台湾“親米派”勝利で中国の「軍事的圧力」懸念 学生も“銃”の訓練 現地を緊急取材【サンデーLIVE!!】(2024年1月14日)

台湾“親米派”勝利で中国の「軍事的圧力」懸念 学生も“銃”の訓練 現地を緊急取材【サンデーLIVE!!】(2024年1月14日)

台湾“親米派”勝利で中国の「軍事的圧力」懸念 学生も“銃”の訓練 現地を緊急取材【サンデーLIVE!!】(2024年1月14日)

 13日に台湾で行われた総統選で勝利を手にしたのは、民進党の頼清徳氏でした。台湾で同じ党から3期連続で総統が出るのは初めてになります。

民進党 頼清徳氏
「台湾の皆様が民主主義の新たな1ページを刻み、民主制度を大切にする私たちの変わらぬ主張を世界に示してくださったことに感謝申し上げます」

 これまで副総統として蔡英文政権を支えてきた頼氏。かつては「台湾独立派」を公言していたこともあり、中国の警戒感が強まるとの見方があります。

 結果を受け中国国内の反応は…。

男性
「当選結果は知らなかった。どの党が勝っても平和が戻ることはないだろう」

女性
「あんな小さな地域だし、何ができるの(統一が)うまくいかなかったら武力行使でしょうか」

テレビ朝日 平石直之アナウンサー(1月6日)
「今、コールされました。そして、頼清徳候補、登場しました。きょう一番の盛り上がりを見せています」

 台湾の人々が熱狂した選挙戦。争点のひとつが「中国との関係」です。

20代男性
「現状維持が一番いいと思います。平和のままでいてほしいです」

50代女性
「中国との関係は平和でありたいですから、それが実現できそうな政党に投票します」

 中国との緊張を感じさせる出来事が、政党の選挙事務所を取材していた最中に起こりました。

■選挙期間中に中国が衛星打ち上げ 響くアラート音

テレビ朝日 平石直之アナウンサー(1月9日)
「ついさっきですね、衛星発射ということですね。上空、台湾の上空ですね、エア・スペースで注意してくださいと、国防部ということでアラートがなりました今」

 総統選4日前の9日、台湾で鳴り響いたアラーム音。中国が発射した衛星が台湾南部を通過したため、落下物に注意するよう緊急警報が出されたのです。

 慌てる私たちとは裏腹に、台湾の市民は意外にも冷静でした。

台湾市民
「(Q.これの警報、見たことありますか?)いいえ、初めてですね」
「(Q.中国の脅威が高まったと思いますか?)高まったとは思わないです。一定程度の脅威は続いていますけどね」

 総統選を前に、中国の習近平国家主席が示した台湾統一への強い意志。

中国 習近平国家主席(2023年12月31日)
「祖国の統一は歴史の必然です。中国と台湾の人々は協力し合い、民族復興の偉大な栄光を共有しましょう」

 中国は、台湾統一のためには武力行使も辞さないという姿勢を示していて、強大な軍事力を見せつけています。

 こうした脅威に備え、台湾で進むのは“民間防衛”の動きです。

■市民に根付く防衛意識 有事に備えた講座に殺到

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「有事が起きた際に実際にどういった対処をするのか授業が行われています」

 主催しているのは、2021年に設立された民間団体。この日は、攻撃を受けるなどしてけがをした際の応急処置について、40人を超える市民が学んでいました。

受講者
「(Q.なぜこのクラスを受講したのか?)戦争が起こった時、自分や他の人を助ける方法について理解したかったからです」

 団体は、300万人を養成するという目標を掲げていて、今や予約待ちが出るほどの人気だということです。

 “戦争への備え”は、若い世代にも…。

■「国防教育」高校生が射撃訓練 吐露した本音は…

取材ディレクター 山田寛明
「高雄市にある高校に来ています。校内から銃声が聞こえます。高校生が射撃訓練を行っています」

 標的を狙う射撃場に、市街戦を想定したサバイバル訓練、操縦技術を学ぶフライトシミュレーターまで。

 去年、台湾の高校で初めて整備された体験施設です。

 実は、台湾では防衛の意識を高めるため、高校生の「国防教育」が必修科目に。現役の軍人から軍事的な知識を学んでいるのです。

高雄市立三民高校 蕭岳晋主任教官
「生徒たちには、自分たちが生まれた土地は自分たちで守らないといけないということを国防教育で学んでもらいます」

 扱うのはエアガンですが、実際に軍で使用される同じ型、同じ重さの銃です。

高校2年女子
「国防教育はとても大事なことだと思います。生徒も国を守る役割を果たさないといけません」

 台湾では今年から、18歳以上の男子に義務付けられている兵役の期間が4カ月から1年に延長されます。

高校2年男子
「延びた8カ月間、さらに訓練できるので、国防の実力を向上させます」

 普段は野球部で練習に汗を流す生徒は、本音ものぞかせます。

高校2年男子
「野球をやりたい。できればこんなことやらない方がいいですよ」

 中国と台湾の複雑な関係。そもそも、なぜ両者は分断したのでしょうか。その歴史が垣間見える場所がありました。

■分断の歴史刻む島 砲弾で作る手土産が“架け橋”に

 台湾が実効支配する離島、金門島。対岸の中国・アモイとは、海を隔てて最短約2キロの距離で隣り合っています。フェリーでわずか30分という近さもあり、大勢の人が対岸を行き来しています。

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「今、船が港に入ってきました。政治的には緊張関係にあるわけですけれども、こうして人の行き来はあるんですね」

中国から帰省してきた台湾の学生
「中国の人は台湾の人に対して優しくて、普通に良い関係です」

 観光地としても知られる金門島ですが、この地には激戦の歴史が刻まれています。

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「海岸沿いにはこのように鉄の棒が同じ向きに並んでいますが、これらはかつて中国共産党軍の上陸を防ぐために設置されたものです」

 島に残る軍事施設は、今では観光用に整備され、中国と台湾がにらみ合ってきた歴史を伝えているのです。

 ここは、軍事施設の跡地にできたライフル射撃場。あくまで観光地ですが、現役の軍人が練習に来ることもあるといいます。

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「うおぉ!すごい衝撃だった、あ、でも的は捉えてますね。本物さながらだ」

 内戦という歴史に引き裂かれたものの、経済的な結び付きも強い中国と金門島。島民の中には、中国との関係改善を望む声も少なくありません。

金合利鋼刀 呉増棟さん(66)
「平和を維持するために両岸は交流する必要があると思います」

 金門島の鍛冶職人・呉増棟さん。かつて中国が島に撃ち込んだ砲弾を加工して作っているのが…。

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「完成しました、ずっしりとした重みがあります。30分ほどで包丁に生まれ変わりました」

 1958年から20年間撃ち込まれた砲弾が、包丁の材料に。共産党軍のビラが入った宣伝用の砲弾だったため、爆発せずに残ったのです。

 呉さんも、砲弾の雨が降り注ぐ時代を経験しました。

金門島の鍛冶職人 呉増棟さん(66)
「1歳から20歳までのことでした。最初は緊張しましたが、次第に慣れました。夜になると、防空壕に避難しましたよ」

 工場に併設している店には、中国人も多く訪れるといい、金門島の人気土産のひとつとなっています。

金門島の鍛冶職人 呉増棟さん(66)
「この包丁には意義があります。皆、平和の象徴だと思ってくれているんです」

■情報戦やサイバー攻撃も“ハイブリッド戦”の脅威

 中国からの軍事的圧力が強まる台湾。それと同時に、一般市民をターゲットにした巧妙な攻撃が仕掛けられているといいます。

テレビ朝日 平石直之アナウンサー
「台湾ファクトチェックセンターです。ガラス越し、向こう側では多くの人たちがモニターに向かっています」

 SNSなどの情報を分析し、真偽を検証する民間団体です。今回見せてくれたのは、総統選が迫る先月拡散された「最近の中国軍の軍事演習」とされる映像。

台湾ファクトチェックセンター 邱家宜執行長
「この映像は、中国が軍事演習を通して台湾を監視していることを示しています。しかし最近は、軍事演習は行われていません。これは、中台関係におけるもう一つの恐怖。ネット上のハイブリッド戦です」

 「ハイブリッド戦」とは、軍事的手段の他に、情報戦やサイバー攻撃といった非軍事的手段を組み合わせた戦略のこと。その「ハイブリッド戦」で標的になりうるインフラがあります。

取材ディレクター 山田寛明
「金門島と同様に、中国大陸に程近い馬祖列島です。去年、島の通信が遮断され、島民の生活に大きな影響が出ました」

 通信遮断をもたらしたのは、海底ケーブルです。去年2月、台湾の離島・馬祖列島と台湾本島を結ぶ海底ケーブルが切断され、島民約1万4000人がインターネットに接続できなくなりました。

 台湾で通信行政を担当する国家通信放送委員会は、ケーブル切断に中国船が関与した疑いがあるとしていますが、意図的に切断されたかどうかは分かっていません。台湾有事となれば、本島が同様の事態に陥る懸念もあり、対策が急がれています。

連江県 王忠銘県長
「通信大手は、台湾本島と離島を結ぶ新たなケーブルを敷設する予定で、未来の馬祖の通信も大きく改善できます」

 台湾の国防部が設立したシンクタンクは、こうしたハイブリッド戦のリスクは日本もはらんでいると警鐘を鳴らします。

国防安全研究院 サイバーセキュリティ担当 曾怡碩氏
「中国は、情報戦や認知戦を用いて外交の問題を起こし、台湾と日本の関係を分裂させようとするでしょう。台湾も日本も、中国の脅威を最も受けることになります」

(サンデーLIVE!! 2024年1月14日OA)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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