“震源の町”倒壊住宅も手つかずのまま 液状化で住宅地一変「側方流動」で被害拡大【サンデーステーション】(2024年1月15日)

“震源の町”倒壊住宅も手つかずのまま 液状化で住宅地一変「側方流動」で被害拡大【サンデーステーション】(2024年1月15日)

“震源の町”倒壊住宅も手つかずのまま 液状化で住宅地一変「側方流動」で被害拡大【サンデーステーション】(2024年1月15日)

少しずつ孤立解消に向かう能登半島地震の被災地。
しかし、復旧は遠く、被災者は地元を離れ“二次避難”する決断を迫られています。
番組のカメラは孤立が続いていた震源近くの町に入りました

■“震源の町”の実情…手つかずの倒壊住宅

(佐々木一真アナウンサー)「ああ、ここ土砂崩れが起きてますね。数十mに渡って崩れてしまっています。」
元日に能登半島を襲った地震。その震源は、珠洲市の北部。きょう14日、サンデーステーションは、震源に近い大谷町へ向かいました。
「このまま進むと大谷町ですね。
(佐々木一真アナウンサー)「こちら木が倒れて電線に引っ掛かったままとなっています」
歩くこと1時間…
「あちら集落が見えてきました。ここが今回の震源に近い大谷町です。大谷町も甚大な被害が出ています。こちらの住宅は1階部分が完全につぶれてしまっています。」
倒壊した住宅が手つかずのまま残っていました。
「ここどなたか住んでいるようですね。行ってみましょうか」
敷地内には亀裂が…
「大谷の取材に来ておりまして、ちょっとお話お伺いしてもいいですか?」
大谷町に暮らす吉原さん。電気・水道は止まったままです。
(吉原ひのえさん(70))「お風呂はまだ入れないんです。10日以上入っていません。」
ここ大谷町には今も孤立状態の集落がいくつもあります
(吉原ひのえさん)「この上はまだ孤立して。集落で集会所があるもんで、そこに集まっています。」
Q.何人くらい住んでいる地区?
「40人から50人くらいいるんじゃないかな」

(宮本華記者)「ヘリが降下を始めました。まもなく西保地区に着きます。切り立った山々と海に囲まれた地域です」
自衛隊のヘリが向かったのは、輪島市の西保地区。依然148人が孤立状態です。ライフライン復旧の見通しが立たない為、51人が集団避難します。
(消防隊員)「体調悪い方とかは?おられなかったら、どんな組み合わせでも良いので最初に6名、なるべく世帯とか家族の方でまとめて乗っていただくと良いと思います」
(避難する住民)「離れたくないという気持ち。みんなと一緒に行動しないと、他の人にも迷惑になるかなと思って付いて来ました」

2万人以上が避難している石川県。岸田総理は14日、地震発生後初めて現地に入りました。
(岸田文雄総理大臣)「被災者の生活と生業の再建・支援に、全力で取り組んで参ります」
災害関連死を防ぐため、急がれるのが『広域避難』や『二次避難』です。
(尾坂鍼灸院 尾坂昌彦さん)「やっと少し掃除したんですけど(家の)基礎はガタが来ているんです。戸は閉まらないところだらけです」
輪島市で、50年間、鍼灸院を営んできた尾坂さんは、住み馴れた土地を離れることに戸惑いを感じています。
(尾坂鍼灸院 尾坂昌彦さん)「二次避難した方が行政のお世話かけないで済むんだったら、それもいいかなと思っているんですけど、どの選択が一番いいのか…」

■12日ぶりの電気… 孤立解消も続く窮状

孤立状態だった穴水町の麦ケ浦地区。1週間前、海側に崩れ落ちていた道路は…
(佐々木一真アナウンサー)「道路が修復されていますね。数日前までここでは道路が寸断されていたんですけれども、現在は鉄板が敷かれていまして車でも通行することができるようになっています。」
ようやく届くようになった支援物資。
(細川次郎さん)「ありがとうな、いつも。本当迷惑かけるけど。」
「インスタントラーメンについてはもうありますから、他のところに回してもらえると」
(自衛隊員)「分かりました。」
「ご苦労様、ありがとう気をつけてな」
元々27人が暮らしていたこの地区ですが、半数が避難し、現在残っているのは14人。ほとんどが高齢者です。
(細川次郎さん)「ばあちゃん、パン入れたんだけど、あと、食べ物以外で欲しいものは?」
「もういっぱいもらってあるから」
「おれ、あんたの顔見に来たんだよ」
「ありがたいわ」
一人暮らしの馬道百合子さん82歳。孤立状態は解消されたものの被災地での厳しい生活は続いています。電気は、12日ぶりに復旧。
(馬道百合子さん)「電気がつくとホントに誰かに抱かれている感じがうれしいわ」
でも、水道は…
(馬道百合子さん)「お水はね、出ないんや…山水運んで朝ね、ほんでここで洗って、電気がくればほらきょうからご飯炊けるからね。」
灯油を節約するためにストーブもあまり使わず、カイロで寒さに耐えてきたといいます。
(馬道百合子さん)「ここ巻いて、ほんでストーブもあるし、それ以上の暖は望まなかったし、これでもう十分やって自分で満足して温い温いって思えば温いもんやね…」

長引く断水は、酪農にも打撃を与えていました。
(河北潟酪農組合 川上充紀組合長)「とにかく乳が出なくなってしまう。それから(乳の)成分が変わってきますね。これが牛の病気につながる」
こちらの牧場では、およそ200頭の牛たちの飲み水や、搾乳機の洗浄のため、一日10tもの水が必要です。消火用水の一部を分けてもらって運んできてはいるものの、それでは足りないのが現状です。
(河北潟酪農組合 川上充紀組合長)「とにかく水。(復旧の)めどが全然立ってないんですね。」
さらに大変なのが、牛への“水やり”です。これまでは、水道の水圧により自動で水場に出ていましたが、今は、人が与えなければなりません。
(河北潟酪農組合 川上充紀組合長)「水が通らないだけで全部手作業になっちゃうわけですね。本当にみんな、疲労困憊してます」

■液状化で埋まる車… “側方流動”で被害拡大

金沢市のベッドタウンとして、多くの住宅が立ち並ぶ、内灘町。震源からは遠く離れていますが、他の被災地とは違った光景が広がっていました。
(斎藤尚記者)「あちらの住宅なんですが、基礎部分だけを残して、土地が全部下に落ちたような状況です。1.5mくらいの落差が生じています。」
道路は大きくひび割れ、盛り上がり…ビルの1階部分は半分ほど埋もれてしまっています。最も深刻だったのが、広範囲に及ぶ“液状化現象”です。
「液状化現象で、車が埋まりました。」
噴出した砂に埋もれてしまった数台の車。映像を撮影した鍛原さん、50年以上この町で暮らしていますが、初めての経験だといいます。
(鍛原恵夫さん)「これお風呂場なんだけど、これだけ下がってるから。ガーっとこう。これだけ亀裂が入ってね。」
住宅の中をみても、基礎ごと床が持ち上がるなど、あらゆる場所に歪みが生じています。取材では、北側に隣接するかほく市も含め、およそ10kmに渡って、同様の被害が見られました。そこにはこの土地の性質が…
(松村桐杏ディレクター)「液状化で水が噴き出た跡が点々とあります。そしてこちら触ってみますと、サラサラとしていて粒が細かいです。」
元々あった砂丘を削って作られた住宅地。そのため町も、ハザードマップなどを示し、液状化対策を促していました。しかし、現地で3日間の調査をおこなった安田教授は、今回の液状化では、特異な現象が起きていたといいます。
(現地で調査を行った東京電機大学 安田進名誉教授)「側方流動で地盤全体が動いてきていますのでそれで被害を甚大にしたということですね。
通常、平坦な場所で起きる液状化では、強い地震の揺れによって、地盤が液体状になることで、家などの重いものは沈み、マンホールなどの軽いものが地表に浮き上がるといった、上下方向への被害が現れます。しかし、今回起きたという“側方流動”では、土地の傾斜に沿って地盤が動いたため、住宅への被害がより大きかったといいます。
(安田進名誉教授)「(地面が)3mくらいは動いているかなと。横に動いてしまいますと、建物自体が構造的にかなり被害を受けているということになる」
街並みを一変させた、能登半島地震。町内の被害の全容はまだ分かっていません。
(鍛原恵夫さん)「もういまさら新しく建てようという力はないしね。補修できるもんならして住みたいんやけどね。ずっと居るんやから。」

1月14日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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