4月から全ての企業で「パワハラ防止措置」義務。気をつけたい「○○ハラ」は50種にも
これまで大企業が対象だったパワハラ防止法は、4月1日から中小企業にも拡大され、すべての企業がパワーハラスメント防止への措置を行わなければならなくなりました。「リモハラ」「ズムハラ」「テクハラ」などコロナ禍で気をつけたい「○○ハラ」など、50以上あるとも言われています。会社内のふとした会話も、相手の受け取り方次第では「○○ハラスメント」になることもあります。いま一度、今回の義務化をきっかけに、何がパワハラか?など考えてみました。
■中小企業”ハラスメント保険”加入増
南波 雅俊キャスター:
新年度から様々なものが変わってきますが、パワハラに対する対策も変わってきます。
職場でのパワハラ対策、これまでは大企業のみに義務付けられていたものが、中小企業を含む全ての企業の義務に変わるということなんです。どんなことをしなくてはいけなくなるのかということで1つ1つ見ていきます。
厚労省のHPによりますと、講ずべき措置は、
▼”ハラスメント禁止”明確化と周知・啓発
▼相談窓口の設置など体制の整備
▼事実関係の迅速・正確な確認と適切な配慮
▼プライバシーの保護
などです。
こういったことを適切に行わない場合には国から助言や指導勧告ができることになりますし、それでも適切に対応しない場合には、企業名を公表できるということになります。
そんな中、企業側も今は対策をしているんですね。
中小企業の”ハラスメント保険”の加入が増えています。あいおいニッセイ同和損保での販売件数(タフビズ業務災害補償保険のオプション特約販売件数)が2015年度(約3500件)と比べて昨年度(約1万8000件)は5倍以上に増えているということです。
このハラスメント保険というのは、ハラスメントがあったという訴えがあったときの損害賠償の補填であったり、あるいは弁護士費用を賄うといったものなんです。
広報担当者は「4月からの義務化で今後さらに保険のニーズが高まると想定しています」と話しています。
井上貴博キャスター:
そもそもこういった法律もそうですけど、こういったことをしっかりとやっていない企業には就活生が来てくれないです。いいことだと思うんですけどね。
田中ウルヴェ京さん(メンタルトレーニング指導士):
どれも対症療法なんですよね。「こういうふうなことをやっちゃ駄目ですよ」っていうことを指導したり、あるいは「もしそういうことがあってもこんな保険がありますよ」って、全て前提がもう「そういうことをしちゃいけません」なんですけど、もちろん大事なのが教育なんですよね。それは上司側にしても部下にしても、どういう人間がハラスメントということをしたいのか。そしてもう1つは、どういうふうに感じる、部下側がどんなふうに感じやすい人がいるのか、みたいなことをしっかり知っていくってことは大事なんですよね。そこはもちろんあの人によるわけですから、ご自身がどうなんだろうってこともしっかり考えなきゃいけないっていうのが前提にありますよね。
井上貴博キャスター:
後輩との付き合い方が難しいですね。
田中ウルヴェ京さん:
人の人生の課題に立ち入らないっていうのがあるんですよね。例えば、井上さんが私に「もう50代なんですから、そろそろもうちょっとリラックスしたらどうですか」みたいなことは言わないじゃないですか。基本そういうことを言わないっていうことです。
ホラン千秋キャスター:
やっぱり業務のやりとりの中で生じてくる上司の不機嫌であったり、そういった行き過ぎた言動の常習化みたいなところは、相手の人生に介入してなくても存在することはたくさんあると思うので、そういった方々を守る仕組み作りってのは必要ですよね。
田中ウルヴェ京さん:
守るって意味では大事なんです。
■国が定義する「パワハラ」とは・・・
南波雅俊キャスター:
井上さんからも難しいというお話がありましたけど、改めてパワハラの定義を確認していきたいと思います。
▼(厚労省)パワハラの定義
職場における3つ全てを満たす行為
(1)優位な関係を背景とした言動
(2)業務上必要な範囲を超えたもの
(3)労働環境が害されるもの
この3つ全てが該当する場合にはパワハラというふうに国も定義しています。
具体的には当然「暴力」は駄目ですし、言葉による「侮辱」も駄目です。「仲間ハズレ」、それから必要以上な「過大な要求」、逆に「仕事を与えない」「プライバシーの侵害」。こういったものがパワハラに値するということなんです。
ホラン千秋キャスター:
ちなみにこの「労働環境が害されるもの」ということであると、必ずしも権力を持っている側だけがパワハラを行うというわけではないということですか?
南波雅俊キャスター:
当然、年下から年上であったとしてもハラスメントは成立するということなんですが、このパワハラに限らず今はハラスメントが多様化しています。50種類以上もあるということで、きょうはどんなものがあるのか、そして具体的な事例も含めて、3コマで見ていきます。
■コロナ禍で気をつけたい“〇〇ハラ”
まずはコロナ禍ならではのハラスメント【リモハラ】【ズムハラ】というものです。
リモートでの会議やZoomなど在宅勤務時での会議でのハラスメント行為、例えば男性社員から女性社員に「部屋かわいいね。人形をちょっと見せて」このようなことを言えば、セクハラになりかねないと。
井上貴博キャスター:
褒めているんですよね、「部屋かわいいね」までは。
南波雅俊キャスター:
そうなんです。ただ、相手方が嫌だと思えばハラスメントになりかねないということなんです。
それから【テクハラ(テクノロジーハラスメント)】。
ITスキルの低い人に対してなじる言動など、例えば(会議で)ミュートでしゃべっていて(音声が)聞こえない人に対して「ミュートで話すなよ」と会議の中でみんなの前で言ってしまうと、これこそまさに年下から年上の方に対するハラスメントになりかねないということですね。
ホラン千秋キャスター:
「ミュートですよ」って言ってあげればいいだけですよね。
■こんな“〇〇ハラ”まで…ご存知ですか?
そして、会社の範囲を超えていろいろなハラスメントも見ていきたいと思います。ホランさん、【ゼクハラ】とは?
ホラン千秋キャスター:
この質問をすること自体がもう既になっている可能性がありますよね。これ私は思ってないので大丈夫です。これはゼクシィ=結婚情報誌のアレですね?
南波雅俊キャスター:
まさに結婚情報誌が語源で、交際相手に結婚のプレッシャーをかける行為。逆に彼氏側から「毎日彼女が結婚をせがんでくる。怖い」、もしくは「ドライブのBGMが全部結婚ソング・・・遠回しに結婚を迫られてる?」
第三者から「まだ結婚しないの?」っていうようなことを言うのはマリッジハラスメント=【マリハラ】ということで、【ゼクハラ】は2人の間のハラスメントだそうです。
それから1つずつまた見ていきますが、【エンハラ(エンジョイハラスメント)】というものです。例えば「仕事を楽しもうぜ」っていうことで、楽しさを押しつける行為。
ホラン千秋キャスター:
押しつけなければ良い、楽しくやるのは良いんだもの。
南波雅俊キャスター:
ポイントは、楽しさの押しつけと強要ですから。
では続いて【スイハラ】。
ダイエット中の人にスイーツを差し入れる行為もハラスメントです。
ホラン千秋キャスター:
嬉しいんですけど、ダイエットをしていたのに買ってきてもらっちゃうと言いづらいなというのはあります。
田中ウルヴェ京さん:
これ旦那がそうです。ダイエットしてるのにケーキ買ってきてくれて。
南波雅俊キャスター:
ここまでは事例を見てきましたけれども、具体的にこんなことが起きたらどうなのでしょうか。(ハラスメント対策コンサルタント 樋口ユミ氏監修)
【事例(1)】
これを私がプレゼンするのはスタッフから私へのハラスメントではないかと思うんですが、生放送でB’zのモノマネをして場がしらけた場合、これはどうしたらいいのかというところです。
ダメなのは同僚の前で叱責をして見せしめにするとダメ。
でも、個人攻撃をせずに「南波が歌を歌ってしらけた」という事実をスタッフの中で共有し、個別の対策をじっくりと話し合うということは対応として正しい行為だそうです。
【事例(2)】
2つ目、例えばスタッフルームで井上さんから私に「週末何してる?」と聞く。この質問はセーフなのかアウトなのか。
例えば、勤怠管理として週末に仕事を与えるので聞いたとすればセーフ。ただ、業務に不要な私生活を尋ねた場合、これもアウトになりかねないということです。
ホラン千秋キャスター:
でも何も言わずに不機嫌になるっていうこともハラスメントになりうるので、やっぱり適度にコミュニケーションをとらなくてはいけないんですよ。
(04日20:06)
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