『ヘルパンギーナ』『RS』増加…ウイルス流行で小児医療ひっ迫 受診の目安は?(2023年7月3日)
新型コロナの感染拡大が続くなか、さらに、“ヘルパンギーナ”や“RSウイルス”の感染者も増加しています。
3日の横浜市内の小児科クリニック。この1~2週間で患者が急増し、午前中だけで52人の子どもが訪れました。
夏風邪のヘルパンギーナ。感染すると、高熱や体の痛みに襲われます。通常、乳幼児に多く見られますが、今年は小学生など大きい子どもの感染も目立つそうです。神奈川県では、1医療機関あたりのヘルパンギーナの患者が6を超え、『流行警報』です。
ヘルパンギーナは特に喉、RSウイルスは肺も痛めるウイルスです。3つ同時に流行することで、免疫の低下や、重篤化のリスクが高まっていると、医師は危機感を持っています。
はまかぜこどもクリニック・青木康之院長:「入院する子が多いですけど、なかなかベッドに空きがなくて、5~6カ所、なかなか見つからず、最終的に行った病院では、もうすでにお子さんが重症で運ばれるケースも耳にしました」
見えないところで始まる“しわ寄せ”。横浜市消防局では、119番で駆け付けたものの、4カ所以上、受け入れできず、搬送に30分以上かかった事案が6月19日~25日で99件ありました。
いま、足りないのは子どもの病床だといいます。
はまかぜこどもクリニック・青木康之院長:「小児科だけがひっ迫状態。いま、一気に世の中が動き出したので、今までかかっていないウイルスに初めてかかるという方が多い。本来1~2歳でかかる病気が3歳以上、もう少し大きい子がかかるのは、今までかかるべきものにかかっていなかったので、重症になる子もいる」
新型コロナウイルスが5類に移行したあと、沖縄では急拡大しています。1週間の新規感染者数は、推計で1万人。入院中の患者は1051人、すでに“第9波”ともいわれています。
沖縄県・玉城デニー知事:「子どもの感染が増え、県立南部医療センター・こども医療センターをはじめとする小児の救急病院に多くの患者が殺到し、負担が高まっています」
沖縄県では、RSウイルスで重症化した子どもの入院も、2~3週間前から増加していて、病床不足が深刻になっています。
高齢者や重症化リスクの高い人の入院待機ステーションとして利用していた施設を再稼働しました。那覇市内の発熱外来では3日、
30人検査し、20人が新型コロナ陽性でした。
曙クリニック・玉井修院長:「定点把握になって、流行の全体像、実感としてつかみにくい。これまでの感覚と整合性が取れず、非常に危機感を持ちにくい数字。“第9波”は去年の夏の第7波をしのぐ可能性は十分にある」
◆子どもがよくかかる感染症。急増の背景に何があるのでしょうか。
RSウイルスとヘルパンギーナの感染者数を、新型コロナ流行前の2019年と今年で比べたグラフをみます。
ヘルパンギーナについては、コロナ前は7月がピークでしたが、今年は5月から急増。一医療機関当たりの感染者数は、すでにコロナ前の数を超えています。
RSウイルスについては、コロナ前は8月~9月にかけてピークだったのが、今年は5月から急増。一医療機関当たりの感染者数は、2019年のピークの値にすでに迫っています。
なぜ、前倒しで感染が急増しているのか。川崎医科大学の小児科医で感染症学が専門の中野貴司先生によりますと、理由は2つあるといいます。
1つ目は、「ウイルスが感染しやすい環境へ急激に変化したこと」。5月から、強い『行動制限』や『感染対策』が解除され、人と人の接触機会、遠隔地に行く機会が増え、ウイルスが移る機会が増えたからだといいます。
2つ目は、「免疫を持たない人が増加したから」新型コロナ対策で、さまざまな感染症の流行が抑えられた結果、免疫を持たない人が増えて、流行につながったといいます。
どんな場合に受診したらよいのか。先生は、このようなポイントを挙げています。
●38度以上の高熱が続く
熱はなくても…
●夜眠れないほどの咳
●尿が出ない(極端に少ない)場合など
また、かかりつけ医で予約が取れない場合でも、「ほかの病院へ行くなど、早めの受診をしてほしい」と話していました。
中野先生は大人も注意が必要だといいます。「今年は、大人の感染も増えている。本来であれば、さまざまな病原体にさらされ、高い免疫を維持しているが、コロナ禍で大人も免疫力が低下し、感染しやすくなっている。過度に恐れる必要はないが、手洗い、うがいなどの基本的な感染対策が大切」と話します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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