【報ステ解説】「韓国送金で救済の資金なくなる恐れも」『旧統一教会』解散命令請求へ(2023年10月12日)

【報ステ解説】「韓国送金で救済の資金なくなる恐れも」『旧統一教会』解散命令請求へ(2023年10月12日)

【報ステ解説】「韓国送金で救済の資金なくなる恐れも」『旧統一教会』解散命令請求へ(2023年10月12日)

政府は12日、旧統一教会への解散命令を裁判所に請求することを決め、解散命令が現実味を帯びてきました。

長く被害者の救済活動にあたってきた、阿部克臣弁護士に聞きます。

(Q.解散命令請求への動きをどう受け止めていますか)

阿部弁護士:「解散命令は、我々、旧統一教会に関わる弁護士が30年以上、ずっと訴え続けてきたものです。被害の救済・抑止には必ず必要ですが、なかなか国は動いてくれませんでした。今回ようやく解散請求にたどり着いたことは、大きな節目・スタートラインで、政府の方には感謝の気持ちがあります。ただ、これは問題の解決ではありません。あくまで節目であって、まだまだ解決しなければいけない課題が山積しています」

(Q.教団側は反発しています。憲法で保障された『信教の自由』に支障をきたすという意見がありますが、どう考えますか)

阿部弁護士:「その批判はあたらないと思います。政府は今回、質問権を行使して、解散命令請求の準備を進めてきました。その過程では、教団の信教の自由に対して十分な配慮を行っていると思います。質問権は7回行使され、その都度、宗教法人審議会の委員の意見を聞いて、全会一致で確認して進めてきたと。宗教法人審議会は、宗教法人の信教の自由を担保する役目を担うところです。今回、解散命令請求を行うにあたっても、条文上は必要とされていませんが、わざわざ宗教法人審議会の意見を聞いたということです。これは信教の自由に配慮して行ったということだと思います」

政府は13日にも東京地裁に解散命令を請求する方針です。そこで解散命令が出た場合、教団側は高裁へ即時抗告することができます。これが棄却されれば、解散命令が確定します。不服の場合、最高裁に特別抗告することが可能です。

どのくらい時間がかかるのか。過去の例では、解散命令請求から確定まで、オウム真理教は約6カ月、霊感商法など詐欺が問題となった明覚寺は約2年10カ月かかりました。

(Q.今回の審議はどのくらいかかるとみていますか)

阿部弁護士:「はっきりしないところはありますが、私としては、オウムよりは時間がかかるが、明覚寺よりは時間がかからない。つまり、1~2年くらいかなと思います。その理由としては、オウムのようにはっきりと無差別大量殺人のような刑事事件がありません。一方で、教団は現在も活動していて、時間をかければかけるほど、被害が拡大する可能性もあるため、それほど時間はかけられないと。明覚寺の時間がかかったのは、刑事事件がありましたが、教団としてはほとんど活動していませんでした」

(Q.審議の間に、何も手を打てないということですか)

阿部弁護士:「今の宗教法人法には財産保全の規定がないので、確定までは財産を自由に処分できます」

政府は、解散命令請求の手続きに入った段階で、財産を保全し、自由に処分できなくする法整備を与党と調整する考えです。立憲民主党は、財産保全についての特別措置法案を、来週から始まる臨時国会の冒頭にも提出する予定だということです。

(Q.特措法のイメージはどんな形ですか)

阿部弁護士:「まず、なぜ特措法かですが、宗教法人法の改正となると、あらゆる宗教法人に影響が及ぶ可能性があるため、宗教界全体を相手にした大掛かりな議論が必要になるため、速やかに行えないためです。そのうえで、どういう法律が必要かというと、他の健全な宗教法人に適用されない、かつ今回の旧統一教会にはきちんと適用され、適切に財産の保全が図られるものをつくる必要があります」

(Q.2世信者への救済は行われますか)

阿部弁護士:「解散命令が確定すると、清算手続きという、財産を処分して債権者に配当する手続きに入ります。その中で、2世信者も含めた被害者が、裁判所に債権者として届け出て、認めてもらえれば、残った財産の中から賠償を受けられる可能性があります」

(Q.解散命令が確定した後、信者たちを社会としてどう受け入れるかという問題もありますね)

阿部弁護士:「現在活動している信者が恐らく数万人います。旧統一教会を生活の中心に据えている方が、社会にそのまま放り出されていいのかという問題があります。そういう方々を社会がきちんと受け入れて支援をしていかないと、他の同じような教団に行ったり、後継団体に行ったりする可能性も出てきます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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