イラン拘束の英女性帰国 6年ぶり 解放のカギは40年前の「戦車販売契約」

イラン拘束の英女性帰国 6年ぶり 解放のカギは40年前の「戦車販売契約」

イラン拘束の英女性帰国 6年ぶり 解放のカギは40年前の「戦車販売契約」

イランで拘束されていたイギリス人女性が6年ぶりに解放され、イギリスに帰国しました。同時にイギリスは40年以上前にさかのぼる4億ポンドの負債をイランに支払うことを決めました。

現地時間17日未明、イギリスとイランの二重国籍を持つナザニン・ザハリ・ラトクリフさんは同じくイランで拘束されていたもう1人の二重国籍の男性とともにイギリスの空軍基地に到着しました。

ラトクリフさんは2016年、当時1歳の娘と共にイランに住む両親のもとを訪れていましたが、帰る際にテヘランの空港で拘束され、「イランの政権転覆を計画した」として有罪判決を受けて収監されました。娘はラトクリフさんの両親の家に引き取られました。

ラトクリフさんの夫・リチャードさんは「事実無根」だとして解放を訴え続け、娘のガブリエラさんも2019年に就学のためにイギリスに戻った後はしばしば活動に加わりました。

イギリス政府は、イランがラトクリフさんら二重国籍者を拘束して外交の駆け引きに利用していると見て交渉を続けてきましたが、カギとなったのがイギリスのイランに対する長年の負債でした。

イギリスは1970年代に1500台以上の戦車をイランに売る契約をし、イランは代金を支払いましたが、1979年にイラン革命が起き、反欧米路線の政権が誕生したため、イギリスは戦車の引き渡しを途中で止めていました。

イランはおよそ4億ポンドの払い戻しを要求し、イギリスも支払い義務があることを認めていましたが、イランには核疑惑などでの経済制裁が科されていたことなどから支払いが困難となっていました。

今回イギリス政府は、払い戻す代金が「人道的な目的に使用されるとの確約を得た」などとして支払いが可能になったと説明。4億ポンドの支払いとラトクリフさんらの解放の関係については「別々の問題であって身代金の支払いではない」と主張しています。

ラトクリフさんは帰国後、夫や娘と再会、6年ぶりに3人で夜を過ごしました。
(18日02:25)

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