ウクライナ軍事組織が主張 ロシア軍が“有毒物質”使用か

ウクライナ軍事組織が主張 ロシア軍が“有毒物質”使用か

ウクライナ軍事組織が主張 ロシア軍が“有毒物質”使用か

ウクライナ情勢です。ウクライナの軍事組織「アゾフ連隊」は、SNSでロシア軍が南東部マリウポリで不明の有毒物質を使用したと主張しました。化学兵器の可能性も指摘されますが、実際に使用されたかは確認されていません。

ロシア軍が包囲するウクライナ南東部の要衝、マリウポリ。これは11日の映像です。

攻撃を受けた建物は、原型をとどめていません。重機などによるがれきの撤去作業が続いています。

マリウポリ市民
「戦車より怖いものはありません。横になっている時に銃口が動く音が聞こえて怖いです。どこに撃ってくるか分からないので」

マリウポリのボイチェンコ市長は11日、AP通信との電話インタビューで「ロシアによる侵攻開始以降、1万人を超える市民が死亡した」と明らかに。さらに・・・

「遺体が町中に散乱していて、死者は2万人を超えるかもしれない」

マリウポリをめぐっては、親ロシア派の「ドネツク人民共和国」の軍事担当報道官が、製鉄所の地下に3000人から4000人のウクライナの勢力が隠れていると指摘。「化学部隊の手でいぶり出す」と発言し、化学兵器を使う可能性をほのめかしていました。

そして、マリウポリでの戦闘に参加するウクライナの「アゾフ連隊」は11日。

「ウクライナ軍人と民間人に対して、不明の有毒物質が投下された」

SNSでロシア軍がウクライナ軍人と市民に対し、「不明の有毒物質」を使用したと主張。無人機から投下されたとしていて、被害者には呼吸困難などの症状がみられるとしています。アゾフ連隊の創設者は・・・

アゾフ連隊の創設者
「影響はそれほど大きくありませんが、3人に明らかな化学兵器特有の中毒症状が出ています」

SNSの発表後、ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオメッセージで・・・

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「侵略者の報道官の1人がマリウポリで化学兵器の使用を検討していると話した。非常に深刻に受け止めている」

ゼレンスキー氏は、“ロシア軍が化学兵器を使用する可能性”について触れましたが、このときは実際に使われたかどうかについては言及しませんでした。

ロシアによる侵攻開始以降、化学兵器が使われる可能性は指摘されていましたが、もし使用が確認されれば初めてのこととなります。

これについて、アメリカ国防総省のカービー報道官は「現時点で確認はできないが、引き続き、状況を注視していく」とコメント。
そのうえで・・・

カービー報道官
「もし事実であれば、これらの情報はロシアがウクライナで化学物質を混ぜた催涙ガスを含む様々な暴動鎮圧剤を使う可能性についての我々の懸念を反映するものです。深く憂慮すべきことです」

またイギリスのトラス外相はツイッターで、協力国とともに「詳細の確認を急いでいる」としました。

こうした中、ロシアはウクライナ東部への攻勢を強めています。ロシア国防省は、ドネツク州にあるウクライナ軍の指揮所を空中発射型の極超音速ミサイル「キンジャール」で破壊したと発表。

極超音速ミサイルは迎撃が難しいとされ、ロシア軍がウクライナ東部で「キンジャール」を使用したと発表するのは初めてです。一方、アメリカ国防総省はウクライナ東部で確認された長さ13キロにおよぶロシア軍の車列について、「ドンバス地方での活動強化に向けた初期の動きのようだ」と指摘しました。

国防総省 カービー報道官
「車列は人員輸送車と装甲車、それに砲も含まれるかもしれない」

国防総省高官は、首都キーウ周辺から撤退した部隊の一部がウクライナの国境と接するロシアのベルゴロド州に移動する動きも確認していて、再び侵攻してくる可能性があるとして警戒しています。

続いて、外交の動きです。オーストリアの首相は侵攻が始まって以降、EU=ヨーロッパ連合の首脳として初めてプーチン大統領と対面で会談しました。

地元メディアによると、オーストリアの連邦首相府は「戦争は双方が敗者になるだけだ」としてプーチン大統領に停戦を呼びかけることが「最も重要なメッセージだった」としていますが、「友好的な訪問ではなかった」などとコメント。

オーストリアの首相も「プーチン大統領との会話からは楽観的な印象を持っていない」と語っていて、和平に向けた具体的成果にはつながらなかったとみられます。
(12日15:46)

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