“地球沸騰化”対応を…コシヒカリ“耐暑化”改良へ 記録的猛暑で新潟産コメがピンチ(2023年8月28日)

“地球沸騰化”対応を…コシヒカリ“耐暑化”改良へ 記録的猛暑で新潟産コメがピンチ(2023年8月28日)

“地球沸騰化”対応を…コシヒカリ“耐暑化”改良へ 記録的猛暑で新潟産コメがピンチ(2023年8月28日)

連日続く記録的な猛暑の影響で、稲の生育が心配されています。コメどころの新潟では今、『コシヒカリ』がピンチにさらされています。

新潟県長岡市の田んぼでは28日、もち米の稲刈りが行われていました。例年より数日早い収穫です。それは、農家の方が望んだことではありませんでした。

コメ農家 小黒修一さん:「この状態がこのまま続くと、品質にも悪影響だと思うので、例年よりも稲刈りを早めて、品質が悪くならないようにしている」

稲刈りを早めたのは稲の葉先が白くなり、枯れてきたせいです。

コメ農家 小黒修一さん:「例年とは違うのは暑さなので。米粒が割れてしまう『胴割れ』というのがあるが、収穫適期を逃すとなってしまう。それによって等級が落ちれば収入も減りますし、それが怖い」

今年27回、猛暑日を記録した長岡市。過去最も多かった2018年は14回で、倍近くに上ります。この猛暑で実際、コメの品質にどんな影響が出ているのでしょうか。新潟県内のJAの施設では、1週間ほど前に収穫された酒米の品質検査が行われていました。

検査員:「(Q.ピンセットで一粒一粒見る)そうです。これを良い悪いで分けて」

検査員からはこんな声が漏れます。

検査員:「有色がかっているような、痩せているコメが多い」

28日に検査したすべての袋で、品質に問題のない『整粒』は6~7割程度。2等の格付けとなりました。

検査員:「やっぱり今年はちょっと異常でしょうかね」

これから収穫されるコメも、同じような品質になるのではないかと懸念されています。

JAえちご中越 早川忠さん:「穂が出た時から約10日の高温が品質に影響を及ぼす。コシヒカリなど後半の品種、うるちの品種も、引き続き高温が続いている状況が変わっていないので、品質が厳しいところはあるのかなと」

“地球温暖化”を超え“地球沸騰化”と言われる時代。コメの王者コシヒカリも変容を迫られています。

新潟で主流のコメ『コシヒカリBL』は、いもち病に強い品種として開発されたものですが、暑さに弱いことが弱点です。そこで新潟県は今年、品種改良を始めました。高温に強い他の品種と交配するというものです。そのままだとコシヒカリの特性が薄まるため、交配ででき上がったものと、コシヒカリをさらに交配する“戻し交配”という手順を4回ほど繰り返します。戻し交配をするたびに、コメのDNAが高温に強い配列を受け継いでいるのか確認します。

新潟県農業総合研究所 白矢武士主任研究員:「コシヒカリだと、一番上にバーコード状の線が見えるんですが、コシヒカリにはない高温に強い配列を渡せていると、下にこの線が出てきます。コシヒカリの中で、高温に強い配列を受け継いだと判断できます」

ただ、通常の手法では、戻し交配は年に1回しかできません。温室内で栽培することで、それが年3回に。通常4年ほどかかる、戻し交配のプロセスを半分程度に減らせるといいます。

新潟県農業総合研究所 岩津雅和育種科長:「稲を交配してから最終的に品種になるまで15年ほど。そのうちごく初期の部分ですけど、そこで数年短縮ができる。新潟県にとってコシヒカリは特別な品種です。この先も暑さが常態化する懸念もあるなかで、少しでも開発期間を短縮する。そのための研究に取り組んでいる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事