか?

廣瀬教授:
ロシアにとってはなんとしてもやっつけたい相手。非常に強く士気も高いですし、ウクライナ軍を引っ張っていくという存在であるといえます。

(14日21:06)

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