【解説】「カップヌードル」「どん兵衛」「U.F.O.」値上げを小売店に要求 日清食品に公取が警告「強く非難」背景に何が?

【解説】「カップヌードル」「どん兵衛」「U.F.O.」値上げを小売店に要求 日清食品に公取が警告「強く非難」背景に何が?

【解説】「カップヌードル」「どん兵衛」「U.F.O.」値上げを小売店に要求 日清食品に公取が警告「強く非難」背景に何が?

 食品メーカー大手の「日清食品」が、「カップヌードル」などの商品の販売価格の値上げを強要したとして公正取引委員会から、警告を受けました。

 公正取引委員会
「日清食品は業界のトップメーカー。消費者に身近な商品で、消費者の利益を直接、毀損する形で行為が行われたという意味では、強く非難されても仕方がない」

 即席麺市場でトップシェアを誇る日清食品による不当な値上げ要求について、公正取引委員会は、厳しく批判しました。

 公正取引委員会によりますと、不正が行われたのは、3種類の「カップヌードル」や「どん兵衛」「焼そばU.F.O.」の合わせて5つの主力商品です。2022年と去年に希望小売価格を値上げした際に、全国の小売店に対して、販売価格もあわせて値上げするよう求めたということです。

 値上げをしない小売店に対しては、何度もしつこく値上げを求めたこともあったといいます。

 日清食品の担当者(吹き替え)
「別の小売店も、要請に従って値上げ予定です」

 さらに、日清食品の担当者が店舗に出向いて、 陳列棚の値札やレシートをチェックしていたことも分かりました。

 メーカーが、スーパーなどの小売店に販売価格を指定すると、小売店が値下げするなどの自由な競争を妨げることになります。これにより消費者は、商品を不当に高く買わなければならなくなるため、こうした行為は、独占禁止法で禁止されています。

 公正取引委員会は、22日、日清食品が独占禁止法に違反した疑いがあるとして、警告したと発表しました。

 公正取引委員会
「今後も食品の値上げが続く中、こういったことが今後行われることは非常に問題ですので、このタイミングで時期を逸することなく、食品業界全体に対して不当な行為が行われることがないよう、今回警告しました」

 一方、日清食品ホールディングスは、「今回の警告を重く受け止め、法令順守の体制をより強固なものにするべく改善に取り組んでまいります。ご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを、 深くお詫び申し上げます」とコメントしています。

 独占禁止法に詳しい専門家は、こうした不正の背景には、メーカー側のある事情があるのではと指摘します。

 独占禁止法に詳しい同志社大学 小林渉 特別客員教授
「(メーカー側の)製造コストが上がっているのが背景にあると考えられます。本来だときちんと交渉してこういう事情があるから値上げを認めて欲しいと買い手(小売店)に値上げ交渉していくというのが筋だと思うが、 それがなかなか難しくて、こういった再販売価格の拘束などの問題になる行為をしてしまったのかなと。1番被害を被るのは、消費者ではないか」

 この秋には、再び、様々な商品の値上げラッシュが訪れるとされています。

 公正取引委員会は、不当な値上げ要求がなされていないか監視を強めていきたいとしています。

■日清食品が小売店に値上げ要求

(報告:渡邊幹也アナウンサー)

 消費者は安く買えるはずが、なぜ日清食品がこのようなことを行ってしまったのかといいますと、2022年から去年にかけて原料や輸送費などが高騰しています。そのためカップヌードルなどの希望小売価格を上げました。そして、その後商品の販売価格の値上げ要求を、小売店にしたということです。

 ただ小売店は、自由に自分たちが売る物の値段を決めていいということになっているんですが、このような値上げ要求であったりだとか、日清食品の担当者が来て、店頭価格の確認などを行った圧力があったということで、自由に価格が決められなくなり、消費者の安く買いたい需要と反して、高くなってしまいました。それが今回、消費者のメリットを奪う独占禁止法違反の恐れがあると公正取引委員会が言ったということです。

■日清食品は2015年から販売価格の値上げ要求を始めたか

 さらには、こんなことも行われていました。
 2015年からガイドラインを作成し、販売価格の値上げ要求を始め、全国の小売業者にやっていたということです。さらには、小売業者に対して競合他社の販売価格表をメールで送信して、安くしなさいよではなく、高くもっと上げられるよというようなこともしていた疑いもあるということです。

(黒木千晶キャスター)
 小売側、スーパー側からしたらプレッシャーを感じることですね。
 
(渡邊アナウンサ)ー
 では、なぜ大手の日清食品がこのようなことをしたのか、専門家に聞きました。

■背景には“価格転嫁の難しさ”

 「原価が上がり販売価格の値上げ交渉が大変な中、ブランド力で強いやり方をしてしまったのではないか」ということです。
 日清食品の事例なんですけれども、スーパーの方に話を聞きますと、「もともと安く売らないでという話があった上で仕入れている商品もある」ということです。「事実上『店頭で値下げして売るなら納品しない』という意味だろう」とも捉えていました。

 では、なぜこのようなことが起こってしまうのかといいますと、“価格転嫁の難しさ”が挙げられます。

 消費者と一番近い立場にあるのが小売店などスーパーということで、ここは安くしたいんですけども、安くしすぎるとメーカー側が利益を得られないということで、その辺が難しいということなんです。

 そして今回、公正取引委員会は「今後も食品の値上げが続く中で、食品業界全体に対して不当な行為が行われることがないように今回警告した」ということです。

 価格転嫁というところが難しくはなってくるんですけれども、正当な取引をやっていただきたいなと思います。

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