『危険な廃旅館』撤去期限でも所有者は現れず「どう探しても出てこない」…市が撤去へ(2023年5月22日)
風光明媚な観光地にある廃墟旅館。和歌山市が5月22日を期限に所有者に解体するよう告知していました。
和歌山市にある港町・雑賀崎。風情のある海辺の景色と山の斜面に並ぶ建物の様子がイタリアの景勝地・アマルフィと似ていることから、“日本のアマルフィ”と呼んで和歌山市を中心に観光をアピールしています。しかし、そこに問題があります。
斜面に並ぶ建物の中でひときわ大きな建物。3階建ての元旅館です。和歌山市によりますと、昭和50年ごろまで営業していたものの、廃業後は建物が放置されたまま40年以上経過。2018年の台風21号の時には木造部分が倒壊して、住民らが市に危険だと訴えましたが、所有者がわからず手が出せない状況でした。
(住民)
「怖いです怖いです。もう潰してもらった方がいいです」
「壊れてもし人の命に関わったら大変。何回も何回も市に陳情に行って大変やった」
こうした中で今年3月についに和歌山市が動きました。
(和歌山市 尾花正啓市長 3月23日)
「略式代執行の公告を行うことにさせていただきました。(所有者が)どう探しても出てこないので、たぶん市で代執行させていただく形になると思います」
和歌山市は5月22日を期限に所有者が撤去しない場合は税金で撤去することを決断。解体費用は7000万円に上りますが、国が4割・和歌山県が2割・和歌山市が4割を負担するとしました。
この決定に住民は次のように話します。
(住民)
「難しい話や。法律でなんとかやっておくべき話。これからも起こる話やろ」
「和歌山市はお金ないのに。市は立て替えてやってくれるけど、払う人がいないのにな」
そして5月22日、市役所が閉まる午後5時15分の時点でも、所有者からの連絡は無かったということです。今後、和歌山市は撤去に向けた手続きに動く予定で、台風シーズンまでに解体を終えたいとしています。
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