「ブチャよりもひどい」キーウ近郊の町でもロシア軍の攻撃による激しい被害
ウクライナ情勢です。ゼレンスキー大統領は、ロシア軍撤退後多くの民間人の遺体が見つかった首都キーウ近郊のブチャに近いボロディアンカの状況について、「ブチャよりもひどい」と語りました。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「ボロディアンカの封鎖が解け、がれきの撤去作業が始まった。ここはブチャよりもはるかにひどい」
首都キーウ近郊のボロディアンカはロシア軍に一時占拠されていましたが、ロシア軍の撤退後、がれきなどを撤去する作業が始まっています。
ゼレンスキー大統領はこのボロディアンカについて、多くの住民の遺体が見つかったブチャを超える惨状が広がっていると指摘しました。ボロディアンカでは、ロシア軍の攻撃で倒壊した2つのビルの下から26人の遺体が見つかるなど、激しい被害の実態が明らかになっています。
現地を視察したウクライナの検事総長は・・・
ウクライナ検事総長
「キーウ州では650人の遺体が見つかっている。そのうち40人はまだ子供です」
今後、国際的な司法の場でロシアのプーチン大統領の責任を追及すると強調しました。
マリウポリ市・ボイチェンコ市長
「少なくとも5000人が犠牲になり、そのうち約210人が子どもです」
ロシア軍に包囲され激しい攻撃を受けている南東部マリウポリのボイチェンコ市長は、市民の犠牲者およそ5000人のうち「210人が子ども」だとしたうえで、市内のインフラの90%が破壊されたと明らかにしました。
7日の現地の映像からは無差別に攻撃された様子がうかがえます。
市長は、ロシア軍が民間人に対して行った戦争犯罪を隠蔽するために国際機関による市民の避難計画を妨害していると非難しています。
一方、ロシアのラブロフ外相は停戦交渉をめぐり、ウクライナ側から6日に新たな合意文書案を受け取ったと明らかにしました。
ただ、文書案については「重要な部分で明らかな逸脱がある」と批判。ウクライナが求める新たな安全保障の枠組みについて、ロシアが一方的に併合したクリミアには適用されないという元の文書にあった文言が修正案では省かれているなどと指摘しています。
こうした中、ロシアではノーベル平和賞を受賞した独立系新聞の編集長ムラトフ氏が何者かに襲撃され、絵の具を浴びせられました。ムラトフ氏は「目が焼けるように痛む」と話しています。
ムラトフ氏の新聞ではロシアによるウクライナ侵攻を批判的に報じてきましたが、先月、ロシア当局から警告を受け「ウクライナでの軍事作戦終了まで活動を停止する」と表明していました。
(08日11:27)
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