「万能だと思わず見直しを前提に」子どもたちを性犯罪から守る『日本版DBS』導入へ(2023年9月5日)

「万能だと思わず見直しを前提に」子どもたちを性犯罪から守る『日本版DBS』導入へ(2023年9月5日)

「万能だと思わず見直しを前提に」子どもたちを性犯罪から守る『日本版DBS』導入へ(2023年9月5日)

性犯罪から子どもたちをどう守るのか。政府の有識者会議が5日、報告書を取りまとめました。『日本版DBS』子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないことを確認する制度です。

『声を聴きつなぐ会』の平野利枝さんは小学6年生の時、担任の教師から胸を触られたり、キスをされるなどの性被害を受けました。

平野さん:「はじめはひざに抱くところから始まって、徐々に肩車、抱き寄せられる。とても嫌な気持ちになっていたにもかかわらず、助けてほしいと言うアイデアさえ浮かばないほど、疲弊させられていた」「前科・有罪判決が出ていないと、処分になっていない、正確に記録に残っていない人が本当にたくさんいて。グレーな状態で子どもに関わっている人は多くいる」

子どもに関わる仕事をする人物が、子どもをターゲットにする性犯罪は、後を絶ちません。先月、9歳の女子児童を盗撮した疑いで逮捕されたのは、大手学習塾の講師でした。

性犯罪の問題点は、繰り返し手を染める傾向があることです。有識者会議の資料によれば、5年以内の再犯率は13.9%に上っています。

そこで政府が、子どもを守るため、イギリスの制度を参考に検討しているのが、日本版DBSです。政府が性犯罪歴をデータベース化。子どもに関わる仕事に就く際に、雇用する側が性犯罪歴があるかどうかを確認します。こうすることで、性犯罪歴がある人物が子どもに関わる仕事に就職できないようにする仕組みです。

母親:「安心するかもしれないです、預ける身として」「野放しにされていて、そういう人たちが見えないところで繰り返されていると思うと怖い」

有識者会議で論点となったのは、対象になる職業の範囲です。教師や保育士など公的な仕事に限定するのか、学習塾の先生やベビーシッターなどにまで広げるのかです。

もう一つが、犯罪歴に含める範囲です。示談で不起訴になった場合。痴漢など各都道府県の条例違反。さらに、事件化せずに懲戒処分になるケースもあります。

政府の有識者会議が示した案はこうです。まず、対象の職業について、学校・保育所などは、職員などを雇用する際に犯罪歴の確認が義務付けられました。一方、学習塾・学童保育・スポーツクラブなどは、任意の利用にとどめました。犯罪歴とされる情報は、刑法の性犯罪の前科のみで、条例違反は痴漢行為の一部を対象としました。不起訴処分や懲戒処分は含まれません。

この案について、教師から性被害を受けた平野さんは、こう話します。

平野さん:「今、子どもが関わる場所は増えていて(対象を)学校や保育所だけに限定すると、その分、他の場所に危険が及ぶ。この手立てを万能だと思わず、出発点として、見直しを前提に進めてもらえたら」

■イギリスとの違い「仕事」「犯罪歴」

モデルとなっているイギリスの制度と、日本版の案との違いを見ていきます。

まず、子どもと接する仕事の範囲ですが、日本版の案では学校・保育所・児童養護施設などは義務化の方針です。ただ、学習塾やスポーツクラブなどは任意としていて、認定を受けた事業者のみが対象になる方針です。

イギリスは、18歳未満の子どもに関わる職種・活動に携わる者としていて、ボランティアも含め幅広く対象となっています。

性犯罪歴の範囲についても違いがあります。日本版の案では、有罪判決のみが対象となりました。例えば、示談などによって不起訴処分になったケースも含めるべきとの意見も出たといいますが、報告書では「慎重であるべき」とされました。

イギリスでは、例え不起訴だったとしても、不起訴だったという情報や、過去の職場からの通報記録も、警察などが必要だと判断すれば照会できるようになっています。

(Q>イギリスの制度の方がかなり厳しいような印象ですが)

イギリスも制度を始めた11年前は、範囲を限定して始めたということです。

イギリスDBS ロビンソンCEO:「脆弱(ぜいじゃく)な立場の人たちを守るうえで、まずはスタートを切ることは非常に大切。最初から何百万人もカバーするような制度を作るのは難しい。議論を重ねて、少しずつ改善していくことが必要」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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