【速報】海外から帰国後コロナ感染懸念し在宅勤務した教師 欠勤扱いした大阪市に賠償命令 大阪地裁

【速報】海外から帰国後コロナ感染懸念し在宅勤務した教師 欠勤扱いした大阪市に賠償命令 大阪地裁

【速報】海外から帰国後コロナ感染懸念し在宅勤務した教師 欠勤扱いした大阪市に賠償命令 大阪地裁

 2020年3月、海外から帰国した大阪市立の中学校の教諭が、新型コロナの感染を懸念し、約2週間自主的に在宅勤務をしたところ、欠勤扱いにされるなど不当な扱いを受けたとして、大阪市に慰謝料などを求めていた裁判で、大阪地裁は17日、訴えを一部認めて市に9万4000円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

 訴えを起こしたのは大阪市立の中学校の元教諭、松田幹雄さん(67)です。

 訴状などによりますと、松田さんは2020年3月17日、労働組合の活動で訪れていたスイスのジュネーブから帰国しました。
 
 その日、海外での急速な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府の専門家会議が記者会見でヨーロッパなどからの帰国者に2週間の自宅待機などを求めていました。要請を受け、松田さんは学校側と相談して、3月末まで約2週間在宅勤務をしたということです。
 
 ところが、学校が市教育委員会と協議した結果、自宅での業務は認められないとして欠勤扱いにされ、人事評価も最低にされたということです。
 
 松田さんは、「国が各地の教育委員会などに対し、感染症がまん延するおそれがある場合は教員の在宅勤務を推奨するよう伝えているのに、柔軟性を欠いた不当な対応だ」と主張し、欠勤にされた分の賃金と未払いの賞与、それに慰謝料あわせて114万円あまりの支払いを求めて裁判を起こしました。

 大阪市教育委員会は、海外から帰国した教員には、2週間の特別休暇を付与する制度を設けていますが、制度の導入は松田さんの帰国から4日後で、大阪市側は「松田さんが帰国した3月17日の時点では帰国者の自宅待機は制度化されておらず、休日勤務や時差出勤などを提案したが断られ、欠勤とせざるをえなかった」と主張しています。

裁判所は「感染拡大下における社会情勢を考慮していない」と指摘
 松田さんは帰国後、自宅で勤務する「承認研修」を申し込み、当初、校長らはこれを許可し、3日間リモートワークを実施しました。

 しかし、その後、市教委からの指示を受けると、校長らは判断を一転させ、出勤命令を出したことを裁判所は問題点として指摘。

 具体的には、大阪市教育委員会は「承認研修」について、2010年の通達で自宅の実施は認めないと定めていて、これを根拠に松田さんに出勤命令を出しましたが、裁判所は「新型コロナウイルス感染拡大下における当時の社会情勢を全く考慮していない」として、市教委の判断は不当であり、「市教委の誤った判断に基づく、指示を出した校長の指示には裁量権の逸脱・濫用があり、違法性があったと認められる」としています。

 これらのことから大阪地裁は市に対して、松田さんの自宅で「承認研修」を行った3日間の未払いの賃金と慰謝料5万円の計9万4262円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
判決を受けて…
 判決を受け、松田さんは「自らが無症状で周囲に感染を広げてしまうかもしれないという不安から自宅でのリモートワークを選択したが、裁判所に自分の判断を認めてもらえてよかった。当時の大阪市の新型コロナ対応に問題があったことが明らかになった判決だ」と話しています。
 
 一方、大阪市教育委員会の多田勝哉教育長は「判決を十分に検討できていないので、詳細についてはコメントできない。内容を慎重に精査したうえで、今後の対応を検討したいと考えている」とコメントしています。

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