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【速報】関西電力の株主が当時の役員らを提訴 大手電力「カルテル」問題で約3500億円の賠償請求
関西電力など大手電力会社が、利益を確保するため、互いの競争を制限する「カルテル」を結んでいた問題で、一部の株主らが12日、当時の役員に3500億円あまりの損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。
提訴後に大阪市内で会見を開いた原告団の1人は「関西電力は、不祥事のたびにに何度も「コンプライアンスを順守する」と約束しているのに、それを破っている。自分の会社さえ儲かればいい、という体質がある以上は、あくまでも追及して企業風土を徹底的に改善すべき」と提訴の理由を語りました。
原告団によりますと12日、中部電力・中国電力・九州電力の株主らも同様に株主代表訴訟を起こしているということです。
関西電力や中部電力、中国電力、九州電力は、2018年ごろから約3年にわたって、電気料金の値下げ競争を防ぐため、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう制限する「カルテル」を結んだとして、2023年3月、公正取引委員会から総額1000億円を超える課徴金の納付を命じられました。
関西電力は、違反を最初に自主申告したため課徴金を免れましたが、3月の会見で、当時の岩根茂樹社長ら経営陣が中心となり、他社にカルテルを持ちかけたことを明らかにしているほか、この問題で経済産業省から業務改善命令を受けています。
■提訴の経緯は
当初、株主らは「カルテルにより、社内調査の費用や大阪府などの官公庁から入札資格停止の処分を受けるなど会社に損害が生じた」と主張して、関西電力が会社として、当時の取締役らを相手取り、損害賠償を求める訴えを起こすように請求していました。
しかし、関西電力は7月、「対象者の責任の有無、提訴した場合の勝訴の可能性、訴訟手続きにおける立証活動の範囲や負担などを総合的に判断した」との理由から、訴えを起こさないと決定したために、今回、株主らは株主代表訴訟の形での提訴に踏み切りました。
今回の提訴で株主らは、八木誠元会長や岩根茂樹元社長など旧取締役ら12人に対して、約3508億円の損害賠償を求めています。内訳としては、カルテルによって高値で電気を購入させられた顧客に対する賠償として3407億円あまりのほか、行政処分を受けたことで失った利益として約100億円、一連の問題での社内調査にかかった費用として約1億円としています。
関西電力は、「株主からの訴訟告知が届けば、内容を確認し、会社として本件訴訟について検討していく」とコメントしています。
■株主代表訴訟とは
会社の取締役などの役員が不祥事で会社に損害を与えた場合に、株主が、本来責任を追及すべき立場にある会社に代わって役員の責任を追及する訴訟のこと。
会社に生じた損害を対象とするため、本来は会社が訴えを起こす必要があり、株主は無条件に訴訟を起こすことはできません。しかし、会社と役員の間に仲間意識が、存在し、責任追及がなされない場合が想定されるため、株主は「提訴請求」と呼ばれる、会社に対して役員の責任を追及するよう求める手続きを行うことで、会社が60日以内に訴えに応じない場合には、会社に代わり訴えを起こすことが可能になります。
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