「野蛮です」ウクライナ住民怒り “ダム破壊”広範囲で集落浸水(2023年6月7日)
ウクライナ南部で発生したダムの破壊で広範囲で深刻な被害が出ています。破壊後に現地を撮影した衛星画像には、多数の町や集落が浸水している様子が記録されていました。
■“ダム破壊”広範囲で集落浸水
町はどこもかしこも水につかりました。
CNN記者:「短い時間いるだけでも、水位が大幅に上昇しているのが分かります。ドニプロ川からあふれ出る水で、ここや周囲の町で今も水位が上がり続けています」
ウクライナ南部ヘルソン州で6日、ドニプロ川にあるカホフカ水力発電所のダムが破壊され、川の沿岸で大規模な洪水が引き起こされました。
破壊される前、4日に撮影されたダムの衛星画像。そして、6日に撮影された画像です。水をせき止めることはできません。また、沿岸を撮影した画像を見ても、いくつもの町や村のかなりの広範囲で洪水が起きていること分かります。
■「野蛮です」ウクライナ住民 怒り
住民:「どうすればいいか分かりません。なんでこんなことを?戦争で兵士たちは戦っているけど、なぜダムを破壊するの?言葉が見つかりません。野蛮です」
ウクライナの検事総長は、下流地域などに住む1万7000人以上の避難を進めているとしています。人間だけではなく動物もです。ペットの犬は隣の部屋にいました。沿岸の動物園では浸水で300以上の動物が命を落とし、助かったのは1組の白鳥の家族とアヒルだけだと訴えています。
■ゼレンスキー氏「ロシアがテロ」
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるテロだと非難しました。
ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「このようなテロを起こさせないためには、ウクライナ領の完全な解放しかない。ロシアは何でもテロに利用する」
一方のロシアは、ウクライナの仕業だと主張しています。
ロシア、ネベンジャ国連大使:「6月6日の夜、ウクライナの政権は考えられない犯罪を行った」
ダムのあるヘルソン州では、ロシアが川の南側の占領を続けていて、ウクライナが奪還を目指しています。
■「ロシア兵が流された」証言も
防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「ウクライナ側の反転攻勢に向けた動きを見て、現場の指揮官がちょっとしたパニック状態に陥って」
ウクライナ側からは、現場のロシア兵もダムの破壊を知らなかった可能性があるとの証言も出ています。ウクライナ軍の将校は、ダム決壊による洪水で多くのロシア兵も流されたと証言しています。
ウクライナ軍将校:「ロシア軍の陣地は浸水で完全に破壊され、多くの死傷者も出ています。ロシア兵が避難しているのを見ました。陣地だけでなく武器や装備、弾薬、車両なども置き去りにしていました」
将校は、現場のロシア兵もダムの破壊を知らなかったのではないかと話しています。ただウクライナの関与も否定しました。
ウクライナ軍将校:「ウクライナはダムの破壊はしていません。我々の管理下にありませんし、住民たちのこともあります」
ウクライナが目指すのはロシアからの領土奪還です。
防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「ウクライナ側が川を渡ってくるシナリオというのはロシア側は備えていて、爆薬を設置していたのではないか」
ただ、ダムの破壊は意図的なものではなかった可能性があると言います。
防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄室長:「ウクライナ側の反転攻勢に向けた動きを見て、現場の指揮官がちょっとしたパニック状態に陥って、爆破のスイッチを入れてしまった。ロシア側もかなり下流の兵力が損害を受けているという情報もあるので、そうだとすると、全体として綿密に計画されたような作戦ではないということだと思う」
ウクライナは反転攻勢の開始について明言を避けています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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