“中立”のインド首相「できる限りのことしたい」 ゼレンスキー氏と広島で会談(2023年5月20日)

“中立”のインド首相「できる限りのことしたい」 ゼレンスキー氏と広島で会談(2023年5月20日)

“中立”のインド首相「できる限りのことしたい」 ゼレンスキー氏と広島で会談(2023年5月20日)

20日午後3時半、ゼレンスキー大統領を乗せた飛行機が広島空港に姿を見せました。着陸から、およそ10分後…飛行機のドアが空き、ゼレンスキー大統領が1人でタラップを足早に降りてきます。

ウクライナメディアが撮影した映像。ゼレンスキー大統領は、タラップを降りてくると、日本の木原官房副長官と握手をし、言葉を交わします。いつもの緑色の服を着ているゼレンスキー大統領。関係者らと、次々と挨拶を交わしますが、終始、険しい表情を浮かべ、一度も笑顔は見せませんでした。その後、足早に車へと乗り込みました。

広島空港に到着してから15分後、警備車両に前後を挟まれる形で、ゼレンスキー大統領を乗せた車は各国首脳が集う広島市へと向かっていきました。広島空港を出発してから、およそ5分後の午後3時50分ごろ、ゼレンスキー大統領は自身のツイッターに、こんな投稿していました。

ゼレンスキー大統領のTwitterから
「日本、G7、ウクライナのパートナーや友人との重要な会議。私たちの勝利のための安全保障と協力の強化。きょう、平和がさらに近づくでしょう」

▼広島市内は厳戒警備

車列は一路、広島市内へ。戦時下の大統領の来日に、周辺を埋め尽くすおびただしい数の警察官。広島は厳戒態勢です。最高レベルの警備態勢で臨むとした警察。

仁科健吾アナウンサー
「少しずつ道路側へと寄ってきています」(広島市、20日)

この場所、厳戒態勢も無理はありません。広島空港からメイン会場となる宇品島へ向かった大統領の車列。高速を降り、宇品島へ続く一般道は大統領を見ることができるわずかなチャンス。裏を返せば、危険と隣り合わせでもあります。この場所には、キーウから広島へ避難した姉妹の姿も…

キーウから避難してきた姉妹
「私たちも大統領も、母国の誰もが大統領の参加によって戦争をやめさせ、これ以上犠牲者を出さないことを願っています」

20日午後4時半、現場は一気に緊張感が高まります。

仁科健吾アナウンサー
「午後4時半すぎです。ゼレンスキー大統領を乗せた車が宿泊先の宇品島の入口を通過していきます」

笑顔はなく、少し固い表情にも見えます。小学生の兄妹、幸運にも大統領を見ることができました。

ゼレンスキー大統領を見た小学生
「真剣で真っすぐ見てて。ちゃんとG7に臨むような。かっこよかったです」

▼”中立”のインド首相「できる限りのことしたい」

ホテルに到着したゼレンスキー大統領は、G7参加国であるイタリアのメローニ首相とイギリスのスナク首相と相次いで会談しました。

イギリス スナク首相
「よく来てくれました。よく無事に到着しましたね、無事でよかったです」

ゼレンスキー大統領を気遣うイギリスのスナク首相。その後2人はイスに座り、正面で向き合いながら会話する様子もありました。

仁科健吾アナウンサー
「サミット会場では先ほどゼレンスキー大統領とインドのモディ首相の首脳会談が行われたといいます」

そして、招待国インドのモディ首相とも面会しました。

インド モディ首相
「ウクライナの戦争は、私が思うに、政治的な問題、経済的な問題ではなく、人道的問題です。この問題の解決のためにインドはできる限りのことをさせていただきたいと思います」

これまで中立の立場だったインドが「できる限りのことをする」という考えを示しました。

▼焦点は「グローバルサウス」

G7広島サミットは2日目を迎え、G7のメンバーに招待国の首脳も加えたアウトリーチ会合が行われました。

招待国は韓国やオーストラリアに、ASEAN議長国のインドネシア、ウクライナ侵攻をめぐって時にロシア寄りの姿勢を見せてきたブラジル、そして、G20議長国のインドなど8カ国。そのうちの4カ国は「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の中で、ロシアに対する経済制裁に非協力的な国です。

▼ウクライナから避難の家族「成果祈る」

国際メディアセンターには、ゼレンスキー大統領来日のニュースを穏やかな表情で見つめる男性の姿がありました。ウクライナメディアの特派員です。

ウクライナメディア記者
「大きく評価するよ。ゼレンスキー大統領がオンラインで出席するのと、実際にバイデン大統領たちと直接対話できる状況は天地の差があるだろう」

他にも多くの海外メディアがゼレンスキー大統領の動向に注目していました。

カタールテレビ局記者
「解決に向けた大きなチャンスだが、その反面、G7各国はロシアや中国とも議論する必要があると思います」

ゼレンスキー大統領の来日。ウクライナの人にはどう映ったのでしょうか。

ウクライナから広島へ避難 ブワイロ・ドミトロさん(39)
「いいニュースですね。大統領を誇りに思っています。彼は非常に勇敢な人です」

話を聞いたのは、去年4月にウクライナから避難してきたブワイロ・ドミトロさん家族。広島に住むいとこを頼り、家族5人で身を寄せています。

ウクライナから広島へ避難 ブワイロ・ドミトロさん(39)
「ウクライナ国民は、すでに大きな支援をもらっていることには感謝していますが、この支援が続くことを期待しています。大統領の来日の目的は分かりませんが、大きな成果を収められるよう祈ります」

両親や友人が残る故郷で続く爆撃。今の状況の終結とウクライナの復興を望んでいます。

ウクライナから広島へ避難 ブワイロ・ドミトロさん(39)
「私は核兵器だけでなくすべての兵器、すべての戦争に反対しています。G7の国々の影響力はあるので、侵略を止められると期待しています」

これまで、核兵器の使用も辞さない姿勢をみせてきたロシアのプーチン大統領。

仁科健吾アナウンサー
「午前11時すぎです。広島市内では核兵器廃絶を訴えるデモ行進が行われています。先頭には被爆された方、後ろを見ますと若い方が参加しているのも見えます」(広島市、20日)

参加者はゼレンスキー大統領の来日について…

デモ参加者
「私は危惧しました。ロシアがゼレンスキー大統領の訪日を聞いてどういう態度に出るんだろうかって」

▼ゼレンスキー氏 サミットで演説へ

ゼレンスキー大統領は21日、サミットに参加しG7首脳との会議に臨むほか、インドやブラジルなど招待国8カ国の首脳らが加わる、「平和と安定に関するセッション」にも出席する予定です。セッションでゼレンスキー大統領が演説することをウクライナメディアが伝えました。

ウクライナメディア
「我々は予定表をもらっています。印刷禁止と書かれていて、ちょっと不思議な感じです。あくまでも事前情報ですが、そのセッションで冒頭演説するのは、ゼレンスキー大統領です。最初の5分間はゼレンスキー大統領が演説するため、彼の言葉、彼の演説、彼のメッセージが全世界に伝わります」

また日本政府関係者によると、被爆の実相を伝える原爆資料館の訪問や、慰霊碑献花も検討されています。ゼレンスキー大統領は、各国首脳に向けてアメリカ製の「F16戦闘機」を含む追加の軍事支援や対露制裁の強化を改めて働きかける意向です。

F16戦闘機の供与に消極的だったアメリカのバイデン大統領も19日、ウクライナ軍のパイロットに対するF16戦闘機の訓練を「支援する」とG7の首脳に伝え、同盟国からウクライナへのF16戦闘機の供与を認める方針に転換しました。ゼレンスキー大統領は運用に向けた戦闘機連合の創設についても話し合います。

サタデーステーション 5月20日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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