地下道冠水死亡事故で近江八幡市の検証委が最終報告「増水の認識が欠如」冠水感知する“自動遮断機”も

地下道冠水死亡事故で近江八幡市の検証委が最終報告「増水の認識が欠如」冠水感知する“自動遮断機”も

地下道冠水死亡事故で近江八幡市の検証委が最終報告「増水の認識が欠如」冠水感知する“自動遮断機”も

 去年7月、滋賀県近江八幡市の地下道が冠水し、72歳の女性が溺死した事故を受け、市が設置した検証委員会が、最終報告書を提出しました。近年、突発的な大雨が増加する中、事故を防ぐため新たな技術の開発も進んでいます。

 甚大化する大雨が引き起こした死亡事故の原因は、どこにあったのでしょうか。

 坂梨俊記者「検証委員会は約1年弱に及ぶ調査を終え、最終報告書をまとめています」

 13日、滋賀県近江八幡市の検証委員会は事故の最終報告を発表しました

 去年7月、市内の地下歩道、アンダーパスが大雨で冠水し、女性がうつ伏せで浮いているのを、近くで工事をしていた男性が見つけました

 女性は近くに住む岩田鈴美さん(当時72)で、その場で死亡が確認されました。

 当時の現場の監視カメラを見ると…。午前11時の時点ではほとんどなかった水が、たった20分で冠水し始め、1時間後には天井近くにまで達していたのです。

 この日、近江八幡市付近は1時間に約90ミリの猛烈な雨を観測し、記録的短時間大雨情報が発表されていました。

 しかし、市が地下道を通行止めにしたのは、岩田さんが発見された後だったのです。

 事故検証委員会の報告書では、増水で死者が発生しうるという認識の欠如から、地下歩道への対応の優先順位が高くなかったと指摘。

 また、周辺の水路の排水能力に問題があったため、大量の雨水がアンダーパスへ流入したと結論付けました。

 一方、市の責任については、「限られた人的資源の中での対応には一定の合理性があった」としました。

 そして、この報告書は先ほど市長に提出されました。

 日本全国で3661か所あるというアンダーパス。台風シーズンを前に命を守る備えが広まりつつあります。

 坂梨記者「こちらの業者が開発したのが、空気式の遮断機です。冠水センサーを水に浸すと、車両通行止めと書かれた遮断機ができます」

 兵庫県尼崎市の企業が開発した自動で通行止めを促す「エアー遮断機」は、大雨を自動で感知し、道路を封鎖。導入には1000万円以上かかりますが、すでに大阪府や兵庫県など35の都道府県で導入されているということです。

 「アドビック」の常次大輔さん
「ほんとに対応が間に合わないというケースが非常に増えていて、問い合わせは全国各地で増えてきています」

 気候変動によって経験したことがない大雨の恐れが年々高まる中、再発防止の備えが求められます。

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