トリガー条項“検討”の本気度…補正予算成立も政権運営に波乱?それとも想定内?(2023年11月29日)

トリガー条項“検討”の本気度…補正予算成立も政権運営に波乱?それとも想定内?(2023年11月29日)

トリガー条項“検討”の本気度…補正予算成立も政権運営に波乱?それとも想定内?(2023年11月29日)

国会では、物価高対策などを盛り込んだ総額13兆円あまりの補正予算が成立しました。自民・公明の与党のほか、野党から、日本維新の会と国民民主党などが賛成に回っての成立です。

賛成した国民民主党には、ある思惑がありました。
国民民主党・伊藤孝恵参院議員:「今回、国民民主党が賛成するのは、ひとえにトリガー条項凍結解除によるガソリン価格を引き下げるため」

“トリガー条項”とは、ガソリン税の一部を減税して価格を引き下げるもので、発動すれば、ガソリン価格は1リットルあたり25.1円安くなります。

国民民主党が繰り返し実現を求めてきましたが、岸田総理は否定的でした。ところが、防戦が続いていた予算審議の最中、一転して前向き姿勢に。国民民主党は、自民・公明・国民の“3党協議”を進めることと引き換えに補正予算案に賛成したのです。

トリガー条項による“ガソリン減税”を実現させたい国民民主党と、野党を切り崩したい岸田総理の思惑が一致した形ですが、政府内の足並みは乱れています。

立憲民主党・杉尾秀哉参院議員:「鈴木財務大臣にうかがいます。事前にトリガー条項の解除について相談はありましたか」
鈴木俊一財務大臣:「事前には、私は説明を受けておりません」

与党内にも異論が広がっています。
与党幹部:「トリガー条項を実現すれば、1兆5000億円の税収が減る。代わりはどこから持ってくるのか、現実的に考えればあり得ない。今でさえ『少子化だ』『防衛だ』『還元策だ』と財源をどうするんだという問題が山積みなのに」

自民党の税制調査会も、3党協議を見守る考えで、当面は議論しない見通しです。
自民党・宮沢洋一税調会長:「(Q.きょうトリガー条項についての話し合いは)何もやっていません」

総理がガソリン減税をちらつかせるのは、今回が初めてではありません。去年の春に検討したものの見送っていました。定額減税に続き、総理自らが唐突に持ち出した“ガソリン減税”。その本気度が、問われています。

立憲民主党・杉尾秀哉参院議員:「一度、検討して断念した経緯がありますけれども、今度も検討だけで終わるんじゃないですか」
岸田総理:「与党と国民民主党の政策責任者の中で検討をしていくことは有意義である。ぜひ検討の行方を踏まえつつ、政府としても適切に対応したい」

国民民主党・玉木雄一郎代表:「(Q.課題も多いですが)やるしかないと思うので、もう総理が決めるだけです。これをやれば岸田政権の支持率も上がると思いますよ。もう球は、岸田総理にありますから」

立憲民主党・泉健太代表:「補正予算に賛成するからトリガーをのむ、政治的取引をする。特に国民生活に関わることで政治的取引を利用するのは不届き、不見識だと思います」

※政治部・官邸キャップの千々岩森生記者の解説です。

(Q.岸田総理は、慎重姿勢から一転して、“トリガー条項”発動を検討するということですが、やる気はあるのでしょうか)
まず、最新の状況ですが、今夜、岸田総理の周辺は「これまでやってきた補助金とトリガー条項の二者択一、どちらかではなく、2つの組み合わせという選択肢が出てきた」という趣旨の話をしています。今夜、出てきたばかりで、詳細はわかりませんが、トリガー条項を何らかの形で取り入れることに前向きともとれる内容です。

一方で、29日の予算委員会で鈴木財務大臣は、トリガー条項をめぐる動きについて、「事前に説明はなかった」と証言しています。岸田総理が、もし本気でやるつもりなら、財務大臣への根回しは避けて通れませんし、それがないということは、岸田総理自身、まだ腹を括れていないようにも見えますし、それだけ、この問題が極めてデリケートだといえます。

(Q.岸田総理は「検討する」と言いつつ、最終的に「やらない」となれば、政権にダメージになる可能性もあるのではないでしょうか)
プラスとマイナス、リスクのある話です。官邸の狙いは、野党分断です。国民民主と維新は、補正予算の賛成に回りました。国民は、去年に続いて、トリガー条項を検討することで賛成に回りました。ただ、ガソリン価格が高止まりすれば、これからずっと年間1.5兆円規模の財源が必要となる。さらに、環境対策に逆行しているという批判も根強く、自民党内や財務省から強い反発も上がっています。国民民主党の手前、やらないとは口が裂けても言えず、やると明言すれば反発が出る。野党分断という目先の狙いはわかりますが、今後、ゴタゴタが見えてくれば、政権のリスクにもなりかねないということだと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事