きょうから1部・2部などから「3市場」に 東証60年ぶりの再編 “狙いは低迷からの脱却”
東京証券取引所ではきょうから新しい区分での取引が始まりました。生まれ変わった東証、その狙いと問題点とは?
記者
「午前9時になりました。およそ60年ぶりに新たな市場がスタートします」
東京証券取引所ではきょうから「プライム」「スタンダード」「グロース」の新たな市場区分での取引がはじまりました。これまでの区分は、1961年に始まった「1部」「2部」。その後、加わった「ジャスダック」「マザーズ」の4つに。
バブル景気にわいた1989年の年末には、時価総額の合計が611兆円になり、一時、世界最大のマーケットまで上り詰めました。しかし、現在では世界5位に転落しています。
低迷する証券市場。再生させるために行われる市場改革のポイントは「基準の厳格化」です。
これまで、最上位の一部市場は流通株式の時価総額が5億円を下回ると上場廃止となりましたが、「プライム市場」では時価総額が100億円以上など厳しい基準が設けられました。
さらに気候変動リスクの開示など時代に合った企業努力が求められています。
ところが、この基準を満たしていない企業でも「計画書」を提出すれば「経過措置」としてプライム市場に上場できる「抜け道」も用意されているのです。
巴コーポレーション 深沢 隆社長
「流通時価総額が100億円にやや届かないと。かなり判断に迷いましたが」
一部上場企業だった「巴コーポレーション」。
東京スカイツリーなど特殊な建造物の建設に携わった高い技術が売りのこの会社は、時価総額が100億円の基準に届かず、今回、スタンダード市場への移行を決断しました。
社長は「達成が非常に難しいことを次世代の課題として残したくない」として「抜け道」を通らず、経営計画を見直すことを選びました。
巴コーポレーション 深沢 隆社長
「いつでもプライムにチャレンジできるような体制を作るのが先かな」
経過措置という「抜け道」。市場関係者からは“基準が厳しくなっていない”と批判の声があがります。
基準を満たしていないにもかかわらず、「経過措置」によってプライム上場をする企業は295社。本当に日本の価値を上げることができるのか、不透明な船出となりました。
(04日14:21)
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