ウクライナ提案“新たな枠組み”常任理事国などが保証・・・実現性は 専門家に聞く(2022年3月30日)

ウクライナ提案“新たな枠組み”常任理事国などが保証・・・実現性は 専門家に聞く(2022年3月30日)

ウクライナ提案“新たな枠組み”常任理事国などが保証・・・実現性は 専門家に聞く(2022年3月30日)

29日に行われたロシアとウクライナの停戦協議で、ウクライナ側は『安全保障の新たな枠組みが機能すれば「中立化」に同意』を提案しました。この“安全保障の新たな枠組み”について詳細な情報が入ってきました。

ウクライナ大統領府によりますと、安全保障の枠組みとして、ロシアを除く、国連安保理の常任理事国と、カナダ・トルコ・ポーランド・イスラエル・ドイツ・イタリアといった6カ国を保証国として望んでいるということです。常任理事国でもあるロシアについては「別途協議する必要がある」としています。

この保証国は、ウクライナが攻撃を受けたら3日以内に協議を行い、軍備支援や空域閉鎖を行うといった軍事支援を行う義務を負ってほしいということです。

この枠組みについて、ロシア以外の国の担当者と文書の草案を議論中だということです。

ロシア情勢に詳しい、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.ウクライナ大統領府が投げた案は実現可能だと思いますか)

実現の道のりは険しいという印象です。ウクライナ側が理想とする安全保障のモデルだと思います。ロシアは、ウクライナがこういう意見表明をしてきたことは評価するという態度を示していますが、内容に関してどう受け止めているかは明らかになっていません。

保証国の数が多く、軍事支援の義務がどういうものなのか。各国と軍事支援の内容について、どの程度詰めていくことができるのかは、今後の交渉の行方をみていかなければいけません。ただ、各国とすでに条約案の議論をしているということなので、これがどの程度進展していくのか注目していきたいと思います。

(Q.ロシアはここに関わりたいという気持ちがありますか)

ウクライナが核を放棄する際、アメリカ・イギリス・ロシアの3カ国がウクライナの安全を保証するというブタペスト覚書には、ロシアが入っていました。ロシアを抜くことは受け入れられないと思いますので、ロシアは最終的に、ロシアも入れた枠組みを要求してくる可能性が高いと思います。それから中国も入ってきます。もし中ロが入ってくることになると、中ロの意見をどの程度、盛り込んでいくのか。中ロと西側諸国の意見のすり合わせは簡単ではないと思います。

(Q.ドンバス地方やクリミア半島について、ロシアは「ウクライナは武力による奪還は断念した」と主張しています。これは何を意味していますか)

ロシアとウクライナの認識がずれている可能性があります。ウクライナは「今後15年間、ロシアとの協議を提案」としていて、帰属に関して事実上の棚上げにするという話だと思います。そこをロシアは2地域を武力奪還する可能性はないと解釈をしているんだと思います。

(Q.停戦協議でロシアは「首都キエフやチェルニヒウの軍事活動を大幅に縮小する」と発表していますが、
アメリカの国防総省は「撤退ではなく再配置」と分析していて、ブリンケン国務長官は「ロシアの真剣さを示す兆候は見えない」と警告しています。ここをどうみますか)

キエフの包囲はうまくいっていないので、あたかもロシア側が譲歩しているかのように利用しているのだと思います。キエフ陥落は難しくなっていますが、大幅に軍を撤退しているわけではありません。引き続きキエフを軍事的に圧力をかけながら、交渉で有利な条件を引き出したい狙いがあると思います。

軍の再配置の可能性もあると思います。ロシアは今後、軍事作戦を東部に集中させると言っていますし、南部も戦闘が激化しています。一部の部隊を移動させる可能性はあると思います。

(Q.ウクライナ東部から南部にかけた一帯を手中に収めるため、ロシアは今後も軍事作戦を継続していくという見方をしておくべきですか)

一番の焦点はマリウポリです。ロシアはここを落とすことによって、東部からクリミア半島まで抑えていきたい。さらにはオデッサ、ロシア軍が駐留する隣国のモルドバまで軍事的に拡大していきたいという意図があると思います。

そうすると黒海への出口を抑えることができるので、ウクライナは海への出口がふさがれた形になります。西側への攻撃は簡単ではないので苦戦はすると思いますが、攻撃の手は緩めていないと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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