「窓が蜘蛛の巣状に」破損したパンタグラフが接触か…新幹線「3路線」異例の終日運休【報道ステーション】(2024年1月23日)

「窓が蜘蛛の巣状に」破損したパンタグラフが接触か…新幹線「3路線」異例の終日運休【報道ステーション】(2024年1月23日)

「窓が蜘蛛の巣状に」破損したパンタグラフが接触か…新幹線「3路線」異例の終日運休【報道ステーション】(2024年1月23日)

東北・上越・北陸の各新幹線は23日午前、さいたま市内で列車走行中に停電が発生し、東京を発着する列車が終日、運転を見合わせる事態となりました。走行中だった列車は、窓ガラスやパンタグラフが破損して停止し、現場で復旧活動にあたっていた作業員が感電する事故も起きました。JR東日本は、24日始発から通常通りの運転再開を計画しているとしています。

◆「窓がクモの巣状に」架線トラブル

上野-大宮間で新幹線が停止したのは、午前10時ごろのことでした。それから3時間近くが経過したころ、非常階段を伝って乗客たちが続々と降りてきました。一体何が起きていたのか話を聞いてみると…。

乗客
「ガタンガタンガタンと結構大きい音がして、響いて。あらどうしたんだろうって。地震経験してるもんだから、また地震かなと思って。そのうち電気がバッと消えて。はしごで降りるなんて思ってもみなかった。びっくりしました」

乗客
「私の座っている窓のところが、クモの巣状に割れました。(Q.ガラスの破片が飛んだりは)二重の窓の外側だけ割れている感じ」

乗客
「結構、衝撃というか。あ、事故だってすぐ分かる感じ。車体が斜めの状態のまま、すぐ停電になって。その状態がずっと降りるまで続いている状態でした」

JR東日本が原因を探ると、架線が地面のあたりまで垂れ下がっていたことが分かりました。現場となった上野-大宮間は、東北・北海道・秋田・山形・上越・北陸の各新幹線が通る、まさに要衝中の要衝です。一部が上下線で一時運転見合わせとなり、影響は各地に広がりました。その後、再開したところがあるものの、仙台と高崎から南は終日見合わせとなりました。

◆復旧作業員2人が感電 やけど

急がれる運転再開。その最中に新たな事態が発生しました。

周辺住民
「ドン、バーンっていう音がして。機械か何かが燃えていると思った。そしたら人が燃えていて。係員がペットボトルか何かで水をかけていて、周りの人は近寄らないように離れていた。人だと思って撮るのをやめた」

周辺住民
「その方を助けようとして、他の方が歩み寄って助けようとしたが、その方ももらい火をしてしまって。『救急車』と周りの人が叫んでいた」

JR東日本などによると、協力会社の社員1人が感電し、もう1人もやけどを負ったといいます。感電した1人は重傷です。

◆東北・上越・北陸「3路線」運休

東京から北へ向かう新幹線が、軒並み運転見合わせという事態。みどりの窓口には行列ができていました。

女性
「金沢に帰るんです。東海道新幹線の米原経由で帰ろうと思って、切符を買い直す」

仙台駅では、大勢の人が改札の前で立ち尽くしていました。駅員は乗客の対応に追われています。どうしたら目的地へたどり着けるのか。途方に暮れている家族がいました。

東京へ家族旅行予定 母親
「きょうは子どもたちと原宿に行って、ディズニーシーに行って、次の日ディズニーランドに行く予定だったんですけど。新幹線が動かないので、子連れでどうやって移動したらいいか」

子どもにとっては、ショックが大きすぎたようです。

東京へ家族旅行予定 子ども
「東京の原宿ってところと、ディズニーランドに行きたかった」

東京-長野間で一時、運転を見合わせた北陸新幹線。移動できる見通しが立たず、子どもはぐったりです。

オーストラリアから来た人
「京都に向かいます。長い旅になりそうです。数日間、スキーをやって過ごしたので、とても疲れています。大変な1日になりそうです」

長野から東京へ向かう人
「1~2時間待って動くなら待っているんですが、その見込みがないのであれば、待っていてもしょうがないかなと。元々、長野駅まで車で来たので、車で東京までもう行くしかないかな」

◆能登半島地震 支援にも影響

北陸新幹線の終点、金沢駅。能登半島地震で支援にあたっていた人も影響を受けました。

千葉市職員
「輪島に行かせてもらっていて。1週間、災害の関係で対応して、きょう帰るところでした。仕方ないので迂回(うかい)して帰る方向で考えています」

◆パンタグラフが破損 なぜ?

鉄道の大動脈を混乱に至らしめた原因は何だったのか。現場の映像を見てみると、架線を釣る金具が斜めの方向を向いているのが分かります。こうした損傷が複数あるといいます。さらに、停止している電車の屋根が損傷しているのが分かります。パンタグラフも曲がっています。

並走する埼京線から撮影された画像には、破損したパンタグラフらしきパーツが落ちているのが確認できます。窓ガラスにひびが入ったのは、パンタグラフが当たったためという可能性があります。

乗客
「外を見ていたら、上からポールのような細長いものと、それに付属した何か物体が落ちてくるなと思って。そのあとにカシャンと音がしてという感じです。窓に当たったところまでは見ていないんですけど、何か落ちてくるなという感じで。一瞬でしたけど。(Q.気付いたら窓が割れてた)はい」

◆『架線』垂れ下がりが原因か

架線は、電気が流れる『トロリー線』を上からつっていて、電化柱と架線金具でつなげています。このトロリー線からパンタグラフを通して電気を供給し、車両を動かしています。

JR東日本によると、北陸新幹線のパンタグラフや窓ガラス、架線金具で損傷が確認されたということです。

JR東日本は原因について、これから詳細に調べるとしたうえで、現時点の見立てとしては「架線が何らかの原因で垂れ下がり、そこに新幹線が入ってきて、金具を損傷させたのでは」としています。

JR東日本で線路の保守や安全管理の業務に携わり、現在は、交通計画のコンサルティング会社『ライトレール』社長の、阿部等さんに聞きます。

(Q.事故の原因は何だとみていますか)

阿部等さん
「何らかの原因で、つるしていた架線が垂れ下がっているところに、列車が入ってきて、パンタグラフが壊れてしまったと。この種の事故は、電気鉄道が生まれてから、世界中で繰り返し起きています。日本では昭和26年の桜木町事故がありました。桜木町駅で、作業ミスで架線が垂れ下がっているところに、列車が入ってしまいました。そのころの列車は木製で、火災になり、100人以上が亡くなりました」

(Q.事前に気付くことはできなかったのでしょうか)

阿部等さん
「架線が切れていれば、電気が途絶えて、非常ブレーキが自動的にかかります。ただ今回は、架線が切れていたわけではなかったので、非常ブレーキがかからなかったのかもしれません。(架線が地面についていれば)異常電流が流れるので、それも察知できますが、そこまで垂れ下がらなかった可能性があります」

◆影響は「3路線」に波及

(Q.この事故の影響は、広範囲にわたっています。大宮駅から折り返し運転にしていれば、影響を抑えられたのではないでしょうか)

阿部等さん
「トラブルが起きたのは大宮駅の南ですから、大宮から北は何も起きていません。電気設備は長い区間を一括で管理するので、大宮駅に電気を流せなくなっている可能性もありますが、それは直せばできる話です。大宮駅から北側を運行すれば、大宮から東京は京浜東北線などが走っているので、ここまで影響が広がることはないのになと。次回からは大宮駅での折り返しがスムーズにできるようになってほしいと思います」

◆“復旧”最中にも事故…なぜ?

この事故に関連し、作業員が感電する事故が起きました。JR東日本によると、「他の電車を動かすために電気を流した。通常なら、停電させてから作業しなければならなかったのに、停電させていなかったので感電した。現場の連絡状況については、今後調査する」としています。

(Q.こうした事故は起こり得ることですか)

阿部等さん
「新幹線の架線には、2万5000ボルトの高電圧が流れているので、触らなくても、近付くだけで感電してしまいます。想像ですが、下り線側に3本止まったので、恐らくそれを動かすために流した。その連絡がどこかで滞り、作業員が感電してしまった可能性があります」

(Q.今後の対策にはどういったことが求められますか)

阿部等さん
「電流が流れている所では作業をしないための、チェック体制。羽田空港での事故もそうですが、人間の伝達だと、どうしても伝達ミスや聞き間違いが起きてしまいます。チェックをしっかりというのはありますが、ゼロにするのはなかなか難しい。今回をきっかけにより万全な対策が取れるはずです」

(Q.今回の事故で反省すべき点、考えるべき点はたくさんありそうですね)

阿部等さん
「東海道新幹線で10年前、有楽町で火災があった時に、品川から向こうで運転すれば問題なかったのに、東京-博多間が丸一日止まってしまいました。次回からはそうならないように、鉄道業界に頑張ってほしいと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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