アイスランドで火山性地震 街の下にマグマの“通り道”(2023年11月16日)
世界有数の火山国、アイスランドの首都から40キロの場所にある町・グリンダビーク周辺で火山性の地震が頻発し、当局が11日未明、住民約4000人に対し、避難を呼び掛けました。
この町の地中深くには、マグマが流れる“通り道”があります。それに沿うように道路に亀裂が伸びています。複数の専門家が「数日以内に噴火する」と警告しています。
避難から、まもなく1週間です。一時帰宅で、住民が自宅に滞在できるのはわずか5分間。その間、何度も地震が起きていたそうです。
避難した人:「グリンダビークに7年住んでいる。地震は4年前に始まり、どんどん規模が大きくなった」
男性は、息子と妻、2人の娘、2匹の犬、2匹の猫と避難しました。
避難した人:「10日は息子の12歳の誕生日だったが、誕生日会を始めたとき揺れ始めた。地面が波打っていた。あんなのは見たことがない。何が起きているのか、一日中ニュースを見ている」
残してきた家のローンがどうなるのか、不安が尽きないといいます。
グリンダビークのすぐ近くには、世界最大の露天風呂『ブルーラグーン』があります。1980年代初頭に発見され、年間数十万人が訪れる観光スポットです。このブルーラグーンは9日から営業を休止しています。火山の利用は、観光にとどまらず、電力の20%以上が地熱発電で賄われています。
漁師町のグリンダビーク。中心部に現れた亀裂のすぐ近くには、学校もあります。周辺では10月24日から地震活動が活発になり、11月にかけて地面の隆起が観測されました。15日の地震は約800回。数は少なくなってきています。
アイスランド在住の渡辺佐保さん(45)に首都の様子について聞きました。外国人のために、英語の報道が増えたそうです。
アイスランド在住・渡辺佐保さん:「アイスランド語と英語の同じニュースがあります。避難命令が出る前は、レイキャビクでも今に比べて、体に感じる地震が3、4回あった。(今は)国民保護局・気象庁・専門家が情報を淡々と流してくれて、コントロールされている感じがするから、私たちも冷静なんじゃないかなと」
近年、アイスランドでは、火山の活動による自然災害が増えています。2010年には、エイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火し、ヨーロッパの空を噴煙が覆ったため、10万便以上のフライトが欠航になりました。2021年は、781年ぶりにファグラダールスフィヤットル火山が噴火。厚い氷河の下に眠っていた火山が動き出しています。
専門家は、今回の火山活動について、2つのリスクを指摘します。
京都大学防災研究所火山活動研究センター長・井口正人教授:「どこから溶岩が流れ出すのかが、非常に重要になってくる」
今回、マグマの噴出が心配されているのは、15キロに及ぶマグマの通り道のどこかです。噴出したマグマが、海水と接触すると火山灰が空を覆い、陸地で噴出すると溶岩流が街を覆う異なるリスクがあるそうです。
京都大学防災研究所火山活動研究センター長・井口正人教授:「(Q.噴火が起こる可能性は)可能性ということで言うと、私はかなり高いと思っている。地震の規模を考えると、かなり大きな噴火になる可能性がある」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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