ゼレンスキー氏「信用ならない」 “一定の進展”も予断許さぬ停戦協議(2022年3月30日)
29日に行われたロシアとウクライナの停戦協議は「一定の進展」があったとみられる一方で、協議のさなかにもミサイル攻撃が行われるなど、合意に向けて「懐疑的な見方」が広がっています。
停戦協議が進展したと思っていた人々に冷や水を浴びせた格好です。29日、ウクライナ南部のミコライウでロシア軍のミサイル攻撃があり、州庁舎の建物が破壊されました。これまでに12人が死亡、34人が負傷したといいます。
住民:「同じ階の女の子が亡くなった。冗談でしょ?その子をハグして2分しか経っていない」「恐ろしかった。本当に恐ろしかった」
停戦協議が進展したとされるなかでの攻撃。事態は本当に停戦に向かっているのでしょうか・・・。
29日、トルコで行われた停戦協議ではウクライナ側は、ポーランドなどが安全を保証することを条件として、ロシアの求める「中立化」に応じ、軍事同盟への参加に固執しない姿勢を示しました。
一方、ロシア側代表団は協議終了後、現在、ウクライナのキエフなどに展開しているロシア軍の兵力について、大幅に削減する方針を表明したのです。
CNNは29日、複数のアメリカ政府高官の見解としてロシア軍の一部に、首都キエフを含む北部の街から撤退を始める動きがあると報じました。
CNN(29日):「アメリカの情報機関は、ロシア軍の撤退は戦略の大転換にあたると主張している」
また、ポーランドに拠点を置くベラルーシの独立系メディアも、ロシアが「ウクライナの一部から撤退することを正式に認めた」と報じました。
ベラルーシ独立メディア「ハルティウ97」:「ウクライナ軍の参謀は『敵は攻撃作戦の目標を達成できなかった』と伝えた」
キエフ近郊の街では、ウクライナ兵がこう話します。
ウクライナ兵:「今、ロシア軍からの激しい攻撃はない。戦車や兵士も少なくなっている」
また、キエフ防衛を担当するウクライナ軍司令官も・・・。
ウクライナ軍の司令官:「皆、集まれ」
記念写真を撮るなど、キエフ近郊のイルピンの大部分をウクライナ軍が奪還したと喜んでいました。
また、停戦協議では、ロシア側によりますと、ウクライナ側の提案では親ロシア派が一部を占領しているドンバス地方や、ロシアが一方的に併合したクリミア半島について、ウクライナ側が「武力による奪還は断念する」と表明したといいます。
また、ロシア側は、ウクライナはEU(ヨーロッパ連合)への加盟を目指すものの、「永世中立国」になると宣言したとも話しました。
ロシア、メジンスキー大統領補佐官:「両首脳の会談は、合意文書の調印が可能になった時に可能になる」
さらに、ロシア側は両国間の停戦協議の書類がまとまればプーチン大統領とゼレンスキー大統領による会談を行い、両国の外相間で平和条約の調印を行うことを提案したといいます。
ロシア代表団のメジンスキー大統領補佐官はこの日の協議について「交渉は2歩前進した」と話しました。当初、両者の隔たりがあまりに大きかったことを考えれば、停戦への光明が見えてきたといえるのでしょうか。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは信用できない」と警戒心を示します。
ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「我々を破壊するために戦い続ける国の代表者の言葉を、信用する理由はない」
また、停戦協議の進展については、アメリカ政府から懐疑的な見方が相次いで示されています。
アメリカ国防総省・カービー報道官:「これは再配備であり、本当の撤退ではない」
アメリカ国防総省のカービー報道官は、キエフ周辺から移動を始めたロシア軍は、実は少数で、大部分が依然としてとどまっていることから「キエフへの脅威が去った訳ではない」と警告しました。
アメリカ、バイデン大統領:「実際に現場で何が起きているのか、読み取ることはできない。ロシア側が提案通り動くのか、引き続き見ていくつもりだ」
そんななか、再び持ち上がったのがロシアによるさらなる戦力の投入です。
イギリス国防省:「ロシアの民間軍事会社『ワグネルグループ』がウクライナ東部に派遣された」
ロシアの民間軍事会社がウクライナ東部に投入された本当の目的とは・・・。
イギリス国防省によりますと、ロシア側は民間軍事会社「ワグネル」の傭兵(ようへい)1000人以上をウクライナ東部に派遣したとみられるといいます。
イギリス国防省:「傭兵1000人以上が投入されると想定される。組織幹部も含めて戦闘作戦を展開する」
停戦協議が進展したとされるなか、ロシア側は攻撃の手を緩めないというのでしょうか・・・。確かに、ロシア側の言う兵力の大幅削減は、北部キエフなどに展開する兵のことです。
ロシアの独立系メディアは、こう分析します。
ロシア独立系メディア「メデューサ」:「明らかにロシア軍のキエフ作戦は失敗した。司令部は計画の誤りを正し、敵に決定的な敗北を与えられる(東部)ドンバスに全戦力を集中することにしたのだ」
停戦協定でロシアが表明した北部キエフなどでの兵力削減は“譲歩”ではなく、戦力を東部に集中させるためだというのです。
お互いが歩み寄ったように見えた停戦協議。しかし、お互いの腹のなかで絡み合う、その思惑とは・・・。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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