【報ステ】「どこでも起き得る」都内の水害被害額の7割超…台風7号『内水氾濫』も注意(2023年8月11日)
非常に強い台風7号が、お盆休みの日本列島を直撃する可能性があります。水害への備えが必要となるなか、全国の浸水被害の6割を占める『内水氾濫』には特に注意が必要です。
2019年10月。強い勢力で伊豆半島に上陸した、台風19号は、西日本から東日本の広い範囲に、大雨や強風をもたらしました。川崎市の武蔵小杉駅前では、辺り一帯が冠水。複数のタワーマンションで、停電や断水が長引く被害が起きました。
この浸水の原因は、内水氾濫でした。大雨などで川が増水した結果、堤防を越えたりして、街に流れ込んでしまうことを、街の外から水が来る『外水氾濫』と言います。一方で、越水などが起きなくても、水位の上昇により、排水溝などから雨水を出せなかったり、排水能力が雨量に追いつかなくなったりして、街なかにあふれてしまうのが『内水氾濫』です。
当時の映像で見ると、川には濁った水が流れていますが、水位にはまだ余裕があります。しかし、川のそばにあるマンホールからは、すでに水が噴き出していました。
先月、1人が死亡、500軒以上の住宅に被害が出た、秋田県でも、内水氾濫が起きたと考えられています。
迫り来る、台風7号。まだ進路が定まっていないものの、速度が遅く、多くの雨を降らせることは確実です。私たちは、どう警戒したらいいのでしょうか。
■高まる危険性…対策は
近年の全国の水害被害を見ると、全国の水害被害額は合計で約2.5兆円。そのうち、3割以上を内水氾濫が占めています。国土交通省の資料によりますと、下水道は降水量1時間あたり50ミリに対応する計画が一般的だということです。ただ、近年多発する集中豪雨などで、下水道への負荷は限界を超えることが多いとしています。つまり内水氾濫が多く起きやすいと言えます。東京都の場合は、7割以上が内水氾濫となっています。
東北大学災害科学国際研究所・佐藤翔輔准教授に聞きます。
(Q.改めて、内水氾濫という現象について教えて下さい)
佐藤准教授:「氾濫には外水氾濫と内水氾濫があります。外水氾濫は、大雨が降って川の堤防が壊れたり、川の水が堤防を越えて、水が街のなかにあふれることを言います。一方、内水氾濫は、短時間に大量の雨が降ったことで、本来であれば下水路や河川に排水していた雨水が排水しきれず、街に水があふれることを指します。
(Q.内水氾濫は都市で起こりやすいと考えても良いですか)
佐藤准教授:「一般的に内水氾濫は、平地の中でも、より低い場所で起きやすいとされています。特にアスファルトで覆われた都市部は、雨水を自然と吸収できる地面が少ないため、想定を超える雨を排水しきれない場合があります。近年は降水量そのものが増えているため、必ずしも低地や川の近くでなくても、内水氾濫が起きてしまう傾向にあります。つまり、内水氾濫はどこでも起きてしまう時代に変わってきていると言えます」
(Q.行政などの対策は進んでいますか)
佐藤准教授:「東京・名古屋などの都市部では、より多くの雨水を貯められるように地下空間を広げる工事をしています。ただ、年々、雨量が増え続けている状況で、排水能力が追い付いていません。私のいる仙台市も対策の工事をしていますが、完成は2年後と言われています。そもそも、内水氾濫は前兆を把握することが難しいです。自治体は頑張って対策していますが、内水氾濫の発生そのものは防止できず、程度を抑えることしかできません」
(Q.私たちが準備をしておくべきことは何ですか)
佐藤准教授:「家の中に水が入るのを防ぐ工夫や、車を高所の有料駐車場などに移動させておくといったことができます。ただまずは、自分の近所のハザードマップを見ていただきたいです。自治体によっては、内水氾濫のハザードマップが提供されている場合があります。自分の住んでいる地域が内水氾濫する可能性がどれくらいあるか、検討に役立つので、ぜひ確認していただきたいです」
(Q.内水氾濫が起こってしまった後、注意すべき点は何ですか)
佐藤准教授:「注意しなければいけないのは移動、つまり避難行動です。内水氾濫で家の周りが浸水してしまった場合、外に避難しない方が良いです。移動は難しく危険になります。特に車の場合は、故障してコントロールできなくなってしまいます。内水氾濫が発生したら、命を守るためにも、今いる建物の2階以上に避難する方が良いと考えます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く