【ふるさと納税】利用増加で税収流出も… 自治体の対策は?
今年の申込期限が迫っている「ふるさと納税」ですが、制度の利用者は、年々増えています。しかし、利用者の増加とともに都市部の自治体は税収の流出に苦慮していて、これを乗り越えるための様々な取り組みが始まっています。
デミグラスソースでじっくりと煮込み、牛肉のうま味が溶け出したハヤシライス。東京・上野公園内にある老舗レストランの食事券や、その味をおうちでも楽しめる冷凍ギフトセット。台東区は今年10月から、返礼品に力を入れたふるさと納税を始めました。
精養軒 総支配人・秋元秀夫さん
「(コロナで)お客様が少ない状況の中で、こうしてふるさと納税の制度を使って、お客様にいらっしゃって頂けるのは、非常にありがたいなと思っています」
他にも、伝統工芸の切り子体験や浅草の料亭でのお座敷遊びなど、有名な観光地をかかえる台東区ならではの返礼品を用意し、すでに3000万円以上の寄付がよせられているといいます。
今回、台東区が返礼品にこだわった理由のひとつが――
台東区 企画財政部企画課・越智浩史課長
「(ふるさと納税の)寄付金の控除によりまして、区民税の減収額は令和3年度は、約10億円という状況でございます」
ふるさと納税で居住地以外の自治体に寄付をすると、税金が控除されますが、居住している自治体にとっては、本来入るはずの税収が“流出”することになります。
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今年度、全国で最も多い177億円が流出している神奈川県横浜市も返礼品に力を入れ始めています。小さいシューマイが詰まった、“崎陽軒のジャンボシウマイ”など、ふるさと納税限定品を充実させました。寄付額は1年でおよそ3倍に増え、今年度も返礼品の数を倍近く増やしているといいます。
ただ、横浜市の場合は減収額の75%が地方交付税で補填されます。その上で返礼品に力を入れた訳は――
横浜市 財政局財源課長・足利有喜さん
「返礼品を通じて横浜の魅力をぜひPRしたいという思いもありましたし、市内の事業者様の協力を得て(返礼品を)拡充したことが、ひとつ大きな力になったのかなと思っています」
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一方、返礼品に頼らないふるさと納税もあります。
世田谷区政策経営部 経営改革・官民連携担当課長 高井浩幸さん
「(流出額が)行政運営に影響が出かねない額だと思っています」
東京・世田谷区は、今年度およそ70億円が流出しました。行政サービスに影響が出る恐れもあるといいます。そこで力を入れたのが、コロナ対策や区の庁舎の整備など寄付の使い道を自分で決めることができるふるさと納税です。
これまでに、寄付金で区内の公園にあるSLの修繕を行いました。
世田谷区政策経営部・高井浩幸さん
「(寄付金の)使い道が明らかですので、納税をした事による効果をはっきり認識していただいて、積極的に寄付していただく事が増えている」
税収の流出に頭を悩ます自治体。返礼品や寄付金の使い道に工夫を凝らし、地元の魅力アップにつなげる動きが広がっています。
(2021年12月23日放送「news every.」より)
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