合意の準備あるが問題は領土・・・3週間ぶりの停戦協議に進展か(2022年3月29日)
ウクライナとロシアの対面での停戦協議が29日、行われました。協議のホスト役であるトルコ・エルドアン大統領のスピーチから始まりました。
トルコ・エルドアン大統領:「一刻も早く休戦と平和が確保されることが、皆の利益となるでしょう。我々は会談で具体的な結果を出さなければならない時期に入った。あなた方の交渉の進展により、次の段階、指導者レベルでの交渉も可能となるでしょう」
フィナンシャル・タイムズ紙は、「ウクライナ側はロシアが日ごとに態度を変えてきていることを懸念している」という話を伝えています。また、ロイター通信は、アメリカ国務省高官の話として「プーチン大統領は現時点で、戦争終結に向けた妥協の用意はない模様」と報じています。
ロシアが要求しているのは、大きく6つです。そもそも、この6つは、侵攻前にロシアが提示してきたものだとゼレンスキー大統領は説明してします。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「まず第一に“非武装化”や“非ナチ化”を話し合おうというのなら、協議のテーブルについていない。まったく理解不能。ロシア語については協議している。隣国の言語に対する敬意を払うのは当たり前。安全保障と中立化の保障、ウクライナの非核化については、合意する準備ができている」
ただ、一番問題になっているのはドンバス地域の帰属、そして、クリミア半島の帰属といった領土に関するものです。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「ロシア軍を2月24日以前(侵攻前)のラインまで撤退させること。これは妥協。侵攻が始まる前の場所に戻ってください。それから複雑なドンバス地方の問題を解決しよう。私は、この戦争を終わらせたい。ドンバスやクリミアを攻撃しようとは考えていない。数千人が死ぬことになる。その結果、手に入れた領土にどんな価値があるというのか。」
最近のロシア側からの情報や欧米の報道を見ると、明らかにドンバス地方、親ロシアの支配地域の物が増えてきました。8年前のクリミア半島侵略やシリア、アフリカで運用していた民間軍事会社を投入したという話も出てきています。
CNN:「悪名高いあの“ワグネル”が東部の戦闘に投入された意味は。プーチン大統領は死亡した司令官や指揮官の代わりに傭兵を投入したのか」
元アメリカ空軍大佐・レイトン氏:「士官の代役ではなく、恐怖心を煽るのが彼らの仕事。戦争のルールとは、無縁の兵士たち。現在は東部地域に投入され、マリウポリで“最後の抵抗”の排除や、ハリコフやメリトポリなど、南部方面に展開する恐れもある」
マリウポリの中心部は、ウクライナ軍が死守していて、ロシア軍の攻撃は外からミサイルを撃ち込むといったものが中心になっています。その一方で、郊外では、事実上の実効支配を始めています。
一方のウクライナ軍。首都キエフ近郊などでは、攻勢に転じているところが増えてきました。今月初めにロシア軍の侵攻を止めるため、橋を爆破し、住民たちが川を渡りながら避難していたイルピンです。
イルピン・マルクシン市長:「きょうイルピンは解放された。この街が続けて攻撃されることは理解している。私たちは、この街を勇敢に守っていく。イルピンはウクライナだ」
キエフでは、夜間の外出禁止令が緩和されるなど、少しだけ緊張が緩みました。爆風で割れた窓や、車を直す住民たちの姿がありました。長い行列ができているところもあります。食料品の配給です。元々、カフェだったところは、高齢者の避難所を兼ねたボランティアの拠点のような場所になっています。オーナが不在のため、ボランティアのミーシャさんが、いまはこの場所を守っています。最近、一つの変化に気付いたといいます。
キエフ在住・ミーシャさん:「数日前から車が多くなっている。人が戻っている。お金がなくなったのかもしれない。家でないところに住むのはやっぱりお金がかかる」
キエフでは、10日ほど前からオンライン授業も再開しました。32人いたクラスですが、キエフに残ったのは2人だけです。ただ、この日はさまざまな避難している場所から20人が授業に参加しました。サーニャさん(15)に、いま行われている停戦協議について聞きました。
キエフ在住・サーニャさん:「ロシアはとてもおかしな要求をしている。『ウクライナは降伏しなければならない。そうすれば全て上手くいく』と。私見だが、このような協議は意味がない。形式的なもの。正直なところ私の希望は実現しないだろう。遅かれ早かれ戦争は終わるが、協議は最速の方法ではないと思う」
日本時間29日午後4時過ぎから、2日の日程で始まった停戦協議。初日は終了しました。
ロシア国防省・フォミン次官:「ロシア国防省は、相互信頼を高めるため、そして、今後の協議で最終的な合意に達するため、キエフとチェルニヒウ方面での軍事活動を縮小することを決めた」
ウクライナ代表団・ポドリャク大統領府顧問:「きょうウクライナ側は安全保障のバージョンを提示した。それをロシア側が検討することになった。そこでは、火(攻撃)を止めることに関して、わたしたちのすべての要求を出した。ウクライナからすべてのロシア兵を撤退させ、平和的な計画へ移行すること」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く