「迷った」「動けない」紅葉見頃も日没早い秋山で…警視庁山岳救助隊にSOS続出【もっと知りたい!】(2023年11月22日)

「迷った」「動けない」紅葉見頃も日没早い秋山で…警視庁山岳救助隊にSOS続出【もっと知りたい!】(2023年11月22日)

「迷った」「動けない」紅葉見頃も日没早い秋山で…警視庁山岳救助隊にSOS続出【もっと知りたい!】(2023年11月22日)

 東京近郊の山に足を伸ばす人たちが増えるなかで、登山客からのSOSも相次いでいます。外国人観光客のトラブルも増え続ける緊迫の現場です。警視庁・山岳救助隊に密着取材しました。

■道に迷いSOS「奥多摩だから大丈夫だと」

 秋色に染まる、東京・奥多摩。紅葉が見頃を迎え、たくさんの登山者が足を運んでいます。そんななか…。

 青梅署 山岳救助隊 市川健巳巡査部長(44):「惣岳山から下山中に男性が道に迷ったと110番」

 この日の現場は、最寄り駅から2時間で頂上に立てる人気の山、標高756メートルの惣岳山。

 男性が遭難し、道に迷ったと110番通報が入りました。

 市川巡査部長:「ここ行けそうじゃないですか?」

 救助隊は、登山道ではない最短ルートで男性を探します。

 隊員:「〇〇さーん!」

 市川巡査部長:「一瞬、聞こえた気がします。左の方から」

 市川巡査部長:「〇〇さーん!いたいた!近くなってきた!」

 捜索開始から50分、登山道から大きく外れた斜面に、40代の男性を見つけました。

 男性(40代):「すみません」

 市川巡査部長:「こんにちは!よかった!けがはないですか?」

 男性:「大丈夫です」「ピンクのリボンが見えて下りてきた」

 市川巡査部長:「このピンクリボンは林業の目印。必ずしも登山道ではない」

 登山道を見失っていた男性は、さらに、林業の目印であるピンクテープに誘われ、山の奥へと迷い込んでいたのです。

 隊員:「惣岳山から来たんですよね?」

 男性:「…名前はちょっと」

 隊員:「きょうは、どこへ行こうとしたんですか?」

 男性:「…」

 男性は、救助隊に助けられながら、日没の1時間前に無事下山できました。

 男性:「奥多摩だから大丈夫かなと思った。馬鹿にしちゃいけないんだな」

 市川巡査部長:「今回の登山者はヘッドライトも持って来なかった。最低限の装備は持って行ってほしい」

 秋山に潜む危険の一つが「日暮れの早さ」。ヘッドライトの携行を山岳救助隊は呼び掛けます。

■軽装“トレラン”からSOS「暗くて動けない」

 この日も、日没直後に110番通報がありました。

 市川巡査部長:「『暗くなって動けない。道が分からなくなった』と110番が入りました」

 現場は、緩やかに続く尾根の途中にある標高690メートルのズマド山。この日の最低気温は、5℃程度だったとみられます。

 通報者の男性は、“トレラン”の愛好者。軽装で山を駆け抜ける、最近ブームの登山スタイルです。

 男性は「防寒着」も「ヘッドライト」も持っておらず、冷え込む山中で行動不能に陥りました。

 隊員:「おーい!」
 
 市川巡査部長:「〇〇さーん!」

 声:「…おーい」

 市川巡査部長:「あ、(声が)聞こえた!」

 市川巡査部長:「いた!発見です!」

 男性の携帯電話の明かりです。

 市川巡査部長:「斜面だな」

 隊員:「そこから動かないで」

 場所は、登山道から5メートル下の急斜面。慎重に下り、救助に向かいます。

 男性:「すみません。ありがとうございます」

 市川巡査部長:「安全確保で、ここ斜面で落ちると危ないので。トレランでもライトは必需品」

 男性:「次からは…」

 男性にヘッドライトを渡し、ロープで安全確保しながら、登山道へ上げます。

 市川巡査部長:「ゆっくりゆっくり。木をまたぎます。ゆっくりでいいですよ。自分のペースで」

 消防:「オッケーです」「今、水分が欲しい?」

 男性:「大丈夫です」

 無線発信:「要救助者、意識清明。けがもなし、どうぞ」

 奥多摩消防署の隊員も駆け付け、男性を無事に下山させることができました。

 市川巡査部長:「トレランはなるべく軽く行きたいと思うんですけど。軽装っていうのは、何かトラブルがあった時に(装備の)大事さを知るんです。次からは気を付けて、よろしくお願いします」

 市川巡査部長:「日帰りでもライト持参、晴れていても雨がっぱ持参。そういう準備をすれば防げる遭難が多い」

■「駐在勤務」と「救助隊」…二足のわらじで13年

 JR青梅線の鳩ノ巣駅に、救助隊員の一人、市川さんの駐在所があります。

 地域の安全を守る「駐在勤務」と山が舞台の「救助隊」、二足のわらじを履いて丸13年が立ちました。

 市川巡査部長:「自ら希望して(奥多摩に)来た。以前、機動隊のレスキュー部隊にいて、そこで訓練はしていたんですが、現場活動はあまり多くなかった。奥多摩の山岳救助隊は現場がメインなので、こちらを希望してきた」

■奥多摩にも外国人登山者が急増

 安全登山の呼び掛けも、山岳救助隊員である市川さんの務めです。

 市川巡査部長:「きょうはお子さんと登山?」

 母親:「雲取山に行ってきます」

 市川巡査部長:「お子さん急に走ったりとかで、見失ったりしないように気を付けてください」

 奥多摩にも外国人登山者が急増しています。

 市川巡査部長:「ライト持ってる?」

 外国人:「いいえ」

 市川巡査部長:「ライト持ってないときつい」

 外国人:「今、買います」

 市川巡査部長:「売ってないんだよねー」

■“無謀”外国人客も「計画めちゃくちゃ」

 市川さんが特に気になったのは、この外国人グループ。すでに出発が遅く、日没までに下山できないかもしれないコースを計画していました。

 市川巡査部長:「日帰りで雲取山に行くの?彼スニーカーだし、ライトみんな持ってるのかな」

 青梅署 山岳救助隊 矢部大樹警部:「富田新道?危ない」

 市川巡査部長:「ちゃんとした道標もないから」

 結局、注意を無視して、彼らはバスに乗り込んでいきました。

 矢部警部:「いやあ、ダメだよ。全然、計画がめちゃくちゃだ」

 市川巡査部長:「無理やり『入るな』とも言えない。難しいところです」

 東京の山を守る、警視庁の山岳救助隊。秋が深くなるにつれて、忙しさが増しています。

(「グッド!モーニング」2023年11月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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