【解説】札幌“切断遺体”父娘に続き母親逮捕　なぜ？(2023年7月25日)

【解説】札幌“切断遺体”父娘に続き母親逮捕　なぜ？(2023年7月25日)

　札幌・ススキノで頭部のない遺体が見つかった事件。24日、娘の田村瑠奈容疑者（29）、父親の田村修容疑者（59）が逮捕されました。

　そして25日、新たに母親の田村浩子容疑者（60）が逮捕されました。事件を隠そうとして逮捕されたのではなく、容疑は2人と同じ、死体損壊、領得、遺棄の疑いでした。

　なぜ、母親まで同じ容疑で逮捕されたのでしょうか。元大阪地検検事の亀井正貴弁護士に聞きました。

■カギは事件を「いつ知ったか」

　警察は、自宅から見つかった頭部について、浩子容疑者はその存在を知っていたとみて捜査しています。

　遺体の切断（損壊）、持ち去り（領得）に直接関わっていたかどうかは、まだ分かっていないということです。

　それにも関わらず、死体損壊、領得の容疑が母親にかかっています。

　仮に頭部が持ち帰られた段階で事件を知り、“隠すこと”に協力しただけであれば、容疑は死体遺棄のみになる可能性があったといいます。

　ただ今回は、死体遺棄だけでなく死体損壊、領得の容疑もかかっています。

　亀井弁護士によりますと、「実行役」でなくとも“犯行についての話し合い”などに参加していれば「共犯」として、同じ容疑で逮捕できるといいます。

　つまり警察は、浩子容疑者が“事件前”に娘や父親から犯行の相談を受けるなど、切断や持ち去りを含めた計画に関わったとみて、死体損壊、領得、遺棄の容疑で逮捕した可能性があるということです。

■母親関与の“根拠”は？…2つの可能性

　では、警察は何を根拠に「母親も事前に関わっていた」とみているのでしょうか？

　まず考えられるのが、本人、もしくは娘・父親が「母親も関わっていた」と認めた可能性です。

　もう一つは、“関わった証拠”が見つかった可能性です。例えば、スマートフォンの解析から“家族でSNSのグループを組み、犯行に関わるやりとりをしていた”ことなどが分かれば、それも証拠になるといいます。

■見え始めてきた…娘・父の“共犯性”伺わせる状況

　母親の浩子容疑者は、どのように事件に関わっていたと警察は見ているのでしょうか？

　北海道警キャップ・山上暢記者に聞きます。

　山上記者：

　警察としては、3人が同居しているので、浩子容疑者も当然、切断された頭部が自宅にあったことは認識していたとみて、逮捕に踏み切ったと思われます。

　逮捕された3人についてですが、瑠奈容疑者はホテルに1人で入ったとみられています。

　修容疑者については、瑠奈容疑者を現場周辺まで車で送迎した可能性が高いとみられています。また、事件前に瑠奈容疑者と札幌市内の小売店を訪れ、犯行に使われたとみられる刃物のようなものやスーツケースを購入したとみられています。

　このようなことから、2人の“共犯性”を伺わせる状況が見え始めてきています。

　しかし、浩子容疑者がどこまで関与しているのかは、まだ明らかになっていません。今後の捜査で、全容解明を進めて行くという段階だと思われます。

■捜査のポイントは…“主導者”と“いつからどこまで共謀”　

　親子3人の捜査のポイントですが、今後はどのようになっていくと予想しますか？

　山上記者：

　まだ逮捕されたばかりですので気が早いかもしれませんが、「一体誰がこの事件を主導したのか？」「殺人の疑いが誰にかかってくるのか？」が焦点になると思います。

　今回、3人が“共謀”したうえで犯行に至ったということで逮捕されています。

　この“共謀”という点について捜査関係者に話を聞いたところ、それは「計画段階なのか」「実行段階なのか」、様々なパターンがあるといいます。

　ですから「3人がどの段階から、どう関与していたのか」を今後の捜査で詰めていくことになると思います。

　そのなかで、「誰が主導したのか」ということが捜査のポイントの一つになると思います。

　これまでの捜査では、瑠奈容疑者が一人でホテルに入って行ったとみられています。

　こうしたことから、瑠奈容疑者の殺人の疑いについて今後慎重に捜査が進められると思われます。

（スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2023年7月25日放送）
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