能登半島地震から10日“災害関連死”8人に 被災地は大雨警報、避難生活に深刻な影響【羽鳥慎一モーニングショー】(2024年1月11日)
能登半島地震の発生から10日になりました。被災地では大雨などで復旧作業が非常に難航しています。こうした状況のなかで避難所に避難していた86歳の男性が心肺停止の状態で搬送されて死亡が確認されました。災害関連死とみられています。
■被災地に大雨情報 雨漏りで浸水も…
輪島市では、10日朝からブルーシートの配布が行われ、多くの住民たちが傘を差しながら列に並んでいました。なかには受け取ったばかりのブルーシートで雨をよける人の姿もありました。
輪島市民
「(Q.(ブルーシートを)どう使う?)これ屋根に使おうと思ってます。建屋はなんとか大丈夫な部分にいるんですけど、瓦はやっぱり落ちてぽったんぽったんしている状態なので。ブルーシートをかけないといけないなと思って」
無情にも被災地に降り注ぐ雨。能登地方では、9日夜から10日にかけて大雨警報が発表され、住民たちは雨への対策に追われていました。
志賀町の富来地区では、住宅街を見てみると多くの住宅の屋根にブルーシートがかけられていました。
瓦が落ちて雨漏りを防ぐための応急処置として使われるブルーシート。被災した住宅の中は…。
志賀町の住民
「あーダメや」
「(Q.どうしました?)水がもう入ってきてる。もうショックや」
「(Q.ぽたぽた落ちてきている)あー(雨水が)落ちているね。分からん」
自宅の一部はブルーシートで応急処置をしたものの、2階のフローリングは、雨漏りで水浸しになっていました。
志賀町の住民
「きのうは雨が夜もひどかったので、ちょっと心配だったんですけども、2階はもう怖くて上がれないし、一人の時は上がってこられないので、掃除もできない」
ブルーシートが配布されても、すぐには補強できない事情もありました。
志賀町の住民
「(Q.自分で(ブルーシートを)張るんですか?)いやいや、それは無理です。瓦屋さんにお願いしてあるので。素人では無理なんで頼んである所がいつ来て下さるのか分からないですけど、瓦屋さんまだ200件(依頼が)あると言っていたから、その中の何番目になるのか分からないですけど」
雨はビニールハウスにも、たたきつけます。
このビニールハウスでは、地震発生直後から近隣住民10人が自主的に避難し、生活を送っています。寒さ対策として灯油ストーブなどを持ち込んでいますが…。
ビニールハウスに避難した人
「あれ、びしょびしょになった雨で」
「あれ濡れたやつ」
これまで地面の上には、ゴザやカーペット、座布団などを敷いていましたが、雨がしみ込んできたといいます。
その為、被災した自宅から板と畳を運び込み、その上にブルーシートや毛布を敷くことで対策をしたといいます。ただ、雨の影響は他にも出ています。
ビニールハウスに避難した人
「あまりひどい雨になると、寝る時は皆、耳栓して寝てくださいって言うの」
「(Q.それぐらい、結構大きな音がするんですか?)そう。雪降った時も部屋が暖かいから雪がザーッと落ちるんです」
■自衛隊員、孤立集落へ…住民「ありがとう」
輪島市の孤立集落に物資を届ける陸上自衛隊の車に同行しています。いまだ3000人以上が孤立状態になっている能登半島。そのなかでも、814人と最も孤立している人が多い輪島市の西保地区に自衛隊が向かいました。
道路が寸断された西保地区の上山町。隊員はリュックに物資を積み、徒歩で集落へと向かいます。土砂が崩れた道を進むと、その先では大きな倒木が道をふさいでいました。
隊員らは迂回(うかい)して集落へと向かい、およそ1時間後に到着。カップ麺や缶詰などの物資を届けました。隊員によると、住民らは続く余震で不安な面もあるものの、住民らで協力し合って過ごしているといいます。
しかし、孤立の解消に向けては、険しい道のりが待ち受けています。自衛隊が別の孤立地域へ物資を運搬した時の様子です。
ひざまでつかる泥道。崩落した岩など、足場が安定しない場所を慎重に渡っていきます。
普段から鍛えられている自衛隊員ですら息切れするほど過酷な場所を進んで行き、ようやく孤立集落へとたどり着きました。
孤立集落の住民
「ありがとう」
■県道が土砂で埋まり…復旧作業「ずっと続く」
石川県七尾市の国道249号です。法面が崩落し、土砂がむき出しになっています。能登半島の先まで物資を運ぶのに重要なルートですが、土砂崩れにより通行止めが続いています。
県は、道路の復旧作業を地元の建設業者に依頼。作業は複数の業者が交代で行っているといいます。
竹松組 三宅慎太郎社長
「こういうふうに(行く現場が)マッピングしてあるんです。赤い所がまだ復旧していない、青い所は終わったという所で、赤い所に行ってくれということで」
指定された現場に向かい復旧作業を行いますが、心配なこともありました。
三宅社長
「今は雨が降っているし、雪も降りますので、そこが。二次被害が一番心配です」
向かう現場は、能登町の中心部から能登空港に向かう県道275号。復旧すれば物資輸送に大きな役割を果たす道ですが、そこは大量の土砂が積もり、とても道があるとは思えない状況。倒木はチェーンソーを使いながら片づけ、土砂はパワーショベルでどけていきます。
三宅社長
「(Q.いつまで作業?)たぶんずっと続くと思います」
地震によって閉ざされたのは、道路だけではありません。
■のと鉄道、トンネルで土砂崩れ…貯蔵タンクも
能登半島の海沿いを走るローカル線「のと鉄道」。住民だけでなく観光客も利用する鉄道は地震の影響で大きな被害が出ていました。
のと鉄道職員
「もう死ぬかなと思いましたね」
駅の壁は大きくひび割れ、さらに線路はグニャリと曲がってしまった部分や、断裂している箇所も。地震の爪痕が色濃く残っています。
復旧に向け被害状況を把握するため、国交省から派遣された調査隊が、線路や損傷した部分を写真に収めたりして確認していきます。
調査隊員
「橋じゃなくて周りがどうなってるかだね…」
鉄道が通るトンネル内を調査している際に撮影された写真。トンネルの先をよく見ると、土砂崩れが起きたのか、大きな岩々で出口が塞がれている状態になっていました。
のと鉄道職員
「これ燃料、軽油をためてる地下タンクなんですけど(給油口が)落ちてしまってますし…」
のと鉄道のすべての車両の燃料、最大2万リットルの軽油をためておける地下の貯蔵タンク。その給油口は地震により大きく崩れてしまっています。
のと鉄道職員
「水と油が混じると使えないです。大丈夫であってほしい…という希望ですけどね」
■水道管の復旧 2万2000世帯を約10人で
断水中の住民
「(水は)一切出ませんね。全然、全然でないです」
いまだ市内のほとんどで断水が続く七尾市。
道路からあふれ出る水。水道管の復旧作業が進められていました。
七尾市役所の職員
「じゃあ上に行って(水が)止まるかどうか確認お願いします」
「これは水が通水している音です。これ(バルブ)を閉めていくと音がしなくなります。水道管を閉めた状態です」
完全に水が流れなくなるまで、2人がかりで力いっぱい閉めつけます。
漏水箇所を見つけたらバルブを閉めて水を止め、水道管を補修。再び水を流して次の漏水個所を確認し水を止め補修という、気の遠くなるような復旧作業です。
七尾市役所の職員
「(Q.七尾市でどのくらいの職員が働いている?)10人くらい」
「(Q.このエリアで10人?)いや七尾市全体で、10人で今やっています。全く(人員が)足りません」
およそ2万2000世帯の七尾市を10人で作業。本来なら今の人員の3~4倍が必要だといい、このままの状態なら、断水解消までひと月以上かかると危惧します。
■避難所にWi-Fiも…「気分が楽に」
10日、避難所に訪れた“待望の瞬間”。
避難所となっている能登町の小学校にやってきた自衛隊車両。車の中から取り出した箱には「STARLINK」の文字があります。
自衛隊員
「あちらに設置した方がいいですか」
人工衛星を使ったモバイル通信サービス「スターリンク」。大規模な通信障害が続くなか、KDDIが避難所に無償提供を行なっています。
KDDIの職員
「あ、つながりましたね。来てる来てる。Wi-Fiマーク出てますので」
避難住民
「ありがとうございます」
インターネットがつながった瞬間、女性は安堵の表情に…。
避難住民
「とりあえずLINEとかつながりやすくなったら、通話とかもしやすくなっていいかなと。ありがたいと思っています」
「友達の情報とか知れて、なんとなく気分が楽になりました」
避難している人たちはスマートフォンに釘付けとなっていました。
■避難所で心肺停止状態…86歳男性死亡
地震発生から10日が経ち、今懸念されているのが「災害関連死」です。
地震発生直後から能登町の中学校に避難していた86歳の男性が、9日に亡くなりました。
9日午後9時ごろ、異変に気付いた男性の妻が看護師を呼びましたが、すでに心肺停止の状態だったということです。その後、病院に搬送されましたが、深夜0時ごろに死亡が確認されました。男性に持病があったかは分かっていないということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年1月11日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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