“チェルノブイリ制圧”首都キエフに迫るロシア軍 プーチン大統領の狙い・・・専門家解説(2022年2月25日)

“チェルノブイリ制圧”首都キエフに迫るロシア軍 プーチン大統領の狙い・・・専門家解説(2022年2月25日)

“チェルノブイリ制圧”首都キエフに迫るロシア軍 プーチン大統領の狙い・・・専門家解説(2022年2月25日)

ウクライナに侵攻しているロシア軍は25日、首都キエフから約10キロのところまで迫ってきています。

ロシア情勢に詳しい、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに話を聞きます。

(Q.侵攻開始から2日で首都まで迫ってきたことについて、どういうことが言えますか)

兵頭慎治さん:「ものすごいスピードで軍事侵攻が行われています。24日の侵攻開始からわずか3時間後にロシア軍は制空権を獲得したうえで、3方向から戦車を含めた地上部隊を投入して、キエフの10キロ圏まで迫っています。入念な作戦計画、そしてスピーディーな展開が確認できます。

キエフ近郊の空港ではウクライナ軍側に200人以上の被害が出たということで、ウクライナ政府軍もかなり応戦していますが、キエフ陥落も時間の問題ではないかと思います」

(Q.どういう状況になったらキエフ陥落といえますか)

兵頭慎治さん:「ロシア軍がキエフ全体を事実上制圧する。つまり、ウクライナ軍側が銃を捨てる、非武装化する。軍事的にロシアが完全に制圧すると陥落となります」

ロシア軍は、キエフの北100キロほどにある『チェルノブイリ原子力発電所』を制圧しました。AP通信によりますと、ロシア軍の砲撃が格納施設に当たり、放射線量の上昇が確認されたという報道もあります。

(Q.チェルノブイリ原子力発電所を狙った理由はなんですか)

兵頭慎治さん:「いくつか理由は考えられます。まずは、戦闘が始まっているので、万が一、原発事故が起きた場合、ロシアにも放射能が広がるので、制圧したという見方ができます。

あとは、ウクライナ政府軍やNATO(北大西洋条約機構)に対して、原発を人質に取ることでけん制する狙いもあると思います。

もう一つうがった見方をすると、チェルノブイリ原発には使用済み核燃料が置いてあります。プーチン大統領は、軍事侵攻をする理由の一つに『ウクライナのゼレンスキー政権は核兵器を製造する意図と能力がある』と説明しています。『秘密裏に核兵器を作ろうとしていた証拠があった』として、情報戦で原発を使う可能性もあります」

(Q.キエフ侵攻から見える、プーチン大統領の狙いはどこにありますか)

兵頭慎治さん:「軍事制圧にとどまらず、ゼレンスキー政権を転覆させる可能性があります。アメリカなどの報道では“斬首作戦”ゼレンスキー大統領および側近を拘束、もしくは殺害を計画があるのではないかという見立てがアメリカ政府高官筋から出ています。最終的には、新ロシア派の傀儡政権を樹立して、ロシアとの間で何かしらの中立条約を結んで、非武装・中立化させる。

ゼレンスキー大統領も『中立に関しては話し合う用意がある』と言っていましたが、プーチン大統領の思惑を受けたうえで、交渉の用意があるというメッセージを出したんだと思います」

(Q.傀儡政権をつくるのであれば、キエフ陥落を果たしたら、侵攻は終わりますか)

兵頭慎治さん:「その後、ゼレンスキー政権を打倒する斬首作戦をやる必要がありますし、傀儡政権を発足させる必要があります。軍事的な作戦の後、次の政治工作を短期間でやらなくてはいけないと思います」

ロシア軍に一方的に攻め込まれている印象のウクライナですが、対抗策を打ってきました。ウクライナメディアによりますと、ゼレンスキー大統領は24日、国民総動員令に署名しました。これは、18~60歳の男性市民の出国を全面的に禁止。政令の発行から90日以内に戦闘動員を実施します。

(Q.厳しい状況に見えるウクライナですが、どう見ますか)

兵頭慎治さん:「ロシア軍は、キエフだけではなくウクライナ全土を制圧、ウクライナ軍は残さず非武装化させていくと。そのため、キエフ以外でも不測の事態が発生している可能性があります。ゼレンスキー大統領は、国民総動員令で最後まで戦う姿勢を示しているんだと思います」

(Q.ウクライナはNATOやEUにも加盟していません。ロシアの侵攻に立ち向かう国は他にありませんか)

兵頭慎治さん:「アメリカも直接的な、軍事的な対応はしないと言っています。こうした緊迫した事態になっても、ウクライナは、自分自身で戦うか、ロシアと話し合うか。この2つの選択肢を突きつけられています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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