若者の不安どう救う?日韓関係の改善は?“大接戦”韓国の新大統領は・・・(2022年3月9日)
5年ぶりの政権交代となるかが焦点の韓国の大統領選挙は9日、投票が行われました。
与党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)候補。市長や知事などの経験を持ち、市民目線の政治を訴えます。一方、政権交代を目指す野党『国民の力』の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補。検察トップとして、大統領側近の疑惑を追及した人物です。
9日に韓国メディアが発表した出口調査では、与野党候補が0.6ポイント差の大接戦になっています。背景にあるのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権での高い失業率や所得格差の問題。そのなかでも、最大の焦点が“不動産価格の高騰”です。
ソウル市内のマンションの平均価格は、文政権が発足したときには、6000万円ほどでしたが、1億2000万円にまで高騰。わずか5年で2倍になっています。
富者不動産・金義泰(キム・ウィテ)代表:「分譲住宅の抽選に当たっても、お金を工面できないので買えない。結局、富裕層しか買えない」
こうした状況のなかで、与野党の候補がターゲットにするのが、格差にあえぐ“若い世代”の票です。5年前の大統領選では、20代~30代の投票率は70%を超え、勝敗を左右しました。
ソウルで暮らす金佑澤(キム・ウテク)さん (23)。音響関係の仕事をして、年収は350万円ほどです。将来、結婚してマイホームを持ちたいと考えています。
金佑澤さん:「いまは貯金をして、経験を重ねて、未来への準備が必要なのに、毎月の家賃を払うと、貯金がほとんどできない」
厳しい学歴社会の韓国。大学を出たのに就職できず、就職したのに家も買えない。こうした若者は、就職、恋愛、結婚、出産、マイホームの5つをあきらめた『5放世代』と呼ばれています。
金佑澤さん:「家賃は上がりっぱなしで、私たちは結婚できるのか。こうした心の負担を少しでも軽くしてくれる人が当選すればいいと思う」
与野党の候補は、最後まで若い世代に支持を呼び掛けました。
与党『共に民主党』李在明候補:「この国の希望にあふれる未来を、国民と共に必ず作って行く」
野党『国民の力』尹錫悦候補:「子どもたちが幸せな国、青年が夢見る国を、これから作るべきではないか」
◆井上敦ソウル支局長に聞きます。
(Q.最新情報を伝えてください)
投票は午後7時半に締め切られ、開票作業が進められている。午後10時時点で、開票率は2.92%。与党・李候補が53.0%、野党・尹候補が43.9%となっています。李候補がリードしていますが、これは、李候補が優勢だったとされる期日前投票の票から開票が進んでいるためだとみられています。
一方、韓国メディアが公表した出口調査の結果ですが、テレビ地上波3局の共同調査では、野党・尹候補がリードしているものの、その差は、わずか0.6ポイントしかありません。また、JTBCの調査では、与党・李候補が0.7ポイント差でリードとなっています。
各社で出口調査の結果が割れるほどの超僅差の大接戦となっていて、全く予断を許さない状況です。大勢は日付が変わるころには判明するとみられていましたが、あまりの僅差のため、当選確実が出るのはかなり遅れる見込みです。
(Q.日本との関係ですが、それぞれどのようなスタンスなのでしょうか)
尹候補は、伝統的な保守外交への回帰を表明しています。文政権の北朝鮮や中国重視の姿勢を見直し、同盟国のアメリカと民主主義の隣国・日本との関係を重視する姿勢です。日韓関係改善にも意欲を見せますが、国会では、与党『共に民主党』が、6割を占めていて、国民感情もあるなかで、大統領として、元徴用工や慰安婦問題をめぐり、日本側の要求を満たすのは容易なことではありません。
一方の与党・李候補は、対日強硬派で“韓国のトランプ”の異名で知られています。日本に対しては「信頼できる隣国なのか」「歪曲歴史教科書で教育し、独島を竹島と主張し、慰安婦を否定している」などと、激しい発言を繰り返してきました。李候補が“当選”となれば、文政権の5年で悪化した日韓関係は、より一層悪化するとみられます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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