米西海岸“The Big One”に備え 広がる津波対策“垂直避難”
“The Big One”とよばれる巨大地震に備え、アメリカ西海岸では11年前の東日本大震災をきっかけにある津波対策が広がりを見せています。
静寂の中、立ち並ぶ枯れ果てた木々。
その姿から「幽霊の森」と呼ばれるこの一帯は、アメリカ西部ワシントン州が津波の脅威に直面していることを示しています。
記者
「この辺り、海から1キロほど離れた場所なんですが、津波によって運ばれてきた海水の塩分によって木々が枯れたと言うことです」
幽霊の森を作った地震と津波は322年前に起きました。それ以来、太平洋沖の震源域はエネルギーを蓄え続けていて、次の巨大地震、“The Big One”への警戒が強まっています。
ワシントン州地質調査所 コリーナ・アレンさん
「マグニチュード9のThe Big Oneは、規模や放出されるエネルギー、津波が東日本大震災に非常によく似ています」
州の想定では地震発生後、25分以内に3メートルを超える津波が沿岸に到達します。
「幽霊の森」の近くにあるウエストポート市。高台やビルがほとんどないこの街で津波対策が大きく動いたのは、東日本大震災がきっかけでした。
地元の学校区の元責任者 ポーラ・エイカーランドさん
「東日本大震災を機に、自分たちの備えが十分ではないことを認識しました」
東日本大震災の4か月後に地元の学校区の責任者になったポーラ・エイカーランドさん。
当時、津波避難マニュアルを見て衝撃を受けました。700人の子どもたちをバスに乗せて内陸に逃げる計画で、唯一のルートにかかる橋は、地震で崩落するおそれがあったからです。
地元の学校区の元責任者 ポーラ・エイカーランドさん
「小学校を建て直す予定だったので、“垂直避難施設”を検討しました」
エイカーランドさんは東日本大震災後に宮城県内で津波避難ビルなどを視察した専門家らに小学校の設計を依頼しました。
そして、2階建ての予定だった校舎を4階建てに変更。遠くに逃げられない地元の人たちも守れるよう、屋上は1000人以上を収容できる避難所にしました。2016年に完成したこの小学校は、全米初の垂直避難施設なのです。
【校内放送】
「地震と津波の避難訓練です」
小学校では定期的に教室から屋上まで「垂直避難」する訓練も行っています。
地元の学校区の元責任者 ポーラ・エイカーランドさん
「垂直避難を導いたのは、日本の人たちです。多くの地域が、私たちに続いて欲しいと思います」
近くの街でも、高さ15メートルの津波避難タワーの建設が進んでいます。州内2か所目の垂直避難施設ですが、州が必要だと指摘するのは50か所以上。
命を守る対策は、広がり始めたばかりです。
(2022年03月08日19:10)
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