娘に食事与えず入院させ共済金詐取 5年間も虐待見抜けず NPOが要望書“踏み込んだ情報共有を”

娘に食事与えず入院させ共済金詐取 5年間も虐待見抜けず NPOが要望書“踏み込んだ情報共有を”

娘に食事与えず入院させ共済金詐取 5年間も虐待見抜けず NPOが要望書“踏み込んだ情報共有を”

 大阪府大東市で、娘に食事を与えず入院保障の共済金をだまし取ったとされる事件で、母親が逮捕かされてから25日で1週間です。周囲が異変を見逃さないために必要なこととはーー。

 25日、取材に応じた子どもの虐待防止などに取り組むNPO法人。大東市と大阪府に対し、児童相談所と市町村、それに警察が、虐待に関する情報をすべて共有することなどを求める要望書を提出したと明らかにしました。

 NPO法人シンクキッズ・後藤啓二代表理事
「今回なんとか命は無事だったわけですけれども、せっかく通報がありながら対応ができなかったことは、行政として非常に反省しなければならない」

 きっかけとなったのが、1週間前の事件でした。

 今年1月、9歳の娘に食事を与えず低血糖症で入院させ、入院保障としての共済金6万円をだまし取ったとして、34歳の母親が逮捕されたのです。

 娘は5年前から、40回以上入退院を繰り返し、受け取った共済金は、約570万円にのぼっています。

 母親と娘を知る人
「(娘は)見た感じではガリガリくらい。食事させてもらってないんやろうと。(母親は)ここ最近だと、夜飲みに歩いたり、友達と高級なランチ食べに行ったり。(Q:そういうお金を稼げそうでしたか?)絶対無理です」

 なぜ5年もの間、事件は明るみに出なかったのか。

 市には去年10月、「子どもに食事を食べさせていないのではないか」や「夜に子どもがベランダに出されている」などと、虐待を疑う通報が2度寄せられていました。

 ベテランの市の職員が、母親だけでなく娘にも直接、聞き取りをしましたが、「異変」を見抜くことができませんでした。

 大東市家庭児童相談室・高橋和久課長
「入院は、市も学校も病気が理由なんだという理解をしていた。面談の中で明らかに虐待が疑われるそういったことが確認できることは無かった」

 専門家は、子どもが声を上げることが難しい。こうした問題の“見えにくさ”を指摘します。

 関西大学・山縣文治教授
「小さいお子さんの場合は、親に依存して生きていますので、食事を抜かれたりするのが常態化していたら、ほかの子供と情報交換しなければ気付かない」

 今回、要望書を提出した団体は、複数の機関で見守りを行うことで見抜ける虐待もあると指摘します。

 NPO法人シンクキッズ・後藤啓二代表理事
「外傷がないから安全だとか、外傷がないから虐待じゃないというのは、少なくとも児童虐待対応に関わる機関はそういう意識を捨てないといけない。もっと踏み込んだ調査は、体制的にも能力的にも市町村や児相ではできないわけなので、そういう能力、あるいは体制のある警察となぜ連携して対応しなかったのかが、非常に大きな問題点として挙げられる」

 異変を見逃さないために、関係機関が情報を共有し、これまでよりも踏み込んだ対応ができる仕組みづくりが求められています。

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