次々と明らかになる『戦争犯罪』の数々 その責任は誰が負う? ウクライナ侵攻【サンデーモーニング】風をよむ

次々と明らかになる『戦争犯罪』の数々 その責任は誰が負う? ウクライナ侵攻【サンデーモーニング】風をよむ

次々と明らかになる『戦争犯罪』の数々 その責任は誰が負う? ウクライナ侵攻【サンデーモーニング】風をよむ

ウクライナ侵攻で行われたとみられる「戦争犯罪」の数々。その責任は、誰が、どのように負うのでしょうか?

ウクライナ市民
「夫の顔はひどく傷つけられ、体はすでに冷たくなっていました。頭を銃で撃たれて、放置されたのです」

道路に横たわる、複数の遺体…。後ろ手に縛られたまま、殺害されたと思われる遺体も…。

ウクライナの首都・キーウ近郊、ブチャに残された痛ましい惨状。それらの遺体が物語るのは、ロシア軍が残した、市民への暴行という「戦争犯罪」の爪痕でした。

ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「これらは『戦争犯罪』であり、ジェノサイド(大量殺戮)として、世界に認識されるだろう」

4月4日、ゼレンスキー大統領は、現地を視察し、ロシアを強く非難。ウクライナ当局は、キーウ州全体で民間人650人の遺体が見つかったとしています。

アメリカ・バイデン大統領
「プーチンが戦争犯罪人であることが証明された。戦争犯罪として法廷で裁くために詳細な証拠を集めなければならない」

アメリカのバイデン大統領は、「プーチン大統領は国際法廷で裁かれるべき」との認識を示しました。

では、実際、その戦争犯罪の責任を、プーチン大統領に、裁判で問うことができるのでしょうか?

「戦争犯罪」を、個人が負うべき責任として考えられるようになった背景には、国際環境の変化がありました。

冷戦終結後、不安定化が進んだ国々では、民族間の対立が激化。旧ユーゴスラビアやアフリカのルワンダでは、大量虐殺などの「戦争犯罪」や「人道に反する犯罪」が相次ぎました。

この事態に、国連は、各紛争ごとに「国際戦争犯罪法廷」を設置、「戦争犯罪」を引き起こした個人の責任を追及したのです。

その結果、1999年には、旧ユーゴの元大統領ミロシェビッチ氏を大量虐殺の容疑などで起訴。ミロシェビッチ氏は、公判中の2006年、拘置所で死亡しています。

こうした動きは、「戦争犯罪」を追及する「常設の裁判所」を求める声を高め、2002年「ICC=国際刑事裁判所」が発足したのです。

アナン事務総長(当時)
「悪に対する最大の防御は、全ての国が参加する法廷をつくることなのです」

ICCは、国連から独立した組織として、『戦争犯罪』を引き起こした個人を捜査したうえで、逮捕状を出したり、裁判にかける権限などを持っています。

では、戦争犯罪を引き起こした責任は誰が負うのでしょうか?専門家は…。

同志社大学・浅田正彦教授(国際法)
「民間人を攻撃するとか、学校・病院への攻撃、こういったものが刑事責任を問われるということで『戦争犯罪』と言います。実際に行為を行った者と、それを命じた上官、さらに最高指導者の責任も、当然問われる」

しかし、そこにもハードルがあります。例えば2003年、スーダンでは「ダルフール紛争」が泥沼化。政府軍と反政府勢力の間で激しい戦闘が行われ、多数の民間人を含む、30万人を越す人々が犠牲となりました。

この事態を調査したICCは、当時のスーダン大統領・バシル氏が民兵を支援して一般住民を襲撃させた疑いで、2009年、「逮捕状」を出したのです。

しかしバシル氏は、いまだ逮捕されていません。スーダンはICCに加盟しておらず、バシル氏がスーダン国内にいる限り、拘束したり、身柄を移したりすることが、出来ないのです。

実は、ロシアも、ICCに加盟していません。ICCは、プーチン氏の責任を問えるのでしょうか?

ロシア軍による「戦争犯罪」の実態は、キーウ近くの街・ボロディアンカでも…。破壊された2つのビルの下から、26人もの遺体が見つかっています。

4月7日、現地を視察したウクライナの検事総長は…。

ベネディクトワ検事総長
「(プーチン氏を)ウクライナの法律では逮捕できませんが、国際法廷では違うのです」

問われる、プーチン大統領の戦争犯罪-。

浅田教授
「プーチン大統領が逮捕状の対象になることは、十分考えられる。ただその後の逮捕は、プーチン大統領がロシアにいる限りは主権の壁があり、拘束はできません。その意味では(逮捕状は出ても)それ以降の手続きは、難しい」

ICCは、3月から現地ウクライナでの捜査を開始。欧米との連連で、立件に向けた証拠収集も進められています。浅田教授は、プーチン氏を逮捕すること以上に重要なことがあると指摘します。

浅田教授
「国際社会というのは、無法者が力でものを言うような世界ではなくて、『法の支配』の下にあるんだということを示すということ、これは極めて重要だと思います」

かつて、「一人殺せば、殺人者、百万人殺せば、英雄だ」という喜劇王チャップリンの皮肉を込めたセリフが、多くの共感を呼んだ時代がありました-。

そして今。戦争犯罪の個人責任。さらに、戦争を始めた国家の責任という問題も含めて、私たちは、重い課題を突きつけられています。

(サンデーモーニング2022年4月10日放送より)

(10日10:47)

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