狙われた中央本線「湯の花トンネル」列車襲撃 9歳の乗客が見た景色「死体が積んであった」 襲撃後の戦闘機“新映像”も【news23】|TBS NEWS DIG

狙われた中央本線「湯の花トンネル」列車襲撃 9歳の乗客が見た景色「死体が積んであった」 襲撃後の戦闘機“新映像”も【news23】|TBS NEWS DIG

狙われた中央本線「湯の花トンネル」列車襲撃 9歳の乗客が見た景色「死体が積んであった」 襲撃後の戦闘機“新映像”も【news23】|TBS NEWS DIG

1945年。終戦の10日前、東京・高尾山の麓を走る中央本線が米軍戦闘機に襲撃されました。この列車には疎開先に向かう多くの民間人などが乗っていて、50人以上の命が奪われました。なぜこの列車は狙われたのか。新たな証言や映像からわかった78年前に起こった惨劇とは。

■終戦10日前 国内最大規模の「湯の花トンネル」列車襲撃

戦争の歴史を今に伝える痕跡は、街のいたるところに残されています。東京・八王子市のJR中央線・高尾駅にも痕跡はありました。ただ、その存在に目を留める人は、ほとんどいません。

太平洋戦争末期、日本本土に対し、執拗に繰り返されたアメリカ軍戦闘機などによる機銃掃射。標的は、軍事施設や工場以外のインフラ施設にも及びました。

中でも、多くの人の命を奪ったのが列車への攻撃です。民間人を乗せた列車が容赦なく狙われ、各地で大きな被害が出ました。

そして、終戦の10日前。国内最大規模の列車襲撃が起こります。

小川彩佳キャスター
「ここにこようと思わなければ、たどり着けないような場所に慰霊碑が。亡くなった方の名前と年齢が刻まれている。17歳、16歳…10代の方も多い」

1945年8月5日。高尾駅(かつての浅川駅)からほど近い「湯(い)の花トンネル」の入り口で、走行中の列車に対しアメリカ軍戦闘機が襲撃。52人以上が死亡し、133人が重軽傷を負いました。

■父と疎開先へ行く途…9歳の乗客が見た景色

当時の乗客に会うことができました。
都内に住む榎本久子さん(88)。今回、初めて取材に応じてくれました。

列車襲撃3日前の8月2日未明。八王子市は、アメリカの爆撃機B29による焼夷弾の空襲を受け、市街地の約8割が焼失。約450人が亡くなりました。

榎本久子さん
「(空襲で)何も無くなった。まだ9歳でね。だから母の家へ(疎開)私だけ頼みに行くと言って、それでこの列車に乗った。うちの父が一緒にいた」

攻撃があった5日、長野行き中央本線普通列車は、定刻より20分ほど遅れて午前10時半に新宿駅を出発。11時半ごろ、八王子駅に到着すると榎本さんは疎開先の山梨に向かうため、父親と列車に乗り込みます。車内は、同じように疎開先に向かう民間人などで、すし詰め状態でした。

そして、正午前に浅川駅に到着。約20分後に出発します。その数分後、アメリカ軍戦闘機の機銃掃射にあったのです。

榎本さんは、1両目に乗っていました。

小川キャスター「銃撃があったとき、どんな音が聞こえましたか?」
榎本さん「音なんてこと考えて…ただみんな『潜ってろ』って言われたから、うつぶせになって潜っていただけ」
小川キャスター「どこに潜った?」
榎本さん「潜るといったって電車の中の椅子の下にでも、子どもだから隠れていたんじゃないかしらね」

機銃掃射により列車は急ブレーキをかけたことで、トンネル内に機関車と客車1両半が入って急停車。トンネルの外の車両は、繰り返し攻撃されました。

■戦闘機の襲撃後映像が残っていた 列車を狙ったのは“たまたま”

私たちは当時、機関車に乗っていた助士の男性の証言を録音したテープを入手しました。

機関車の助士 深澤隆さん(当時15)
「機関士が『あっ、来た』と。結局、トンネルの入り口で非常ブレーキをかけて、それが止まったのが、トンネルの真ん中に行って止まった」

そのとき男性は身体に機銃掃射を受け、背中などに弾が残りました。

――「来た」と叫んだ時にもうやられた?

機関車の助士 深澤隆さん
「ここ(身体)から血が弾いてたから、それで初めてびっくりした」

列車襲撃後、上空を飛行するアメリカ軍戦闘機の様子が、映像で残されていたことが専門家の分析で今回初めて分かりました。

飛んでいたのは湯の花トンネルを抜けた場所。中央本線の線路の位置が、現在と当時でほぼ一致します。その辺りを戦闘機は飛んでいたとみられます。

アメリカ軍の戦闘報告書によると、「本来、標的だった飛行場などへの攻撃をとりやめ、“たまたま”見つけた列車を狙った」としています。

■繰り返す“市民が犠牲”の戦争 どのように戦争の記憶を伝えていくか

当時、どのように八王子へ戻ったのか覚えていないという榎本さん。ただ、襲撃現場周辺で見た光景が、今でも忘れられないといいます。

榎本さん
「死体が置いてあったのを見た。私はいっぱい積んであったような気がしたけどね。そのあと3年ぐらい私、涙っていうのが出なかった。だから、どうにかなっていたのね。その後のことは、全然分からない」

インフラ施設を狙った攻撃により、多くの民間人が犠牲になる現実。それは、現代でも繰り返されています。
2022年4月、ウクライナ東部にある駅にロシア軍のミサイルが着弾。50人が死亡しました。

「ロシアがもたらした世界だ。くそくらえ」

当時、駅には町から避難しようとする数千人の民間人が集まっていたということです。

小川キャスター「今、まさにウクライナで戦争が起きています」
榎本さん「もう、あれだけは『止める』ってやってくれる人はいないのかしらって、毎日そればっかり思…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230816-6103869)

▼TBS NEWS DIG 公式サイト https://ift.tt/6PFCWBQ

▼チャンネル登録をお願いします!
http://www.youtube.com/channel/UC6AG81pAkf6Lbi_1VC5NmPA?sub_confirmation=1

▼情報提供はこちらから「TBSインサイダーズ」
https://ift.tt/Vbedc0w

▼映像提供はこちらから「TBSスクープ投稿」
https://ift.tt/lf8MVYx

TBS NEWSカテゴリの最新記事