乗員の生存は“絶望的”か 「タイタニック号」付近で潜水艇「タイタン」の破片を発見【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG
大西洋で消息を絶った潜水艇「タイタン」ですが、その破片が、沈没した「タイタニック号」付近で見つかりました。乗員5人の生存は“絶望的”との見方が示されていますが、一体、何が起きたのでしょうか?最新情報をまとめます。
■「外部からの圧力によって、壊滅的に破壊された潜水艇のもの」
加藤シルビアキャスター:
アメリカの沿岸警備隊は、“潜水艇の破片”を発見したと発表しました。「破片は外部からの圧力によって、壊滅的に破壊された潜水艇のもの」ということで、乗員5人の生存は絶望的という状況になりました。
潜水艇「タイタン」の大きな破片5つほどが、水深約4000mのところに沈んでいるタイタニック号の船首部分から約500mの場所で発見されたということです。
では、破壊につながる大きな異変はいつ起きたのか。
「タイタン」が潜水を開始したのは18日の朝で、1時間45分後に連絡が途絶えてから4日間、24時間態勢で捜索活動が行われていました。
その中で、アメリカ海軍は「18日にこの海域の周辺で爆発音を検知していた」と発表しました。ですから、潜った数時間後には何らかの問題があった可能性が指摘されています。
こうした事態となり、世界中から悲しみの声が届いています。
イギリスの大富豪 ハミッシュ・ハーディングさんが役員を務める会社
「彼は先導者であり、インスピレーションであり生きる伝説でした」
親子で乗っていたパキスタンの財閥男性が役員を務める財団
「2人が死去したことを、深い悲しみとともにお知らせします。潜水艇のほかの乗客の家族に心より哀悼の意を表します」
■「安全性や強度について認証を受けていない」という報道も
加藤キャスター:
運営会社オーシャンゲート社が公開している動画には、複数の人が携わって安全性を確認する数々のテストを行っている様子があります。実際に潜水してのテストもあり、それをクリアして完成しているといった様子が映し出されています。さらに映像の中では、パートナーとしてNASAやボーイング社などと協力して製造しているという宣伝もありました。
動画の中では安全性が強調されていますが、そもそも「潜水艇『タイタン』は海洋技術協会から、安全性や強度について認証を受けていない」という報道が、ロイターやニューヨークタイムズなど海外メディアから出されています。
■“認証なし”でツアー可能?
また、「タイタン」をめぐってこのようなコメントも出されています。
ボーイング社:
「パートナーだったことはなく、設計や建造を行ったこともない」
NASA:
「助言はしたが、テストや職員の派遣はしていない」
認証もないのに、ツアーを行うことは可能なのかという疑問がありますが、実は、潜水艇に公式な認証義務はないということです。オーシャンゲート社は「設計と運用において合理的な最高レベルの革新的な価値を追求している」として、従来の考えにとらわれない新しい技術であることを強調しています。
■映画「タイタニック」の監督からは「ひどいアイデア」との声も
加藤キャスター:
さらに、安全性で疑問視されているのがその形状と素材です。
潜水艇「タイタン」では、乗員の居住空間は、カーボンファイバーとチタンの複合材でチューブ状の形状をしていました。
これが“4000mの潜水に有効な船体構造”であるとしているんですが、一般的に深海への有人潜水艇は水圧を均等に受けるため、チタン製で、球体状の居住空間が基本だということです。日本の「しんかい6500」を見てみても、球体の部分に人がいる設計になっています。
実際にタイタニック号に潜水経験があり、映画「タイタニック」を撮ったジェームズ・キャメロン監督は、「タイタン」に使われた素材についてこのように言っています。
ジェームズ・キャメロン監督
「(カーボンファイバーなどの複合材は)ひどいアイデアだと思いました。圧力試験に合格しても、何回目かの潜水で故障するかもしれない。声を大にすればよかった」
井上貴博キャスター:
実験段階の船が未認可の状態でこのように潜水するというのは、ツアーというよりも研究だと思うんですけど、それが公海上だと、エアポケットのようにどの国の法律やルールも適用されないからできてしまう。そこをどうやってこれからつぶしていくかということなのかもしれないですね。
命と引き換えに未知の場所を見てみたいという好奇心で行っていた方がいるとすると、今回のような条件では物理的にツアーが組めないというルールを作る必要があるのかなと思います。
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