イタリア大規模洪水…被害受けた農家 悲痛な声「来年も収穫厳しい」 避難者3万人超(2023年5月25日)

イタリア大規模洪水…被害受けた農家 悲痛な声「来年も収穫厳しい」 避難者3万人超(2023年5月25日)

イタリア大規模洪水…被害受けた農家 悲痛な声「来年も収穫厳しい」 避難者3万人超(2023年5月25日)

 大規模な洪水に見舞われたイタリア北部では、およそ3万6000人が避難生活を余儀なくされている。被害を受けた農家に話を聞いた。

■メローニ首相 サミット日程切り上げ帰国

 街が浸水し、屋根の上に取り残された住人をヘリで救助するレスキュー隊。16日から断続的な大雨に見舞われた、イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州では、1週間以上が経過した今も水が引かず、洪水の被害が続いている。

 地元メディアによると、36時間で半年分の雨が降った地域もあり、一時3万6000人以上が避難を余儀なくされ、15人が死亡したという。

 さらに、地元当局によると20カ所以上で川が氾濫し、300カ所以上で土砂崩れも起きているという。

 G7広島サミットの日程を切り上げ帰国した、メローニ首相は21日、被災地を視察。浸水した住宅の被害を見て回り、被災者の声に耳を傾けた。

 23日、イタリア政府は、20億ユーロ、日本円でおよそ3000億円の緊急支援金を拠出することを閣議決定した。

■ブドウ・オリーブ農家「来年も収穫厳しい」

 被害の全容がいまだ把握できない状況のため、支援の手が届かない場所もある。

 ブドウ・オリーブ農家 デメトリオ・ベルナビーニさん(33):「ブドウの木はなぎ倒され、杭は下のほうまで飛ばされています」

 話を聞いたのは、親子3代にわたりこの地でワイン用のブドウやオリーブを育ててきた、ベルナビーニさんだ。

 ベルナビーニさん:「道路も完全に地滑りでやられました。私の畑も泥で埋まりました」

 洪水に見舞われる前は、およそ2000本のブドウが育つ豊かな農作地だったという。

 3割以上の敷地が土砂に埋もれ町と農場をつなぐ道路も寸断されており、今も孤立状態だという。

 飲料業界の専門誌によると、被災したエミリア・ロマーニャ州はイタリア全体のワイン生産量の14%を占めるという。

 ベルナビーニさん:「何日も木が水につかった状態になりました。こうなると人が溺れているのと同じで、根に酸素が足りなくなります。木が死んでしまい、今年はもちろん、来年も収穫は厳しいです。植え替えないといけないし、育つのには3~4年はかかります」

■洪水被害 フルーツ・パスタにも影響か

 イタリアでの今回の洪水は、農産物の生産に、大きな影響を与える可能性がある。

 被害を受けた地域農業の生産者団体によると、被害が大きかった地域は、「フルーツバレー」と呼ばれ、リンゴ、ナシ、モモ、プラムなど様々な果物が栽培されている地域だ。

 地元メディアによると、5万軒以上の果物農家があり、イタリア国内で質の高い果物の産地として知られていて、ヨーロッパを中心に輸出されているという。

 そして、今の時期はフルーツがちょうど熟れてくる時期だそうで、収穫前の洪水は影響が大きいとしている。

 その被害について、地元メディアは、4000万本以上の果樹を伐採しなければいけない可能性もあると伝えている。

 また、山間部では土砂崩れの影響で詳細が分かっていない地域もあり、最終的な被害額は見通せないという。

 今回の洪水で、この地域では、果物の収穫が4年から5年できなくなる可能性も指摘されている。

 さらに、懸念されているのがイタリアを代表する食材の原料だ。

 農業の生産者団体によると、被害があった地域では、小麦の生産量が国内の3分の1を占めていて、国民食であるパスタへの影響も心配されている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年5月25日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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