ロシア軍再配備で東部攻勢の一方「キーウからの撤退はない」軍事専門家が解説(2022年4月1日)

ロシア軍再配備で東部攻勢の一方「キーウからの撤退はない」軍事専門家が解説(2022年4月1日)

ロシア軍再配備で東部攻勢の一方「キーウからの撤退はない」軍事専門家が解説(2022年4月1日)

停戦に向けた協議が、オンライン形式で再開されました。しかし、水を差す出来事が続いていて、先行きは見通せません。

◆国際安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の高橋杉雄さんに聞きます。

ロシア軍が北部の戦力を縮小していることについて、ゼレンスキー大統領は「ロシア側の戦略である可能性」と指摘。ウクライナにとって、戦況の困難な場所にロシア側が戦力を向けようとしているとして、ドンバス地方やクリミア半島に繋がるマリウポリ、さらにハルキウへの攻撃を警戒しています。

(Q.ロシア軍は、ドンバス地方の攻勢をより一層強めようとしています。今後、さらに兵力を追加していくことはあるのでしょうか)
東部を重視すると言っていますので、民間軍事会社やジョージアから兵力を転用するという情報もあります。ロシアのほかの部分から集めた兵力をドネツクなどに向けていくという計画だと思います。もともと、侵攻を始めたときにハルキウの包囲を行いましたが、ハルキウを包囲をした部隊がキーウに向かうと思っていました。しかし、実際には、南東に向かいました。最初からドネツク方面を狙っていたと思うと、新しく動員される兵力は、そっちに集中していくと思います。

(Q.ロシアのベルゴロド州にある燃料貯蔵施設で火災が発生しました。ウクライナが空爆したとロシア側が主張しているようですが、どうみますか)
現段階で判断が難しいです。偽旗作戦の可能性もあります。しかし、激戦を戦っている最中に、燃料を補給する拠点、ベルゴロド州を、わざわざ政治的なメリットがあるからといって、自作自演で攻撃するというのは考えにくいです。一方、ウクライナは、攻撃する理由はありますが、包囲されている状況ですので、相当ギャンブル性が高い作戦、難しい作戦ということになります。ウクライナ側が、いま、この段階でヘリコプターでやるような作戦なのかというと、そこにも疑問があります。現時点で、本当に判断しにくいです。

そして、プーチン大統領に、すぐ報告が上がって、プーチン大統領が「明らかにエスカレーションだ。これでは停戦交渉はできない」というような発言をしています。その手回しの良さというのも気になります。

(Q.アメリカの国防総省は、キーウ周辺のロシア軍部隊の20%以下が離れたと発表していましたが、キーウが攻撃対象から外れたのでしょうか)
現状は、短期的にキーウの攻略は不可能ですから、部隊を下げて、休養あるいは再補充する必要があります。そこから完全に部隊を引き離してしまうと、ウクライナ軍がドネツク、クリミア方面に部隊を転用できるようになりますから、それはロシアとして避けたいはずです。ロシア側は、隙があればキーウを攻撃できる、攻略作戦を再考できるという形を維持するのではないかと思います。

(Q.東部への攻撃は強めていく一方で、ロシア軍の士気の低さが、これまでの分析で指摘されています。
侵攻から1カ月以上過ぎた“いまのロシア軍の士気”は、どうでしょうか)
夏から演習を展開していて、しかも戦争がうまくいっていないとなると、士気が高いわけはない。ただ、情報をいろいろ聞いてみると、士気が落ちている部隊もあれば、混乱していない部隊もあり、部隊ごとに違う感じがします。

(Q.ロシアはキーウへの攻勢から東部攻勢に方針転換しました。今後、どうなっていくとみていますか)
基本的には長期化の方向だと思います。キーウを攻略、あるいは厳しく包囲し、ウクライナ政府を屈服させれば、早めに勝利する可能性がロシアに出てきますが、東部、南部では決定的な勝利を得られません。だから、長期な消耗戦が続く可能性が高いと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事