小中学生の不登校が“過去最多”に…「もう一度学びの楽しさを」家庭・学校以外の“第3の居場所”どう作る?【news23】|TBS NEWS DIG
コロナによる休校などの影響もあり、不登校の小中学生がおよそ24万5000人と、過去最多となっています。学校に行かなくても、それぞれの子どもが自分のペースで学び続けられる、新たな“居場所づくり”も始まっています。
■過去最多の不登校児“約24万5000人” 小学6年生「(理由は)覚えていません」
熊本市の小学6年生、山口楓太さんは、長年学校に通っていません。
Q.学校は何で行きたくなくなっちゃった?
小学6年生 山口楓太さん
「覚えていません。4年くらい、5年、いや何年、ずいぶん前から行っていないので」
発達障害と診断されている楓太さんは特別支援学級などにも馴染めず、漫画を読んだり、ゲームをしたりして、家で過ごす日々が続いていました。
楓太さんの母親も不安を抱えてきました。
楓太さんの母 山口美穂さん
「このまま掛け算とかできないまま、大人になってしまったらどうなるんだろう」
文部科学省によると、2021年度の不登校の小中学生は、約24万5000人。過去最多となりました。
不登校の子どもが主に過ごす場所に関して…
自宅 91.3%
フリースクール 25.3%
※NPO法人調査 複数回答
不登校児の9割が主に自宅で過ごしているという民間の調査結果もあり、頼るところが見つからず、親子で孤立を感じていることも少なくありません。
長年学校に行っていない楓太さんが、2022年からほぼ毎日通っている場所があります。
小学6年生 山口楓太さん
「勉強していました。算数です。5年生」
熊本市内のフリースクール、日本財団「子ども第三の居場所」熊本学習支援センターです。
決まったスケジュールはなく、楓太さんは自分のペースで机に向かっています。
ここでは、小学生~高校生までが一緒に過ごし、大学生のボランティアが中心となり、個別に勉強を教えています。
フリースクールに通う高校生
「決められていることがないから、自主的に勉強することもできるし、やれって言われることがないから、頑張ろうって思える」
勉強は子どもたちの自主性に任せ、公園で遊んだり、一緒に食事をしたりする時間も大切にしています。
熊本学習支援センター 仙波達哉 センター長
「子どもが抱えている問題は、学習だけじゃない。両輪でやらないとダメだと。教育的な面と福祉的な領域」
8年前から、このフリースクールを運営する代表は、学校での集団生活が合わない子どもが増えてきていると感じています。
熊本学習支援センター 仙波達哉 センター長
「集団の中で自分がいる限界っていうのを感じているんだと思います。家庭の居場所と学校の居場所以外に、“第三の居場所”というのが必要な時代になってきているんですね」
楓太さんの母親は、フリースクールに通い始めてから、楓太さんに自信がついてきたといいます。
楓太さんの母 山口美穂さん
「俺はセンター(フリースクール)に行ってるから大丈夫って思ってくれているのが嬉しくて。学校ほどの決まりでがちがちしていない。自由過ぎてということでもなく、そこが一番居心地がいいのかなって」
■小学校で不登校児向けオンライン授業 校長判断で出席扱いも
自宅から出られない子どもにも学ぶ機会を作る新たな支援も始まっています。
熊本市立本荘小学校から配信しているのは、不登校の児童向けのオンライン授業です。
熊本市が掲げる「フレンドリーオンライン」という学習支援で、コロナ禍にオンライン学習が定着したことをきっかけに、2021年から始めました。自治体がオンライン授業を展開するのは、全国的に見ても珍しい取り組みです。
教師
(画面に向かって)
「何のスポーツでしょうか」
「おー!答え出たね」
子どもたちが参加しやすいように、なぞなぞや雑談も取り入れ、堅苦しくない授業を心がけています。
子どもは、自宅など好きな場所から参加しています。顔や声は出さずに、チャットや学習支援アプリを使ってやり取りします。なかにはアバターで参加する子もいます。
〈オンライン授業〉
月曜~金曜 午前9時半~午後3時 自習時間含む
(水曜は午前のみ)
オンライン授業は、再雇用の60代の教師3人が専任で担当しています。
教師
「緩やかなもので安心してできるということを、そんなオンラインの授業を心がけています」
6月14日現在、熊本市内の小中学生、計157人が登録。校長の判断で出席扱いとすることもできます。
熊本市立本荘小学校 西川英臣 校長
「オンラインであれば、最悪、最初は聞くだけでも、できるところからスタートということで、もう一度学びの楽しさ、人と繋がることの良さっていうのを伝えていく」
■周知されない“学校・家庭以外の居場所”
小川彩佳キャスター:
ここからは取材した社会部・岡村仁美記者に聞きます。まずは不登校の小中学生の状況について改めてお伝えください。
社会部 岡村仁美 記者:
文科省の調査によると、不登校の小中学生は9年連続で増加し、2021年度には過去最多の約24万5000人となっています。特に小学生は、直近10年で約4倍と、増えている割合は大きいんですね。取材をさせてもらった楓太さんも小学生でした。
調査に当たった文科省は、新型コロナによる一斉休校などの影響もあるのではないかというふうにしています。
そして、不登校児の91.3%が主に自宅で過ごしているという調査結果もあるんです。
※登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク(複数回答)
小川キャスター:
お子さんが不登校になることで保護者の皆さんも様々な困難に直面することになりますよね。
社会部 岡村仁美 記者:
そうなんですよね。
お話を伺った登校拒否・不登校を考える全国ネットワークの中村みちよ共同代表は、
「親は学校以外に通える場所を探すがたどりつかない」「不登校で収入が減ることもあり、家庭への経済的な支援も必須」だというふうに話していました。
民間のフリースクールというのは基本的には有料なので、自治体によってフリースクールに通う家庭に助成を始めているというところもあるんですが、まだ一部にとどまっているというのが現状です。
山本恵里伽キャスター:
学校・家庭以外の居場所となると私自身も思い付かないです。もしかしたらフリースクールなどが身近にあったのかもしれないですけど、知らないので、もっと周知される必要があるという気がしますね。
小川キャスター:
お子さんによって状況も様々で、デリケートな問題だけになかなか連帯することが難しい。本当にご家庭単位で孤独を抱えることにも繋がってしまうのかなというふうに感じるんですけれども。
これまではどうにかして学校に通えるように、不登校を脱していくという登校対策が行われていたような気がします。
社会部 岡村仁美 記者:
長年、そうだったんですよね。ただ、文部科学省も方針転換をしているんです。
2016年成立「教育機会確保法」では、「学校に戻ることが全てではない」というふうに方針を変えたんですね。様々な学びの場を確保するということを国も目標としているんです。
ただ、今回取材をしたなかで、多く聞かれた声というのは、「学校という画一的な場所に合わない子どもが多くなってきているのではないか」という声なんです。
不登校になっている子どもは、その子によって、事情はそれぞれ全然違いますので、その子によって必要とする支援というのも違ってくるわけです。なので、その子に合った学ぶ場所を選択できるように、選択肢を増やすという意味でも、民間だけではなく、行政の支援というのも必要になってきているというふうに感じました。
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