事件発生から41日…なぜ今?“自殺ほう助”判断のワケは?今後の見通し…記者中継(2023年6月27日)
先月、都内の自宅で両親と倒れているのが見つかった歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者こと本名・喜熨斗孝彦容疑者(47)が27日、逮捕されました。
逮捕容疑ですが、先月17日~18日までの間に母・喜熨斗延子さん(75)に睡眠導入剤を服用させ、死亡させた自殺ほう助の疑いです。父・市川段四郎さん(76)も先月18日に死亡。両親の死因は、向精神薬中毒とみられます。
警視庁によりますと、猿之助容疑者は、自殺の動機として「週刊誌報道をきっかけとして家族会議が行われ、みんなでさよならすることにした」という趣旨の説明をしているといいます。また、任意の調べに対し「なるべく苦しまずに死ぬ方法として、睡眠薬を飲んで、眠った後に袋を使うことにした」と話しているということです。
ただ、睡眠薬を使用した際に出たゴミや、両親の顔にかぶせた袋は現場から見つかっていません。
◆警視庁キャップの金井誠一郎記者に話を聞きます。
(Q.事件発生から逮捕まで41日。なぜ、このタイミングでの逮捕となったのでしょうか)
このタイミングになったのは、供述などの裏付けなどが終わり、ようやく容疑が固まったからです。今回の事件は、第三者の介在がなく、密室での犯罪行為だったため、証言などをはじめ、裏付け捜査にある程度の時間がかかったとみられています。警視庁は、両親が亡くなった後、猿之助容疑者自身も自殺しようとしていたとみていて、逮捕については、最悪の結果になってしまうという可能性も十分に考え、身柄を拘束する形に踏み切りました。
(Q.今回の逮捕容疑は、母親への自殺ほう助ということですが、どういう判断で自殺ほう助という容疑になったのでしょうか)
現場の状況や抵抗の跡がないことなどから、薬を飲んで死ぬという行為は、母親が自ら選んで行った行為と結論付けました。そのため、自殺ほう助での立件となっているとみられます。そのうえで司法解剖の結果、母親は、向精神薬中毒の疑いで亡くなっていて、その薬の成分は、猿之助容疑者が処方されたものと同じでした。つまり、猿之助容疑者自身が薬を手渡さなければ、今回の方法=睡眠導入剤を飲んでの自殺は成立しなかった。そのため、自殺のほう助=手助けを行ったと認定されたものとみられています。
『嘱託殺人』との大きな違いは、死亡するに至った行為が自ら行ったものか、他人によって行われたものかによります。今回は、自ら薬を飲んだとみられるので、『自殺ほう助』が適用されたと考えられます。
(Q.睡眠薬を使用した際に出たゴミや、両親の顔にかぶせた袋は現場から見つかっていませんが、今後の捜査にどう影響しますか)
猿之助容疑者は、「薬のゴミや袋は捨てた」と話しています。この行為については疑問点も多く、顔に袋をかぶせたということで、悪質性がありそうですが、その行為が死因に直結していないので、罪に問うことは難しいと考えられます。つまり、これらの物証がなくても、警視庁は、自殺ほう助したことを立証できるとみていて、捜査には大きな支障はないと考えられます。
(Q.今回は母親に対する自殺ほう助の疑いでしたが、父親の段四郎さんの死に関して、今後の捜査の見通しはどうでしょうか)
父親の健康状態が判然としていないのですが、猿之助容疑者の証言や状況からは、父親に対しても、基本的に母親と同様の行為を行ったと警視庁はみています。今後、取り調べのなかで、父親が亡くなった状況についても聴いていき、証拠を積み上げて、自殺ほう助容疑で再逮捕することを視野に捜査を進めているとみられています。
※厚生労働省は、先の見えない不安や生きづらさを感じている人は、1人で悩みを抱えずに電話などで専門の相談員に話してほしいと呼び掛けています。
▼「#いのちSOS」0120-061-338
▼「よりそいホットライン」0120-279-338(岩手・宮城・福島は別の番号です)
▼「こころのほっとチャット」LINEで友達登録
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く