“家電修理の達人”電器屋がない南の島へ行く! 「ヒーローが来た!」SOS続々と…【Jの追跡】(2023年10月7日)

“家電修理の達人”電器屋がない南の島へ行く! 「ヒーローが来た!」SOS続々と…【Jの追跡】(2023年10月7日)

“家電修理の達人”電器屋がない南の島へ行く! 「ヒーローが来た!」SOS続々と…【Jの追跡】(2023年10月7日)

 「修理成功率90%」を誇り、全国から依頼が殺到する家電修理の達人・今井和美さん(64)が、南国の沖縄県竹富島へ向かいました。電器屋のない島で、夏休みのついでに島民のSOSに応えていきます。一体、今井さんはどれだけの島民を笑顔にすることができるのか。家電修理の達人の夏休みを追跡しました。

■家電修理の達人 竹富島を選んだ決め手

 今井さんが三重県にある作業場を飛び出し、およそ1600キロ離れた沖縄県の離島・竹富島に向かいました。空港がある石垣島を経由しフェリーでおよそ15分、竹富島に到着です。

 竹富島は、住民がおよそ340人の小さな島で、透明度抜群のエメラルドグリーンの海や赤瓦屋根の民家が立ち並ぶ、沖縄の原風景が魅力です。

 あくまで夏休みなんですが、この島を選んだ決め手は「修理の腕を磨くのにふさわしい場所だから」でもありました。

 今井さん:「竹富島って電器屋さんないんですよね?」
 民宿:「電器屋さんがないんですよ。直したくても直せないって結構ある」

■腕を磨くために…達人が望んだ環境 

 宿泊する宿に事前に相談し、困っている島民を探してもらっていた今井さん。

 最初のSOSは「竹富島で一番歴史がある」と言われる高那旅館から。3人兄弟で営む、創業71年の旅館です。

 客室の掃除に使っていた大事な商売道具で早速、修理を開始します。

 掃除機を分解し、内部を点検すること10分…。

 今井さん:「コンセント(プラグ)不良。ホームセンターがあればいいんだけどな。三重県だったら、ちょっと待っててって取りに行ったり。私の工房だとガサゴソゴソーって、はい完了って」

 そう、島での修理は簡単には部品が入手できないのが難しいところ。でも、こうした不便さこそが、腕を磨くために今井さんの望んだ環境なんです。

 今井さん:「これ付けちゃったら、それで良い」

 今井さんが目を付け、予備で持っていた自らの修理道具のプラグを切り取り、掃除機に付け替えます。すると、掃除機が動きました。

■「亡き両親の姿」達人が蘇らせる

 今井さんのスピード修理を目の当たりにした3兄弟は長年、修理を望んでいたある相談を持ちかけました。

 依頼人 妹・弘子さん(73):「VHSいっぱいあるけど、故障で映らないさ」

 それは、およそ20年前に製造された今では珍しいVHSデッキ。聞けば、どうしても見たいビデオテープがあるのだといいます。

 点検すると、デッキ自体は正常に動いている様子ですが、肝心の映像が映し出されません。

 今井さん:「テープにカビが付いている。そのカビが中にいっぱいへばり付いて、映らなくなった」

 デッキ内部の至る所にテープのカビが、へばり付いていたのが原因のようです。そこで、手作業で丁寧にカビを取り除いていく今井さん。テープ自体のカビも取り除き、再生すると、見事に復活しました。
 
 どうしても見たかった映像は、今は亡き両親の姿でした。「両親は竹富島に観光客が多く訪れるきっかけを作った人だった」といいます。

 弘子さん:「父が竹富と石垣間の船を持っていて、あの時はどこも宿がなくて、母が『こんなところで良かったらどうぞ』って。その一言から旅館が始まった/

 コロナ禍が明け、にぎわいを取り戻そうと奮闘するなか、元気な両親の姿を見ておきたかったのだといいます。

 桂子さん:「父たちがやっていた以上に繁栄させないといけない思いで、これからも時々(ビデオを)見たいと思います」

■電器屋不在の島に現れた「ヒーロー」

 今回の今井さんの修理はボランティア。「趣味の釣りや観光を満喫するついで」とは言いますが、なぜわざわざ南の島にまで来て修理をするのでしょうか。

 今井さん:「その場所特有の故障っていうのはあるね。色々な経験をするのはいいですよね。技術が上達するだろうし。アラスカに行った時もコンピューターの修理とか、発電機の点検とかしているうちに、村長に見つかって『ここに住んでくれ』と言われたこともあるけど」

 普段とは違う修理を体験できることが、今井さんの職人魂に火をつけるのだといいます。

 今井さん:「部屋の中まで入ってくる潮風が、こういう空気中にも塩分が漂っているんだろうね」

 依頼は、大浜勝さん(68)が「約30年愛用してきた」というCDデッキです。

 大浜さん:「悲しい時も、苦しい時も、毎日聴いていた」

 故障の原因は、島特有の潮風のよる内部のサビのようです。CDを入れても、音楽が流れず、なぜか、そのまま出てきてしまいます。

 今井さん:「モーターをバラして調べてみよう。直るかどうか見てみよう」

 「CDを正常に動かすためのモーターに異常がある」とにらんだ今井さん。

 今井さん:「断線はしてなさそうな気配だから、ここを磨けば直るかも」

 モーターの細部に付いたサビを落としていき、徹底的にスプレーを使い、クリーニング作業はほぼ一日がかりでした。すると…。

 今井さん:「おっ!回った。おっ!でた!鳴る。直るぞ!おーい、よしっ!いこい。よしっ!!よしっ。選曲するでな。うん!出た。よし!音出そう!いや、嬉しいね」
 大浜さん:「ありがとうございます」

 電器屋さんのない島に現れた、まさにヒーロー。

 大浜:「サインしてほしいと思ったんだよね。オーディオ機器に」
 今井さん:「字を書くの下手なんだけどな」

■「最速手段」使い慣れた家電そのまま復活

 日が暮れるまで修理に奮闘する忙しい夏休みですが、その合間に南の島をしっかり満喫しています。

 この日、今井さんの噂を聞き、島民が集う集会所から「SOS」が入りました。
 
 依頼人 東集落の会長 :「お祭りで踊りを踊る時に流すやつなんですけど、どうしても必要なんで」

 「芸能の島」とも呼ばれる竹富島では、神前に奉納する踊りが受け継がれています。

 今回は、その練習のために使っているCDラジカセを直してほしいという依頼でした。早速、中を開けて点検しました。

 今井さん:「この部品の不良。スピーカーを鳴らすためのドライブ用ICですね」

 さらに、他にも壊れている部品が見つかるかもしれず、完璧な修理にはかなりの日数がかかってしまいそうです。

 でも、「滞在中に何とかしたい」と考えた今井さんは、急遽、東京にいる番組スタッフにある物を竹富島に届けるよう頼んだのです。

 用意したのは、ジャンク品のラジカセです。

 今井さん:「よし。これをあっちに移植しよう」

 そこから基板を取り出し、基盤を丸ごと移植する。これが使い慣れた家電をそのまま復活させる「最速手段」だといいます。

 今井さん:「鳴りましたね!」

 島民:「直った!素晴らしいね。すごーい」

 その日の夜の練習では早速、今井さんが直したCDラジカセが活躍してました。

■きょうも誰かのSOSに応える達人

 滞在した7日間で修理に成功したのは、10台中8台。

 今井さん:「次はあの奥の西表島ですね」

 今井さんは、きょうも誰かのSOSに応えています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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