「すべての目的が達成されるまで続ける」プーチン氏初会見 強気の発言の裏に垣間見る「本音」

「すべての目的が達成されるまで続ける」プーチン氏初会見 強気の発言の裏に垣間見る「本音」

「すべての目的が達成されるまで続ける」プーチン氏初会見 強気の発言の裏に垣間見る「本音」

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナへの侵攻後、初めて記者会見を行い、「軍事作戦は、計画通り進んでいる」と語りました。こうしたなか、ロシアの諜報機関の職員、およそ150人が追放されたとの情報が出ています。強気の発言の裏で、ロシア国内では足下が揺らいでいる可能性も…プーチン大統領の本音と今後の展開を専門家が解説します。

■プーチン大統領 侵攻後初の会見「攻撃は悲劇だが他に選択肢なかった」

井上貴博キャスター:
プーチン大統領の会見を中心にみていきます。まずは、現在の戦況についてです。マリウポリ市長の発言によりますと、「市民の犠牲者は推計で2万1000人。30分おきに爆撃が繰り返されている」ということです。
アメリカ国防総省の高官は、「侵攻が始まって以降確認されたミサイルは1540発以上。マリウポリなど東部地域に集中している」としており、東部に戦力を集中させているロシア側の思惑が分かります。
1950年代後半に建設されたマリウポリの劇場は、ロシア軍の侵攻後、子供や老人など市民数百人の避難場所になっていました。3月16日に爆撃を受けましたが、映像を見ると完全に焼けてしまっており、天井も落ちてしまっています。映画のワンシーンでなく、現実に起きていることです。多くの方が生活し、避難場所になっていた場所が狙われたということです。ここで亡くなった方は推計で300人を超えると言われています。

プーチン大統領の会見での発言:
「ロシア軍の攻撃は悲劇だが他に選択肢はなかった」

井上キャスター:
基本的に今までの主張をなぞったという会見でした。このタイミングで会見を行った理由の1つとして、1961年の「4月12日」という日に、ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行に成功したということが関係していると考えられます。ロシアの名誉、栄誉を称える特別な日ということで知られている「4月12日」に、ルカシェンコ大統領を招いて、新宇宙基地を視察しました。新たに建設した基地などを視察して、宇宙政策に力を入れていくことをPRしたいというなかでしたが、軍事行動についても話をしています。

プーチン大統領の会見での発言:
「ウクライナ東部を救い、ロシアの安全保障のため、他に選択肢はなかった」

「(ブチャでの虐殺について)シリアで化学兵器が使用されたと騒がれたときと同じように、欧米アメリカ側のフェイクである」

「戦闘を激しくすれば軍事作戦をもっと早く進められるが、犠牲者を伴う。我々は計画に沿って粛々と作戦を実行する」

「状況は悲劇だが、ウクライナ人は兄弟のような民族だ」

「欧米諸国がロシアとベラルーシに対し制裁の全面戦争を仕掛けている現状では、両国が統合を深めていくことが重要だ」

「(停戦交渉について)ウクライナ側が当時(3月末)、トルコの合意から後退したため、こう着状態に陥っている」

「ベラルーシは今後の交渉場所に非常に適している。交渉するのであればベラルーシがいい」

ホラン千秋キャスター:
プーチン大統領が、今のウクライナの状況を悲劇と認識していることに驚いたんですが、何をもって悲劇というふうにプーチン大統領は思っているんでしょうか?

笹川平和財団 主任研究員 畔蒜泰助氏:
多くの人命が失われているということに関して、悲劇という言葉を使ったんだと思います。

ホランキャスター:
これまでロシアが否定してきた非人道的な攻撃、これを「非人道的」だと理解しているという裏返しの発言にはならないのでしょうか。

畔蒜氏:
戦争には常に非人道的な側面が当然含まれますので、そこはもちろんあるのだと。ただし、プーチン大統領曰く、「これはやむを得なかったんだ」ということを主張しているのだと思います。

■停戦和平の具体的な条件に初めて言及

ホランキャスター:
他にこの会見の中で気になった発言などはありましたでしょうか。

畔蒜氏:
今回、プーチン大統領が初めて停戦和平の具体的な条件に言及しました。
▼クリミアがロシアの領土であるということをまず承認すると。それから、▼キエフ側が「ドネツク」「ルガンスク」が独立国であることを承認すると。かねてから言われていたことではあるのですが、プーチン大統領自身がこれが停戦和平の条件だと発言したのは初めてです。この点は注目に値すると思います。

井上キャスター:
プーチン大統領としては、これまでと変わらず「欧米アメリカが敵だ」とする中で情報戦も続いています。
イギリス・タイムズ紙は、「プーチン大統領がロシア政府の諜報機関FSB=連邦保安局の職員約150人を追放した」と報じています。追放の理由としてイギリス側は、「侵攻前のウクライナの状況について間違った情報を報告した」といった理由があるのではないかと報道しています。

ホランキャスター:
イギリスの報道ということですが、この背景にはどのようなことが考えられるのでしょうか。

畔蒜氏:
ロシア側も、今回の軍事作戦の第1フェーズは“うまくいっていない”ということを、事実上認めているということだと思います。ある種、新しい司令官が任命されたということが、それを物語っています。そう考えると、かねてから言われていたFSB=連邦保安局の情報が正しくなく、プーチン大統領はかなり楽観的な軍事作戦を作ってしまったのではないかという話がありましたが、そういう仮説と今回の情報はある意味、符号するということですし、一定の信憑性もあるのではないかと思います。

井上キャスター:
うまくいっているか、いっていないかは分かりませんが、いずれにしても停戦は遠のいていませんか。

畔蒜氏:
プーチン大統領が出した条件を実際にクリアするというのは、相当ハードルが高いということですので、事実上まだ、先は見えてないということだと思います。
(13日18:15)

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