ビール価格約3倍に? 異常気象で大麦畑に異変 品種改良で挑むメーカー【SDGs】(2023年9月20日)
テレビ朝日では、未来をここからプロジェクトの一環で、気候変動問題などSDGs企画をお伝えします。20日のテーマは、「気候変動に具体的な対策を」です。異常気象によってビールの値段が3倍にも高くなってしまう、そんな未来を防ぐための研究が進められています。
北海道東部の広大な農地、ビールの原料となる大麦の畑です。ここである異変が起きています。「穂発芽」と呼ばれるこの現象は、穂に付いたままの種子が収穫される前に発芽してしまうことです。「穂発芽」した大麦は品質上、ビール製造には使えなくなってしまいます。
北海道の夏は従来雨が少なく大麦の成長に適していました。しかし、今年の網走市は収穫期にあたる8月上旬に平年値の2倍以上の降水量に見舞われました。
サッポロビール 原料開発研究所 時園佳朗さん:「(8月頭の)雨に当たって芽が出てしまった。収穫のタイミングはその1日が命取りになったりする」
異常気象によって引き起こされる「穂発芽」などの現象は世界中で報告されていて、ビールの原料の供給量が激減する恐れもあります。最悪の場合、日本で今300円程度のビールが将来的には800円以上になるという試算も出ています。
その解決策の1つとして進められているのが「穂発芽」に対する抵抗性の高い大麦の開発です。サッポロビールの施設では数千種類の大麦の品種改良が行われています。
サッポロビール 原料開発研究所 保木健宏所長:「穂発芽に強くても、例えばビールを造った時の品質が伴っていないとやっぱり品種にはならない。(開発を)いかに確実に早く実現していくかが一番のポイント」
さらに、日本が最も多くビール用の大麦を輸入しているカナダ向けにも現地の気候に適応する品種の改良に取り組んでいます。
サッポロビール 原料開発研究所 保木健宏所長:「いま我々が行っている研究は自分たちのためでもあるけど、ビール業界全体に寄与できる研究になるかなと」
気候変動に強い特性を持った新品種は、2030年までに登録の出願を目指しているということです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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